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第一章
森の中の不思議なお店 ヒロインSide
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とんたた……とんたたた……軽いステップを踏みながら深い森を進んで行く。暫くすると巨大な大木が見えてきてココン、ココン、と一定のリズムで叩くと、何も無かった木の幹に大きな扉が浮かび上がった。わたしは慣れた手付きでその扉を開けた。
「やけに嬉しそうだね」
中に入って後ろ手に扉を閉めると、一瞬で扉はその姿を消す。まるで元から何も無かったかの様に。木の中は大きな部屋になっていた。部屋全体に作り付けの棚があり、そこには薬品や本やアクセサリー、魔道具、よく分からない食材……などなど、とにかく色々な物が所狭しと陳列されている。
「ええ、もうすぐアル様とパーティに行くの」
わたしはカウンターの奥からこちらを覗いた魔道士姿の男に笑顔で返事を返した。黒いローブを頭から被り、顔はよく見えない。男はこの店の店主で、ここはゲームの中でも登場するヒロインがお助けアイテムなどを購入する事の出来る不思議な店だ。
「ほぉ……」
男は面白そうにニヤリと口角を上げる。
「ティアナ様とも仲が悪くなってきてるみたいだし、やっとシナリオが進み出したわ」
そう、随分と殿下の攻略には手こずったわ。でも、ここ迄シナリオが進めば後は一気に攻めていけば楽勝だ。他の攻略対象者達とのシナリオもタクト様以外は、かなり進んでいる。最終的にはアル様エンディングを選ぼうとは思っているけど、どうしようかしら。いい男ばかりで目移りしちゃう。
「そのパーティもイベントってやつなのかい?」
「ええ、そうよ。このイベントで殿下とヒロインの仲が急接近するの。殿下とダンスした事を悪役令嬢に酷く咎められて、泣き去ったヒロインを追いかけて来た殿下がバルコニーで抱きしめて下さるの」
「…………へぇ」
「でも、肝心のティアナ様が最近何もしてくれないのよ。最初はちゃんと注意とかしてくれたのに、今は何をしてても近寄っても来ない。きっと効果が薄れて来てるんだわ。だからまたあのアイテムを頂戴」
「あのアイテム?」
「とぼけないでよ~服従の指輪よ。あれが無いとティアナ様を思い通りに操れないわ」
「あぁ…………コレだね」
店主が背後にある棚から木箱を下ろし、その中から一つの指輪を取り出してカウンターに乗せた。それを見たわたしは、すぐに指輪を手に取ろうとしたが店主に阻止される。そして指輪の代わりに一枚の紙切れとペンが目の前に置かれる。
「先に売買契約書類に記入してからだよ」
「……最近、厳しくなったわね」
ジロリと店主を睨むと口元をニイッと歪ませる。
「何かあって責任取らされたら困るからね」
「何かある訳ないじゃない、心配性ね」
サラサラッと書類にサインをして代金の金貨数枚と一緒に店主に渡す。
「じゃあ、また来るわ」
「まいどあり」
わたしは浮き浮きとした気持ちで指輪を手に帰路へ着いた。アル様の腕の中はどんなに夢心地なんだろう。やっぱりエンディングは王子様が良いかもねー。他のキャラ達とは今の内に、逢瀬を楽しむだけ楽しんでおこう。早くパーティの日にならないかしら。はやる気持ちを抑えながら、右手の薬指に買ったばかりのその指輪をはめた。
「やけに嬉しそうだね」
中に入って後ろ手に扉を閉めると、一瞬で扉はその姿を消す。まるで元から何も無かったかの様に。木の中は大きな部屋になっていた。部屋全体に作り付けの棚があり、そこには薬品や本やアクセサリー、魔道具、よく分からない食材……などなど、とにかく色々な物が所狭しと陳列されている。
「ええ、もうすぐアル様とパーティに行くの」
わたしはカウンターの奥からこちらを覗いた魔道士姿の男に笑顔で返事を返した。黒いローブを頭から被り、顔はよく見えない。男はこの店の店主で、ここはゲームの中でも登場するヒロインがお助けアイテムなどを購入する事の出来る不思議な店だ。
「ほぉ……」
男は面白そうにニヤリと口角を上げる。
「ティアナ様とも仲が悪くなってきてるみたいだし、やっとシナリオが進み出したわ」
そう、随分と殿下の攻略には手こずったわ。でも、ここ迄シナリオが進めば後は一気に攻めていけば楽勝だ。他の攻略対象者達とのシナリオもタクト様以外は、かなり進んでいる。最終的にはアル様エンディングを選ぼうとは思っているけど、どうしようかしら。いい男ばかりで目移りしちゃう。
「そのパーティもイベントってやつなのかい?」
「ええ、そうよ。このイベントで殿下とヒロインの仲が急接近するの。殿下とダンスした事を悪役令嬢に酷く咎められて、泣き去ったヒロインを追いかけて来た殿下がバルコニーで抱きしめて下さるの」
「…………へぇ」
「でも、肝心のティアナ様が最近何もしてくれないのよ。最初はちゃんと注意とかしてくれたのに、今は何をしてても近寄っても来ない。きっと効果が薄れて来てるんだわ。だからまたあのアイテムを頂戴」
「あのアイテム?」
「とぼけないでよ~服従の指輪よ。あれが無いとティアナ様を思い通りに操れないわ」
「あぁ…………コレだね」
店主が背後にある棚から木箱を下ろし、その中から一つの指輪を取り出してカウンターに乗せた。それを見たわたしは、すぐに指輪を手に取ろうとしたが店主に阻止される。そして指輪の代わりに一枚の紙切れとペンが目の前に置かれる。
「先に売買契約書類に記入してからだよ」
「……最近、厳しくなったわね」
ジロリと店主を睨むと口元をニイッと歪ませる。
「何かあって責任取らされたら困るからね」
「何かある訳ないじゃない、心配性ね」
サラサラッと書類にサインをして代金の金貨数枚と一緒に店主に渡す。
「じゃあ、また来るわ」
「まいどあり」
わたしは浮き浮きとした気持ちで指輪を手に帰路へ着いた。アル様の腕の中はどんなに夢心地なんだろう。やっぱりエンディングは王子様が良いかもねー。他のキャラ達とは今の内に、逢瀬を楽しむだけ楽しんでおこう。早くパーティの日にならないかしら。はやる気持ちを抑えながら、右手の薬指に買ったばかりのその指輪をはめた。
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