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第2章
17話―アルクさんにしてやられたようです。
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「どういう事なのか、ちゃんと説明してもらいましょうか?」
私は今尋問されている。
椅子に座り縮こまる私の前には、同じく椅子に座るメアリと座るのも忘れて仁王立ちしているメリッサがいる。
場所は私の部屋である。
朝目覚めて、パニックから放心状態へ陥り、我に返ってこっそり自室へ戻ろうとしていたところを二人に見つかって今に至る。
因みに起きた時、その部屋の主であるアルクさんはいなかった。
もうお仕事へ行ってしまったのだと思う。
起こしてから行って欲しかった!
目の前にはニヤニヤ笑いのメアリ、目を吊り上げたメリッサがいる。
ソラとワサビちゃんは少し離れたところからこちらを伺っている。
まぁ尋問といっても、テーブルの上にはお茶とお茶請けのどら焼きがしっかり準備されているので、要は女子会だ。
面白がっているのはメアリ。多分何となく事情は察してくれていると思う。
メリッサは、両手を腰に当てて目を怒らせている。
「婚姻前の男女が、同じ部屋で朝まで過ごすなんて、淑女としてあるまじき行為です!! 一体どういう事ですか!?」
「誤解です! ……多分」
「多分とはなんですか!? はっきりおっしゃってください!!」
「一線は越えてません! ……多分」
「隠すといいことありませんよ!!」
「本当に覚えてないんです! ……気絶してたので……」
「はぁ!?」
やっぱりねとメアリが声をあげて笑っている。
「ホルケウ様。アルクさんとえみ様が一緒に眠るのが何故いけないのですか?」
「……さてな。人間の事情など知らん」
「アルクさんとえみ様はとってもとっても仲良しさんですから、ご一緒でも変じゃないですよね? 何で怒られるのですか?」
「……知らん。本人達に聞け」
あっちはあっちで恥ずかしい会話が聞こえてくる。
ソラの視線が痛い。面倒だから余計な事をするなって顔に書いてある。
もう、消えて無くなりたい……
「メリッサ、アルク様は寝ているえみを襲うようなケダモノじゃないわよ」
涙を拭きながら言われても説得力皆無ですね。
「何でえみが寝てたってわかるの?」
「だってキスされて気絶するようなチキンハートなのよ? 迫ってくるアルク様の色気とフェロモンに耐えられる訳ないじゃない!」
そう言ってまた大笑いされた。
恥ずかし過ぎて耳まで熱い。
冷えピタと氷嚢が欲しい。
メリッサがどういう事かメアリに説明を求めている間に、こっそりその場を離れ着替えを始める。
二人に見つかってからそのまま連行されたため、いまだに夜着のままだったのだ。
背中に感じたアルクさんの熱を思い出してしまってクラクラする。
同時に軽率だったことに後悔が押し寄せた。
……怒ってた、よね……
下着姿になったところで、後ろからワサビちゃんの声が掛かった。
「えみ様。お首に虫刺されが出来てますよ」
「うそ! いつ刺されたんだろ」
「赤くて丸くて痛そうですぅ」
「「「…え?」」」
背中に二人の視線を感じる。
それはもうひしひしと。
「これって……キスマークじゃ……」
キ、キ、キ……――
「えみ、あなたまさか本当に……?」
「そういえば今朝アルク様、本当に旨かった、ありがとうとえみに伝えて欲しいって……」
……最悪のタイミングでぶっこんできやがった!
「えみ」
「本当の事を言いなさい」
笑顔が怖い!
二人の笑顔が怖いですから!
そして絶対誤解してる!
美味しかったのは試食の方で決して二人が思ってる用な意味ではない!!
