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3 霞湖の異変
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しおりを挟む「はい……。いつも、お母様が送ってきて、お姉さんが迎えに来られるんですけど、今日は迎えが遅くなるとか連絡なかったので、ここで李湖ちゃんと待っていたんですけど……」
……昼間、みんなが心配して探したとき、霞湖ちゃんは保健室にいた。
もしかしたら、隠れたわけではなくて、本気で体調不良だったのかもしれない。
「霞湖ちゃん、今日体調不良で早退したんです。もしかしたらまだ調子悪いのかもしれません……」
そう明かすと、先生は驚いたように目を見開いた。
「そうなんですか……どうしよう、お母様には連絡してあるんだけど、お仕事中なのか返事はなくて……」
どうやら、この時間まで残っているのは李湖ちゃんだけのようだ。
通常がどうなのかはわからないけど、この幼稚園はそう遅い時間まではやっていなかったと思う。
「俺が送っていくのは、たしか委任状とか必要なんですよね?」
「ええ……。委任状がないと、お任せできないんです……」
「じゃあ、俺、霞湖ちゃんの様子見てきましょうか?」
俺が勝手に李湖ちゃんを預かって家へ連れていくことが不可能なら、霞湖ちゃんの方を連れて来ればいいのではないか。
「えっ?」
「あ、俺の身元が心配でしたら、これ学生証です」
そう言って、カバンから学生証を取り出して先生に見せた。
「水束さんのおうち知ってるんで、ちょっと見てきて、霞湖ちゃんが迎えに来られないようなら、委任状もらってきます」
「それは……うーん……」
「りこのおうち、ほんやがいっていいます」
「ほんやがい? って、『本屋涯』?」
それは、このまちにある古書店の名前だ。
屋号というか、昔からそう呼ばれているらしい。
そういえば、この前結菜さんの車を止めたの、本屋涯の近くだったな……。
「本屋涯のおじいさんとおばあさんって、亡くなってたような……」
「そのおうちに、娘さんである李湖ちゃんのお母様が、娘さん二人と引っ越してきたそうです」
「そうなんですか。じゃあ、ちょっと見てきますね。必ず戻ってくるから、少しだけ待っててね、李湖ちゃん」
「はいっ」
「先生も、よろしくお願いします」
「はい、ありがとうございます。えーと……司くん?」
俺の学生証にある名前を呼んだ先生にもうなずいてみせて、本屋涯へ向かった。
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