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side蘭15
しおりを挟むお兄はこの話、小さな頃から知っている。
好きなものをひた隠しにする私を守ってくれたのもお兄と、私が中学生になってからは絵瑠ちゃんだった。
「無理に理由を探さなくてもいいと思うよ? こう、うまく説明できないけど、漠然と死ぬことが怖いとか、大きな声が怖いとか、そういうのってあるし」
「……死が怖い……?」
「うん。本で読んだんだけど、死んだこともないんだからどうしてかわからないけど、小さな頃から死ぬことが怖かったんだって。親には笑われるような話だけど、本当に怖くて泣いちゃう夜もあったとか」
「………」
私は泣く、まではしたことないから、怖さのベクトルは違うかもしれない。
でも、そういう『理由のわからない恐怖』を持っている人っているんだ……。
お兄が平坦な目で絵瑠ちゃんを見た。
「絵瑠ちゃんが腐女子ってバレるのが怖いの、理由は?」
「偏見の目で見られるから」
「あ、はい」
お兄、黙らされた。絵瑠ちゃんにはいつも負けているなあ。
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