「ホルケウ様、きすまあくってなんですか?」
「……我に聞くな」
ふるふると小さく首を振りながら後退りする私を他所に、ソラとワサビちゃんは呑気にどら焼きを頬張っていた。
何とか尋問をやり過ごし、ハンバーガーとホットドッグを作り終え、お昼の時間に間に合うよう城へ来ることが出来た。
ハンバーガーは、レタスにトマト、謎肉ハンバーグの定番なもの。
謎肉を薄くスライスして何枚も重ねてカツにしたミルフィーユカツ。これにはキャベツの千切りを一緒に挟んだ。
ホットドッグには、種類の違うソーセージを。
プレーンと唐辛子を効かせたチョリソー、ハーブを練り込んだものと三種類だ。
後はおやつにマフィンとプリンを用意した。
数も数だし、量も多いので、メアリとメリッサにも一緒に来てもらう。
本当は、一人でアルクさんに会いに行く勇気がなかっただけだ。
顔を見ただけで固まってしまいそうで。
初めてキスされた時なんかとは比べ物にならないくらい、どんな顔していいかわからない。
胸がズキズキと傷んだ。
お城に着くと、真っ直ぐ訓練場へと向かう。
心の準備をしたいのに、メアリもメリッサもずんずん行ってしまうので、仕方なく後に続いた。
城の分厚い城壁に沿ってぐるっと回り込むと、広場があり、たくさんの人が集まっているのが見えた。
「何かあったのですか?」
そのうちの一人にメアリが尋ねた。
紺色の詰め襟に黒のボタン、黒のロングブーツ姿の若い男性が、やや興奮気味に答えてくれる。
「勇者様とアルク団長が実戦訓練中なんだ!」
なんですと!?
人混みを掻き分けて、何とか最前列へと進みでる。
そこには木刀で打ち合う二人の姿があった。
何度も何度も激しく打ち合い、そのうちシャルくんの渾身の一撃がアルクさんへと打ち込まれる。
木刀と木刀がぶつかり合う大きな音が響く。
アルクさんは涼しい表情でそれを受け止めた。
「斬撃が軽い! 体格が生かせていないな!」
「はぁぁっ!!」
次の一撃も軽々と受け止め、アルクさんがシャルくんの木刀を押し返す。
一瞬体制を崩し、直ぐに構え直したシャルくんに、すかさず回転を加えたアルクさんの凄まじい斬撃が振り下ろされた。
「うぐ……」
両手で受け止めてはいるものの、シャルくんにはダメージがあったようだ。
動きが止まったところに下から留めの一撃が加えられる。
「ぐっ」
シャルくんの体が軽々と吹き飛んでしまった。
結構体大きいのに、ふわっと浮いてた。
……すご……
「いててて」
地面を転がり、その場にお尻を着いたシャルくんへアルクさんの手が差し出される。
「追い込まれると腕の力に頼るクセがあるだろう? それを直せ。体格の良さを生かせていないのは勿体無い」
「はい! ありがとうございます」
その手を掴み、シャルくんが立ち上がると周りからは溜め息やら感嘆の声やら聞こえてくる。
声を掛けようか迷っていると、先にシャルくんがこちらに気付いて駆け寄ってきた。
「えみ!!」
満面の笑みで走ってくる。
「どうしたんだ!? こんなところで会えるとは思わなかった!」
両手に持ったバスケットを置くと、空いた手をすかさず握られる。
キラキラの爽やかスマイルを向けられてたじろぐ。
「差し入れ持ってきたの。訓練お疲れ様。体は大丈夫なの?」
「平気。慣れてるから」
さらっと怖い事言う。
あれに? 慣れてるの?
……嘘でしょう?
困惑していると、シャルくんを押し退けたアルクさんに手を引かれた。
殺人級スマイルと騎士様仕様がセットになっただけでなく、今朝の事もあり、私の体温はあっという間に沸点に到達する。
「えみ。わざわざすまなかったね」
「いっ……いえ。…その、お…お疲れ様、です……」
私の様子に苦笑いを浮かべ、アルクさんが声を張り上げた。
「皆、少し休憩にしよう」
メアリとメリッサが持ってきた試食品を配ってくれている。シャルくんはあっという間に若い隊員達に囲まれて身動きが取れなくなっていた。
私はアルクさんに連れられて、マフィンだけ手に取り、少し離れた場所に座った。
アルクさんより先に口を開く。心臓はバクバクだ。
「ごめんなさい。軽率でした」
「いや、私の方こそ、大人げない事をした。…ごめん」
「メアリは気付いてたみたいですが、メリッサには怒られました」
アルクさんは苦笑いを浮かべている。
「メリッサとハインヘルトは婚約から結婚まで手本のような順序を踏んでいたからな」
「それで、その……」
目を見て聞けないので、アルクさんの左斜め四十五度へ視線を向ける。
「あぁ、同じベッドでは過ごしていないから」
やはりアルクにさんのベッドを独占してしまっていた。申し訳ない。
……ではこれは?
