吸血鬼の憂鬱

うみぼうず

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一章 吸血鬼

第一滴 サリバ

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雨が降っていた。
音からして、かなりの土砂降りであると思われる。
サリバは、ぼんやりとした視界を晴らすように頭を振って、ゆっくりと起き上がった。
「……夢、か。」
もう、遠い昔の夢だ。
まだ吸血鬼になる前の──人間だった頃の夢。
「忘れていたんだがな……」
サリバは自嘲気味に笑うと、ベッドから降りて服を着替えた。鏡を見ると、黄緑の髪に赤い瞳の自分がいた。
赤い瞳。人間であった頃は、黒い瞳だった。闇のように深い黒色。吸い込まれそうだと怖がられたこともあった、到底チャームポイントとは言えないようなもので、誰もが嫌い、恐れていた。
「……いや。一人だけ……規格外がいたな。」

  赤い髪に黄金の瞳。ぴょこんと立ったアホ毛がこれまたアホっぽさを醸し出している。しかし、強さは桁外れだった。そう、まさに「バケモノ」と形容できるような。
『あーあ。赤くなっちまったな、お前の目。俺は黒いの好きだったんだけどなー。まあ、どっちもお前だからいいけどな!』

「変なヤツだ。」
あんなにも強い「彼」が、どうして自分に固執するのか。サリバには到底理解も出来なかった。
「彼」は、人間だったサリバを吸血鬼──つまり、
吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライド」にした張本人である。
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