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「成績やなんかの心配もあるし、何より桜葉ちゃんのために、一度ここを離れた方がいいと思う」

『………』

おや。戒の言葉を聞いて、怒りだすんじゃないかと思った櫻は黙って耳を傾ける氷室に少し驚いた。桜葉から離れさせようとするなんて許さない―――とか言うかと思った。

「氷室がいつ意識を取り戻すかわからないから傍にいたいって言うのもわかるけど……桜葉ちゃんが先にダウンしちゃったら、俺たちもそれこそ氷室に合わす顔がねえ。少し、休んでおいで?」

桜葉は淡々とした様子で戒の言葉を聞く。

「……ありがとうございます、先輩。でも……私はただ氷室くんの傍にいたいだけなので」

ふわりと、桜葉は微笑んだ。

「……そっか」

戒は深くは言わず、瞳を細め答えた。

「ノートはあたしたちがばっちり取ってるし、先生もこのことは了解してるから大丈夫だよ」

結優人が桜葉を励ますように言葉をかける。

「うん。ありがと、ゆうちゃん」

笑顔の桜葉に、戒と結優人の心は痛むばかりだ。……ばか氷室。お前、どこまでお人好しで出来てるんだよ。お前の判断を間違ってるなんて言えないけど、お前が哀しませたくねえのはこの子だけなんだろうが……ボケ。ボケボケ

「ボケボケボケボケボケボケ」

「戒先輩声に出てるよ」

結優人が冷静に突っ込む。戒先輩、言いたいことはわかるけど半眼で言われ続けるとまるで呪いでもかけているみたいだよ。

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