「マーキング」
まっ、まっ、まー……――
のぼせてきた……鼻血でそう……
そして耳元へ顔を寄せてくる。
「次は抑える自信ないから」
服で隠れた『虫刺され』にアルクさんの手が触れる――
少し離れた所から、メアリとメリッサ、いつの間にか合流したレン、それとレン同様騎士見習いの三人がアルクとえみの様子を伺っていた。
えみは終始頬が紅く、アルクは柔らかな表情だ。
「あっ! フリーズした。あれはもう思考回路停止してるわ。回収しないと気絶されたら連れて帰るの大変!」
「どうせ近くにソラがいるだろ? ついでにメアリとメリッサも乗せて貰えばいいよ」
勝手知ったるメアリはケラケラ笑いながら、レンはいつもの無表情で試食品を頬張っているが、メリッサや他の見習い君達は落ち着かない様子だ。
メリッサは頬を染め、三人は見てはいけないものを見ているような複雑な顔をしている。
「それにしても、あのアルク団長が……」
「……信じられないよな……」
「あんな風に女性を甘やかすなんて……なぁ……」
口々に驚きの声を上げている。
「アルク様ってそんなに女っ気なかったの?」
メアリは疑いの目を三人へ向ける。
「女っ気どころか、寄せ付けないって感じだったよ」
「アルク団長の女嫌いはハワード様並みに有名だから」
「元凶はあれだろ? エトワーリル様」
メアリとメリッサの眉毛が動いた。
「「その話、詳しく教えてくださらない?」」
私は今尋問されている。
椅子に座り縮こまる私の前には、同じく椅子に座るメアリと座るのも忘れて仁王立ちしているメリッサがいる。
場所は私の部屋である。
朝目覚めて、パニックから放心状態へ陥り、我に返ってこっそり自室へ戻ろうとしていたところを二人に見つかって今に至る。
因みに起きた時、その部屋の主であるアルクさんはいなかった。
もうお仕事へ行ってしまったのだと思う。
起こしてから行って欲しかった!
目の前にはニヤニヤ笑いのメアリ、目を吊り上げたメリッサがいる。
ソラとワサビちゃんは少し離れたところからこちらを伺っている。
まぁ尋問といっても、テーブルの上にはお茶とお茶請けのどら焼きがしっかり準備されているので、要は女子会だ。
面白がっているのはメアリ。多分何となく事情は察してくれていると思う。
メリッサは、両手を腰に当てて目を怒らせている。
「婚姻前の男女が、同じ部屋で朝まで過ごすなんて、淑女としてあるまじき行為です!! 一体どういう事ですか!?」
「誤解です! ……多分」
「多分とはなんですか!? はっきりおっしゃってください!!」
「一線は越えてません! ……多分」
「隠すといいことありませんよ!!」
「本当に覚えてないんです! ……気絶してたので……」
「はぁ!?」
やっぱりねとメアリが声をあげて笑っている。
「ホルケウ様。アルクさんとえみ様が一緒に眠るのが何故いけないのですか?」
「……さてな。人間の事情など知らん」
「アルクさんとえみ様はとってもとっても仲良しさんですから、ご一緒でも変じゃないですよね? 何で怒られるのですか?」
「……知らん。本人達に聞け」
あっちはあっちで恥ずかしい会話が聞こえてくる。
