1 / 69
第一章
出逢いからそれはおかしかった?
しおりを挟む
「今日も可愛いよ、ティアナ」
いつもの様にアルスト殿下は、婚約者であるあたしを優しい瞳で見つめながら囁いて下さった。
◆◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇◆
オルプルート王国第一王子であるアルスト殿下との婚約が決まったのはあたしが五歳の時。殿下の六歳の誕生日を祝うパーティにて多数の婚約者候補の一人として呼ばれたあたしは、殿下に祝いの挨拶をする為に両親、二人の兄と共に列に並んでいた。
パーティといっても王宮広間で行う格式ばったものではなく、お茶会として庭園で催されたものだった。その時のあたしは列に並びながらも、視界に入ってくる色とりどりのスイーツに気を取られていた。
公爵令嬢なので普段からそこそこの種類のスイーツは堪能済みではあるのだが、さすがは王宮。見た事の無い美味しそうなスイーツが沢山テーブルには並んでいる。スイーツに目がないあたしは早く殿下に挨拶を済ませて食べに行きたくて仕方なかった。でも、そこは五歳でもちゃんと淑女教育を受けている公爵令嬢。はやる気持ちをグッと我慢してスイーツなんて気にもしてない風を装う。勿論横目でチラリとテーブルをチェックしながら、どのスイーツから食べようか順番を考えるのは忘れない。
「国王陛下、王妃陛下、本日はお招き頂きありがとう御座います。アルスト殿下、お誕生日おめでとう御座います」
ようやく自分達家族の番が回って来た様で、挨拶を述べるお父様の声にハッとして殿下への挨拶に集中する。コレが終わったらスイーツだ。嬉しいな。
「うむ、ローゼン公爵も元気そうで何よりだ。そちらがティアナ嬢かな? さぁアルスト、ご挨拶なさい」
陛下に促されてアルスト殿下がスッと優雅に一歩前に出る。
「公爵、わざわざありがとう御座います。それからタクトとスクトもありがとう」
「おめでとう、アル」
「お、おめでとう、アル殿下」
あたしの双子の兄達は殿下とは同い年で、特に長兄のタクトお兄様は殿下とは親友だ。時々我が家にも遊びに来ている殿下を見かける事があった。あたし自身はまだ殿下とは喋った事がないので、今日が初対面となる。兄様達の挨拶が済み、殿下はあたしの方へと視線を向けた。
「ティアナ嬢、初めまして。私はアルスト・オルプルートです、宜しく」
澄んだエメラルドグリーンの瞳をキラキラと輝かせてこちらを見つめてくる殿下。端正な顔立ちに少し色素の薄い茶色の髪。見るからに“これぞ王子”と言わんばかりの容姿に思わず見惚れそうになる。
「は、初めてお目にかかります、アルスト殿下。わたくしはティアナ・ローゼンと申します。お誕生日おめでとう御座います」
「……やっと会えた」
「え?」
「あ、いや。ありがとう、ティアナ嬢」
殿下が何か小さな声で呟いた様に聞こえたけど、どうやら気のせいみたいだ。
「早速だがティアナ嬢、私は君をこん……」
「おーーっと、アル! 皆の挨拶がまだまだ終わってないじゃないか。て、事で私達はこの辺で一旦失礼するよ。ね、お父様」
そう言って急にタクトお兄様があたしを引き寄せて殿下から遠ざける。
「あ、あぁ……そうだな。では陛下、また後ほど」
タクトお兄様に促されてあたし達家族は挨拶の列から離れる。
「なっ、タクトのヤツ!」
背後で殿下が口をパクパクさせながら何か呟いてるみたいだけど、お兄様に手を引かれてどんどん離れていくあたし達からは何をおっしゃってるのか聞き取れなかった。なんだろう?殿下も早くスイーツが食べたくて羨ましいのかな?
