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2 御門の朝
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しおりを挟む「黒ちゃん」
……二回も呼んできた。
「ナンデショウカ」
「なんでもないよ?」
「………」
怖―――っ! 女ってこういうとこ怖い! だから白以外ほんとやだ! 白愛してる!
「俺に言いたいことあるなら言っていいよ。相手が俺なら誰が咎めることもしないだろ」
黒藤は雑に頭をかきながら言う。
黒藤は小路の中でも爪はじき者だ。黒藤をかばいだてするのなんて他流派の白桜くらいのもの。
「言いたいことならあるよ。なんでもっと周りを頼らないの」
真紅に、ちょっと怒ってるような顔で言われた。
「……それ真紅が言っていいやつ?」
真紅は母親の紅亜と離れて暮らさざると得ない生い立ちから、たった一人の親友以外とは縁が薄いようだ。
「私は頼ったよ。白ちゃんと黒ちゃんを。白ちゃんなんて深夜に逢いに行ったからね」
「……そうだったな」
だから黒藤、ちょっといじったりした。
「黒藤様はあれですね」
「どれだよ」
なんかもういっそため口きけよってくらいの態度(半眼で見てくる)で架が言ってくる。
「身内と身内以外の区別が激しい」
……涙雨に言われた評価とはまた違った。
「そーか?」
「白桜さんの前でそんな反応しないでしょう」
白桜の前? 黒藤は少し考えた。………。
「……いや、ふつーにしてる」
「そうですか? いつも白桜さんに対してはテンション高いところしか見たことがないのですが」
いや架、俺そんなやばい奴でしかない奴演じてるわけでもねえのよ、と頭の中で反論。
「そりゃあ、お前がいる前で仕事の話とかしないからな。御門の家行ったときとかは真剣に話するよ」
「御門の家行ってるんですか黒藤様」
架に驚かれた。
小路と御門は司家直属の二大流派として名高いから、べたべたに仲がいいわけでもない。
敵対視している者もいるし、冷静な目で見ている者もいるという感じだ。
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