ソラの視線が痛い。面倒だから余計な事をするなって顔に書いてある。
もう、消えて無くなりたい……
「メリッサ、アルク様は寝ているえみを襲うようなケダモノじゃないわよ」
涙を拭きながら言われても説得力皆無ですね。
「何でえみが寝てたってわかるの?」
「だってキスされて気絶するようなチキンハートなのよ? 迫ってくるアルク様の色気とフェロモンに耐えられる訳ないじゃない!」
そう言ってまた大笑いされた。
恥ずかし過ぎて耳まで熱い。
冷えピタと氷嚢が欲しい。
メリッサがどういう事かメアリに説明を求めている間に、こっそりその場を離れ着替えを始める。
二人に見つかってからそのまま連行されたため、いまだに夜着のままだったのだ。
背中に感じたアルクさんの熱を思い出してしまってクラクラする。
同時に軽率だったことに後悔が押し寄せた。
……怒ってた、よね……
下着姿になったところで、後ろからワサビちゃんの声が掛かった。
「えみ様。お首に虫刺されが出来てますよ」
「うそ! いつ刺されたんだろ」
「赤くて丸くて痛そうですぅ」
「「「…え?」」」
背中に二人の視線を感じる。
それはもうひしひしと。
「これって……キスマークじゃ……」
キ、キ、キ……――
「えみ、あなたまさか本当に……?」
「そういえば今朝アルク様、本当に旨かった、ありがとうとえみに伝えて欲しいって……」
……最悪のタイミングでぶっこんできやがった!
「えみ」
「本当の事を言いなさい」
笑顔が怖い!
二人の笑顔が怖いですから!
そして絶対誤解してる!
美味しかったのは試食の方で決して二人が思ってる用な意味ではない!!
「ホルケウ様、きすまあくってなんですか?」
「……我に聞くな」
ふるふると小さく首を振りながら後退りする私を他所に、ソラとワサビちゃんは呑気にどら焼きを頬張っていた。
何とか尋問をやり過ごし、ハンバーガーとホットドッグを作り終え、お昼の時間に間に合うよう城へ来ることが出来た。
ハンバーガーは、レタスにトマト、謎肉ハンバーグの定番なもの。
謎肉を薄くスライスして何枚も重ねてカツにしたミルフィーユカツ。これにはキャベツの千切りを一緒に挟んだ。
ホットドッグには、種類の違うソーセージを。
プレーンと唐辛子を効かせたチョリソー、ハーブを練り込んだものと三種類だ。
後はおやつにマフィンとプリンを用意した。
数も数だし、量も多いので、メアリとメリッサにも一緒に来てもらう。
本当は、一人でアルクさんに会いに行く勇気がなかっただけだ。
顔を見ただけで固まってしまいそうで。
初めてキスされた時なんかとは比べ物にならないくらい、どんな顔していいかわからない。
胸がズキズキと傷んだ。
お城に着くと、真っ直ぐ訓練場へと向かう。
心の準備をしたいのに、メアリもメリッサもずんずん行ってしまうので、仕方なく後に続いた。
城の分厚い城壁に沿ってぐるっと回り込むと、広場があり、たくさんの人が集まっているのが見えた。
「何かあったのですか?」
そのうちの一人にメアリが尋ねた。
紺色の詰め襟に黒のボタン、黒のロングブーツ姿の若い男性が、やや興奮気味に答えてくれる。
「勇者様とアルク団長が実戦訓練中なんだ!」
なんですと!?
