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三 考えてなかった……!
side羽咲18
しおりを挟む「………。……っ、あ、はい! な、なにかなっ?」
「え、固まってたから……」
慌てた様子の水都ちゃんにびっくりしてしまった。
水都ちゃんは、「なんでもないっ」とぶんぶん顔を横に振った。
「ふーん?」
そして何かわかった様子の唯浜には、またイラッとした。
唯浜はいちいち癇に障る……。
「じゃあ俺、そろそろ戻るね。ごゆっくり」
「うん。ありがとう」
総真くんに軽く手を振って見送る。総真くんとお喋りした~。唯浜へのイライラも浄化される……。
「なあ、司」
「……なに?」
因縁のライバル登場に、声が険しくなる。
「俺も総真くん検定受けたい」
む。そのネタをひきずってくるか。今度は私が頑張って余裕の表情をしてみた。
ふっ……って感じで。
「残念。受験資格は『司羽咲』のみだよ」
しかし出てきたセリフが非道いもんだった。何言ってんだ私。
「よし。改名しよう。俺も司羽咲になる」
なんですと!?
「何が唯浜をそこまで変えたの!? さっきまで総真くんのこと冷たいとか言ってたのにっ」
「俺が変えるのは名前だけだ」
「変えなくていいよっ。むしろ変えないでっ」
案の定言い合いになった私と唯浜の向こう側では、水都ちゃんがぽーっと頬を染めていたりしたけど、総真くんの近くから唯浜を駆逐することに必死な私は気づかなかった。
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