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しおりを挟む「事件に対しての俺の立場は旧知に任せるから、もう俺がここに来ることもないだろう。……それでは」
頭を下げたりはせずに、流夜も退室した。
廊下に在義はいない。先に帰っただろうか。常に忙しい人だから、それも仕方ない。
今の対応が正解とは思えない。でも、あれ以外に言えることはなかった。
……正直、何も言いたくなかった。
意識があるのとないのだけで、ここまで感情の発生が違うものか――。
「流夜くん」
「―――」
ロビーの椅子に、在義は座り込んでいた。
今日は平日。喧騒の病院。在義の周りだけ、切り取った空間のようだった。
「………」
流夜は黙って、その隣に腰かけた。
在義は組んだ手に額を押し付けた。
「すまなかった」
「いえ……。俺が関わって然るべき問題です」
「そうじゃない」
「……なにがです?」
在義は視線を床に向けたまま、続けた。
「迷わなかったんだ」
「………」
流夜は黙って続きを待つ。
「病院から、回復したって連絡を受けて、すぐに君に電話をした。……欠片も、躊躇わなかったんだ。君を、あの男と会わせてしまうことを。……流夜くんがどれほどやりきれないか、考えればわかったはずなのに」
……在義の懺悔というものは、初めて聞いた。
「だから、すまなかった」
「………」
なんだか急に、在義が人間に見えた気がする流夜だった。
「ここに来て悪かったとは、思いません。……よかったとも、言えませんが」
どこかで、一つの区切りにはなる気は、する。
「……斎月がいれば、もっとはっきりわかったかもしれませんが」
そう前置きして、流夜は話し出した。
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