いつもの様にアルスト殿下は、婚約者であるあたしを優しい瞳で見つめながら囁いて下さった。
◆◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇◆
オルプルート王国第一王子であるアルスト殿下との婚約が決まったのはあたしが五歳の時。殿下の六歳の誕生日を祝うパーティにて多数の婚約者候補の一人として呼ばれたあたしは、殿下に祝いの挨拶をする為に両親、二人の兄と共に列に並んでいた。
パーティといっても王宮広間で行う格式ばったものではなく、お茶会として庭園で催されたものだった。その時のあたしは列に並びながらも、視界に入ってくる色とりどりのスイーツに気を取られていた。
公爵令嬢なので普段からそこそこの種類のスイーツは堪能済みではあるのだが、さすがは王宮。見た事の無い美味しそうなスイーツが沢山テーブルには並んでいる。スイーツに目がないあたしは早く殿下に挨拶を済ませて食べに行きたくて仕方なかった。でも、そこは五歳でもちゃんと淑女教育を受けている公爵令嬢。はやる気持ちをグッと我慢してスイーツなんて気にもしてない風を装う。勿論横目でチラリとテーブルをチェックしながら、どのスイーツから食べようか順番を考えるのは忘れない。
「国王陛下、王妃陛下、本日はお招き頂きありがとう御座います。アルスト殿下、お誕生日おめでとう御座います」
ようやく自分達家族の番が回って来た様で、挨拶を述べるお父様の声にハッとして殿下への挨拶に集中する。コレが終わったらスイーツだ。嬉しいな。
「うむ、ローゼン公爵も元気そうで何よりだ。そちらがティアナ嬢かな? さぁアルスト、ご挨拶なさい」
陛下に促されてアルスト殿下がスッと優雅に一歩前に出る。
「公爵、わざわざありがとう御座います。それからタクトとスクトもありがとう」
「おめでとう、アル」
「お、おめでとう、アル殿下」
あたしの双子の兄達は殿下とは同い年で、特に長兄のタクトお兄様は殿下とは親友だ。時々我が家にも遊びに来ている殿下を見かける事があった。あたし自身はまだ殿下とは喋った事がないので、今日が初対面となる。兄様達の挨拶が済み、殿下はあたしの方へと視線を向けた。
「ティアナ嬢、初めまして。私はアルスト・オルプルートです、宜しく」
澄んだエメラルドグリーンの瞳をキラキラと輝かせてこちらを見つめてくる殿下。端正な顔立ちに少し色素の薄い茶色の髪。見るからに“これぞ王子”と言わんばかりの容姿に思わず見惚れそうになる。
「は、初めてお目にかかります、アルスト殿下。わたくしはティアナ・ローゼンと申します。お誕生日おめでとう御座います」
「……やっと会えた」
「え?」
「あ、いや。ありがとう、ティアナ嬢」
殿下が何か小さな声で呟いた様に聞こえたけど、どうやら気のせいみたいだ。
「早速だがティアナ嬢、私は君をこん……」
「おーーっと、アル! 皆の挨拶がまだまだ終わってないじゃないか。て、事で私達はこの辺で一旦失礼するよ。ね、お父様」
そう言って急にタクトお兄様があたしを引き寄せて殿下から遠ざける。
「あ、あぁ……そうだな。では陛下、また後ほど」
タクトお兄様に促されてあたし達家族は挨拶の列から離れる。
「なっ、タクトのヤツ!」
背後で殿下が口をパクパクさせながら何か呟いてるみたいだけど、お兄様に手を引かれてどんどん離れていくあたし達からは何をおっしゃってるのか聞き取れなかった。なんだろう?殿下も早くスイーツが食べたくて羨ましいのかな?
78
あなたにおすすめの小説
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました
三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。
助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい…
神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた!
しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった!
攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。
ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい…
知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず…
注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
解散直後のお笑い芸人が異世界転生、悪役令嬢を真正悪女にプロデュース
たぬきち25番
恋愛
お笑いコンビを解散した桂馬涼は、異世界に転生した。
するとそこにはツッコミどころ満載の悪役令嬢が存在した。
しかも悪役令嬢は、婚約者の王子を伯爵令嬢に取られそうになっていた。
悪役令嬢よ、真正悪女に変われ!!
※他サイト様にも掲載始めました!
【完結】溺愛?執着?転生悪役令嬢は皇太子から逃げ出したい~絶世の美女の悪役令嬢はオカメを被るが、独占しやすくて皇太子にとって好都合な模様~
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
平安のお姫様が悪役令嬢イザベルへと転生した。平安の記憶を思い出したとき、彼女は絶望することになる。
絶世の美女と言われた切れ長の細い目、ふっくらとした頬、豊かな黒髪……いわゆるオカメ顔ではなくなり、目鼻立ちがハッキリとし、ふくよかな頬はなくなり、金の髪がうねるというオニのような見た目(西洋美女)になっていたからだ。
今世での絶世の美女でも、美意識は平安。どうにか、この顔を見られない方法をイザベルは考え……、それは『オカメ』を装備することだった。
オカメ狂の悪役令嬢イザベルと、
婚約解消をしたくない溺愛・執着・イザベル至上主義の皇太子ルイスのオカメラブコメディー。
※執着溺愛皇太子と平安乙女のオカメな悪役令嬢とのラブコメです。
※主人公のイザベルの思考と話す言葉の口調が違います。分かりにくかったら、すみません。
※途中からダブルヒロインになります。
イラストはMasquer様に描いて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる