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2 御門の朝
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しおりを挟む「うん。俺、白里じいさんには嫌われてるけど、白桃様がよくしてくれててな。割と出入り自由。あと、うちの逆仁じいさんと白里じいさんは仲いいから」
「だ、大丈夫なんですか……?」
「天音に何回か首落とされかけてる」
「元鬼神という白桜さんの式ですか。黒藤様よく生きてますね」
元鬼神の息子だからな。とは、言わないでおいた。架の家も複雑だ。
「無炎がかばってくれるときもあるし、何より白が、俺が訪れることを嫌がらないからな」
当主である白桜の発言、態度は絶対だ。
白里も今もある程度の権力は持っているけど、現当主は白桜。
白桜は御門の人間から慕われている。だが白桜は天才じゃない。
自分のために命を投げた母を思い、親代わりとなって育ててくれた祖父を思い、努力することを怠らなかった。
堅物なところもあるくらい、真面目で真摯だ。そして紳士だ。
この学園や御門流の人間に、白を思っている奴がどれだけいることか。
黒藤は白桜に一人ひとり教えたいくらいだ。しかも男女区別なく。
白桜は男で通しているけど、人を想うのに性別は関係ないということだろう。簡単に言えばイケメンだし。性格もイケメンだし。
生徒や教師、果ては保護者までもが一度はときめいたことがあるという伝説持っているくらいだ。
百合緋が必死に白桜の耳に入らないようにしているから、本人は知らない伝説のようだが。
(……もやもやしてきた。白を大好きなのは俺だけでいいのに)
「黒ちゃん、改めてお礼がしたいって言ってたけど、何か考えてるの?」
「うん? あー……何がいいんだろ?」
「縁さんがお礼したいっていうんなら縁さんの意見聞いてからでいいと思うけど……」
「縁の礼は、逢いたい人と逢わせるとかになるかな……」
「? 逢いたい人……?」
「縁は名前の通りえにしの妖異だ。人と人や、人とモノのえにしを操ることが出来る。だから、久しく逢っていなかった誰かやモノとのえにしを繋いで再会させる、とかな。そういうのが得意なんだけど、華樹が逢いたい人とかいるかな……まあ御門本家に行けば逢えるか……?」
「えにしの妖異……」
そういえば、真紅が白のところへ深夜に訪れたことを涙雨から聞いて、ちょっと真紅と黎のえにしをいじってもらったこともあった。
なんかそんとき、黎は真紅にプロポーズされたらしいけど。
羨ましい。羨ましすぎてやんなきゃよかったと思う。
黒藤がえにしを繋いでほしい白桜は、ちょっと縁の手には負えないのでどうすることもできない。
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