18 / 77
3
嫉妬4 side水都
しおりを挟む
作之助、呆気にとられた顔になってしまった。
「どういうこと……?」
ですよね。そういう反応ですよね。
「あ、これ」
作之助は、肩にかけていた鞄からハンカチを取り出して渡してくれた。……ほんと紳士!
「ゆっくりでいいから、聞かせてもらっていい?」
自分の目元に借りたハンカチを当てながら肯く。
整理して話さなくちゃ……羽咲ちゃんにも由羽くんにも、誰にも言ったことのない話を。
わたしが隠してきたわたしを。
下唇を噛んで、視線を少し下へ向けた。
「……わたし、ずっと羽咲ちゃんと一緒だったの。玲くんたち幼馴染は多いけど、わたしと羽咲ちゃんだけ年下で、ずっと一緒だった。でも、一緒の高校へは行けなかった……」
「行かなかった、だよね、それ」
「………」
作之助の言葉は、優しい響きだけど容赦はなかった。
「水都さん、総常が絶対無理って成績じゃないよね。俺はてっきり、玲哉と一緒の高校に行くのが辛くて別にしたのかと思ってたけど……」
……ううん。
「それも、ある。わたしが玲くんに振られるのは、わたしが生まれる前から決まってたことだから。……でもやっぱり、羽咲ちゃんの隣にいるのがわたしじゃなくて、総真くんが当たり前な世界は……怖くて……怖くて、怖くて……。羽咲ちゃんは総真くんのことがずっと大好きだったから、応援してたし、離れることも出来た。総真くんが恨めしいのは嘘じゃないけど、自分の中で割り切れた。そうしたら今度は作之助だった」
「……俺?」
作之助は、なんでそこで自分が? みたいな顔で瞬いた。そうだよ。作之助だよ。
「さ、作之助はわたしにとって初めて出来た友達だから、特別大事なの。ほかの人とは比べられない。なのに総真くんと仲良くなっちゃって……羽咲ちゃんと一緒にいた頃から心の隅にあった恐怖心がよみがえった。いつか羽咲ちゃんは、わたしの隣からいなくなっちゃうんだ、って……。それが、作之助にも、適用? 当てはまって? しまって……そ、総真くんに、作之助をとらないでって挑戦状つきつけるつもりだったの」
「…………」
「……バカって言っていいよ。バカなことした自覚あるから」
ぶすくれた顔で言うと、作之助は片手で口元を覆った。
とんでもない罵詈雑言が出そうだったから慌てて隠したとか!? え、なんて声をかければ――、と悩んでいるうちに、作之助の両肩が震え出した。
「え……作之助?」
「ごめ……馬鹿にしてるわけじゃないよ。ただ……いやごめん、これは笑うって……っ」
挑戦状が作之助の笑いのツボだったのだろうか……。
ひとしきり肩を震わせたと、また「ごめんね」と繰り返した。
目じりに涙まで浮かべて、またわたしを見て来た。
そんなにおかしかったんだ、わたしの行動……。
なんだか身の置き場がない……。
「あー、久々に笑った。つまり水都さんは、友達がとられたみたいでいやだったってこと?」
「……たぶん」
羽咲ちゃんも作之助も、大事な友達だ。
「それで挑戦状? を用意したと」
「……うん」
そういう経緯であっている……はず。
「……わたしがそれ言いだしたの昼休みなんだけど、もしかして作之助、つけてきたの?」
タイミングよく現れたから尾行されていたんじゃないかと疑ってしまう。
俵担ぎにされたこと、怒ってはないけど恥ずかしかった……。
「いや、水都さんのクラスの人は昼休みから俺のこと探してたみたいなんだけど、静かに本読める場所ないかなーってフラフラしてたから捕まらなかったみたいで。帰ろうとしたところで水都さんが何かやらかしそうって聞いて、総真の名前連呼してたって言うから、とりあえず総真んとこ行ってみようと思って来た」
作之助の説明を聞いて思った。
………みなさんほんとごめんなさい。
「あの場で話聞けたらよかったんだけど、水都さんめちゃくちゃ殺気立ってたから、とにかく総真から引き離さないとと思って……担いでごめん」
作之助が頭を下げて来た。作之助がそんなことする必要ないよ!
「謝らないでっ。今回の、悪いのは完全に自分だって自覚あるから。………」
でも、作之助を取られるのは本当に嫌だった。
そう言おうとしたんだけど、どうしてか音にはならなかった。
作之助に言葉を遮られたとか、わたしに喋らせないような威嚇をしてきたなんてことはない。
最初に逢ったときから変わらない、穏やかな顔でわたしを見ていただけだ。
……それにどうしてか、泣きたくなった。
下唇を噛んでこらえる。今わたしが泣くのはずるい。作之助は優しいからきっと慰めてくれる。
……わたしが元凶でこんな状態になっているのに、そんなことはさせたくなかった。
「俺、水都さんがはじめてだよ」
「………へ?」
ぽつりと作之助が言った。穏やかな眼差しでわたしを見たまま。
「俺にとって、はじめてで大事な友達。水都さんだよ。離れるなんてできるわけないよ」
「どういうこと……?」
ですよね。そういう反応ですよね。
「あ、これ」
作之助は、肩にかけていた鞄からハンカチを取り出して渡してくれた。……ほんと紳士!
