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二 優しさをもらった気がした。
side咲桜3
しおりを挟む「マナさんが言うには、結果的に私と先生の双方で利害一致してますから、私もそれで納得しましたし。……心配なのは、この話が先生の結婚とかの障害にならないか、なんですけど……」
見上げると、先生は眉根を寄せた。
……不愉快にさせてしまったかな。
ちょっと不安に思っていると、先生は断言した。
「ならない。そういう面倒なことに自分から踏み入る気はないからな。だから俺の方の心配はしなくていい」
結婚を面倒と言い切った。
……ふーん? 彼女とかいないのかな。
あ、いたらマナさんはこんなことは頼まないか。
「そうですか? なら、いいんですけど」
私は少しほっとしたように息を吐いた。
……ん? 何にほっとしただろ。
「あ、あと、マナさんから先生のスマホの番号とか教えてもらったんですけど、大丈夫ですか?」
「そのくらい構わない。愛子対策で連絡も必要になるだろうしな」
愛子対策。
その言い方に、少し笑ってしまった。
マナさんの破壊力はよく知っておいでのようだ。
「お口に合うといいんですけど」
言いながら、味噌汁の味見をしてもらおうと、小皿に注いだ。
「どうぞ」と渡すと、先生は戸惑っていた。器を受け取ろうともしない。
「味見とか苦手ですか? あ、材料にアレルギーあるとか?」
そう思って材料を見分する。
その間に先生は小皿を受け取って、「いただく」と口に含んだ。
「……うまい」
小さかったけど、そんな声が聞こえた。
急に、肩から緊張が抜けた。
「ほんとですか? よかったー」
先生の反応で、私は安堵した。
先生の好みだったのは嬉しい。
「やっぱりすきな味とかありますからねー。よかったです」
在義父さんもそろそろ来るだろうしと、お椀によそっていく。
そんな私を見て、先生は言った。
「華取……なんか楽しんでないか?」
「楽し? ですか。……そう見えます?」
自分の頬を引っ張ってみる。楽しそうに見えたのかな?
すると、頬をつねっていた指を先生に止められた。
お、おお? 突然の先生の行動に戸惑った。
傍から見たら手を繋いでいる格好ではないか?
私の方を見てくるために先生の顔に影が出来て、昼間みたいに近づく。
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