人混みを掻き分けて、何とか最前列へと進みでる。
そこには木刀で打ち合う二人の姿があった。
何度も何度も激しく打ち合い、そのうちシャルくんの渾身の一撃がアルクさんへと打ち込まれる。
木刀と木刀がぶつかり合う大きな音が響く。
アルクさんは涼しい表情でそれを受け止めた。
「斬撃が軽い! 体格が生かせていないな!」
「はぁぁっ!!」
次の一撃も軽々と受け止め、アルクさんがシャルくんの木刀を押し返す。
一瞬体制を崩し、直ぐに構え直したシャルくんに、すかさず回転を加えたアルクさんの凄まじい斬撃が振り下ろされた。
「うぐ……」
両手で受け止めてはいるものの、シャルくんにはダメージがあったようだ。
動きが止まったところに下から留めの一撃が加えられる。
「ぐっ」
シャルくんの体が軽々と吹き飛んでしまった。
結構体大きいのに、ふわっと浮いてた。
……すご……
「いててて」
地面を転がり、その場にお尻を着いたシャルくんへアルクさんの手が差し出される。
「追い込まれると腕の力に頼るクセがあるだろう? それを直せ。体格の良さを生かせていないのは勿体無い」
「はい! ありがとうございます」
その手を掴み、シャルくんが立ち上がると周りからは溜め息やら感嘆の声やら聞こえてくる。
声を掛けようか迷っていると、先にシャルくんがこちらに気付いて駆け寄ってきた。
「えみ!!」
満面の笑みで走ってくる。
「どうしたんだ!? こんなところで会えるとは思わなかった!」
両手に持ったバスケットを置くと、空いた手をすかさず握られる。
キラキラの爽やかスマイルを向けられてたじろぐ。
「差し入れ持ってきたの。訓練お疲れ様。体は大丈夫なの?」
「平気。慣れてるから」
さらっと怖い事言う。
あれに? 慣れてるの?
……嘘でしょう?
困惑していると、シャルくんを押し退けたアルクさんに手を引かれた。
殺人級スマイルと騎士様仕様がセットになっただけでなく、今朝の事もあり、私の体温はあっという間に沸点に到達する。
「えみ。わざわざすまなかったね」
「いっ……いえ。…その、お…お疲れ様、です……」
私の様子に苦笑いを浮かべ、アルクさんが声を張り上げた。
「皆、少し休憩にしよう」
メアリとメリッサが持ってきた試食品を配ってくれている。シャルくんはあっという間に若い隊員達に囲まれて身動きが取れなくなっていた。
私はアルクさんに連れられて、マフィンだけ手に取り、少し離れた場所に座った。
アルクさんより先に口を開く。心臓はバクバクだ。
「ごめんなさい。軽率でした」
「いや、私の方こそ、大人げない事をした。…ごめん」
「メアリは気付いてたみたいですが、メリッサには怒られました」
アルクさんは苦笑いを浮かべている。
「メリッサとハインヘルトは婚約から結婚まで手本のような順序を踏んでいたからな」
「それで、その……」
目を見て聞けないので、アルクさんの左斜め四十五度へ視線を向ける。
「あぁ、同じベッドでは過ごしていないから」
やはりアルクにさんのベッドを独占してしまっていた。申し訳ない。
……ではこれは?
「マーキング」
まっ、まっ、まー……――
のぼせてきた……鼻血でそう……
そして耳元へ顔を寄せてくる。
「次は抑える自信ないから」
服で隠れた『虫刺され』にアルクさんの手が触れる――
少し離れた所から、メアリとメリッサ、いつの間にか合流したレン、それとレン同様騎士見習いの三人がアルクとえみの様子を伺っていた。
えみは終始頬が紅く、アルクは柔らかな表情だ。
「あっ! フリーズした。あれはもう思考回路停止してるわ。回収しないと気絶されたら連れて帰るの大変!」
「どうせ近くにソラがいるだろ? ついでにメアリとメリッサも乗せて貰えばいいよ」
勝手知ったるメアリはケラケラ笑いながら、レンはいつもの無表情で試食品を頬張っているが、メリッサや他の見習い君達は落ち着かない様子だ。
メリッサは頬を染め、三人は見てはいけないものを見ているような複雑な顔をしている。
「それにしても、あのアルク団長が……」
「……信じられないよな……」
「あんな風に女性を甘やかすなんて……なぁ……」
口々に驚きの声を上げている。
「アルク様ってそんなに女っ気なかったの?」
メアリは疑いの目を三人へ向ける。
「女っ気どころか、寄せ付けないって感じだったよ」
「アルク団長の女嫌いはハワード様並みに有名だから」
「元凶はあれだろ? エトワーリル様」
メアリとメリッサの眉毛が動いた。
「「その話、詳しく教えてくださらない?」」
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