「ゆっくりでいいから、聞かせてもらっていい?」
自分の目元に借りたハンカチを当てながら肯く。
整理して話さなくちゃ……羽咲ちゃんにも由羽くんにも、誰にも言ったことのない話を。
わたしが隠してきたわたしを。
下唇を噛んで、視線を少し下へ向けた。
「……わたし、ずっと羽咲ちゃんと一緒だったの。玲くんたち幼馴染は多いけど、わたしと羽咲ちゃんだけ年下で、ずっと一緒だった。でも、一緒の高校へは行けなかった……」
「行かなかった、だよね、それ」
「………」
作之助の言葉は、優しい響きだけど容赦はなかった。
「水都さん、総常が絶対無理って成績じゃないよね。俺はてっきり、玲哉と一緒の高校に行くのが辛くて別にしたのかと思ってたけど……」
……ううん。
「それも、ある。わたしが玲くんに振られるのは、わたしが生まれる前から決まってたことだから。……でもやっぱり、羽咲ちゃんの隣にいるのがわたしじゃなくて、総真くんが当たり前な世界は……怖くて……怖くて、怖くて……。羽咲ちゃんは総真くんのことがずっと大好きだったから、応援してたし、離れることも出来た。総真くんが恨めしいのは嘘じゃないけど、自分の中で割り切れた。そうしたら今度は作之助だった」
「……俺?」
作之助は、なんでそこで自分が? みたいな顔で瞬いた。そうだよ。作之助だよ。
「さ、作之助はわたしにとって初めて出来た友達だから、特別大事なの。ほかの人とは比べられない。なのに総真くんと仲良くなっちゃって……羽咲ちゃんと一緒にいた頃から心の隅にあった恐怖心がよみがえった。いつか羽咲ちゃんは、わたしの隣からいなくなっちゃうんだ、って……。それが、作之助にも、適用? 当てはまって? しまって……そ、総真くんに、作之助をとらないでって挑戦状つきつけるつもりだったの」
「…………」
「……バカって言っていいよ。バカなことした自覚あるから」
ぶすくれた顔で言うと、作之助は片手で口元を覆った。
とんでもない罵詈雑言が出そうだったから慌てて隠したとか!? え、なんて声をかければ――、と悩んでいるうちに、作之助の両肩が震え出した。
「え……作之助?」
「ごめ……馬鹿にしてるわけじゃないよ。ただ……いやごめん、これは笑うって……っ」
挑戦状が作之助の笑いのツボだったのだろうか……。
ひとしきり肩を震わせたと、また「ごめんね」と繰り返した。
目じりに涙まで浮かべて、またわたしを見て来た。
そんなにおかしかったんだ、わたしの行動……。
なんだか身の置き場がない……。
「あー、久々に笑った。つまり水都さんは、友達がとられたみたいでいやだったってこと?」
「……たぶん」
羽咲ちゃんも作之助も、大事な友達だ。
「それで挑戦状? を用意したと」
「……うん」
そういう経緯であっている……はず。
「……わたしがそれ言いだしたの昼休みなんだけど、もしかして作之助、つけてきたの?」
タイミングよく現れたから尾行されていたんじゃないかと疑ってしまう。
俵担ぎにされたこと、怒ってはないけど恥ずかしかった……。
「いや、水都さんのクラスの人は昼休みから俺のこと探してたみたいなんだけど、静かに本読める場所ないかなーってフラフラしてたから捕まらなかったみたいで。帰ろうとしたところで水都さんが何かやらかしそうって聞いて、総真の名前連呼してたって言うから、とりあえず総真んとこ行ってみようと思って来た」
作之助の説明を聞いて思った。
………みなさんほんとごめんなさい。
「あの場で話聞けたらよかったんだけど、水都さんめちゃくちゃ殺気立ってたから、とにかく総真から引き離さないとと思って……担いでごめん」
作之助が頭を下げて来た。作之助がそんなことする必要ないよ!
「謝らないでっ。今回の、悪いのは完全に自分だって自覚あるから。………」
でも、作之助を取られるのは本当に嫌だった。
そう言おうとしたんだけど、どうしてか音にはならなかった。
作之助に言葉を遮られたとか、わたしに喋らせないような威嚇をしてきたなんてことはない。
最初に逢ったときから変わらない、穏やかな顔でわたしを見ていただけだ。
……それにどうしてか、泣きたくなった。
下唇を噛んでこらえる。今わたしが泣くのはずるい。作之助は優しいからきっと慰めてくれる。
……わたしが元凶でこんな状態になっているのに、そんなことはさせたくなかった。
「俺、水都さんがはじめてだよ」
「………へ?」
ぽつりと作之助が言った。穏やかな眼差しでわたしを見たまま。
「俺にとって、はじめてで大事な友達。水都さんだよ。離れるなんてできるわけないよ」
0
あなたにおすすめの小説
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている
甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。
実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。
偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。
けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。
不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。
真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、
少し切なくて甘い青春ラブコメ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる