どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋6-【完】

桜月真澄

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嫉妬4 side水都

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作之助、呆気にとられた顔になってしまった。

「どういうこと……?」

ですよね。そういう反応ですよね。

「あ、これ」

作之助は、肩にかけていた鞄からハンカチを取り出して渡してくれた。……ほんと紳士!

「ゆっくりでいいから、聞かせてもらっていい?」

自分の目元に借りたハンカチを当てながら肯く。

整理して話さなくちゃ……羽咲ちゃんにも由羽くんにも、誰にも言ったことのない話を。

わたしが隠してきたわたしを。

下唇を噛んで、視線を少し下へ向けた。

「……わたし、ずっと羽咲ちゃんと一緒だったの。玲くんたち幼馴染は多いけど、わたしと羽咲ちゃんだけ年下で、ずっと一緒だった。でも、一緒の高校へは行けなかった……」

「行かなかった、だよね、それ」

「………」

作之助の言葉は、優しい響きだけど容赦はなかった。

「水都さん、総常が絶対無理って成績じゃないよね。俺はてっきり、玲哉と一緒の高校に行くのが辛くて別にしたのかと思ってたけど……」

……ううん。

「それも、ある。わたしが玲くんに振られるのは、わたしが生まれる前から決まってたことだから。……でもやっぱり、羽咲ちゃんの隣にいるのがわたしじゃなくて、総真くんが当たり前な世界は……怖くて……怖くて、怖くて……。羽咲ちゃんは総真くんのことがずっと大好きだったから、応援してたし、離れることも出来た。総真くんが恨めしいのは嘘じゃないけど、自分の中で割り切れた。そうしたら今度は作之助だった」

「……俺?」

作之助は、なんでそこで自分が? みたいな顔で瞬いた。そうだよ。作之助だよ。

「さ、作之助はわたしにとって初めて出来た友達だから、特別大事なの。ほかの人とは比べられない。なのに総真くんと仲良くなっちゃって……羽咲ちゃんと一緒にいた頃から心の隅にあった恐怖心がよみがえった。いつか羽咲ちゃんは、わたしの隣からいなくなっちゃうんだ、って……。それが、作之助にも、適用? 当てはまって? しまって……そ、総真くんに、作之助をとらないでって挑戦状つきつけるつもりだったの」

「…………」

「……バカって言っていいよ。バカなことした自覚あるから」

ぶすくれた顔で言うと、作之助は片手で口元を覆った。

とんでもない罵詈雑言が出そうだったから慌てて隠したとか!? え、なんて声をかければ――、と悩んでいるうちに、作之助の両肩が震え出した。

「え……作之助?」

「ごめ……馬鹿にしてるわけじゃないよ。ただ……いやごめん、これは笑うって……っ」

挑戦状が作之助の笑いのツボだったのだろうか……。

ひとしきり肩を震わせたと、また「ごめんね」と繰り返した。

目じりに涙まで浮かべて、またわたしを見て来た。

そんなにおかしかったんだ、わたしの行動……。

なんだか身の置き場がない……。

「あー、久々に笑った。つまり水都さんは、友達がとられたみたいでいやだったってこと?」

「……たぶん」

羽咲ちゃんも作之助も、大事な友達だ。

「それで挑戦状? を用意したと」

「……うん」

そういう経緯であっている……はず。

「……わたしがそれ言いだしたの昼休みなんだけど、もしかして作之助、つけてきたの?」

タイミングよく現れたから尾行されていたんじゃないかと疑ってしまう。

俵担ぎにされたこと、怒ってはないけど恥ずかしかった……。

「いや、水都さんのクラスの人は昼休みから俺のこと探してたみたいなんだけど、静かに本読める場所ないかなーってフラフラしてたから捕まらなかったみたいで。帰ろうとしたところで水都さんが何かやらかしそうって聞いて、総真の名前連呼してたって言うから、とりあえず総真んとこ行ってみようと思って来た」

作之助の説明を聞いて思った。

………みなさんほんとごめんなさい。

「あの場で話聞けたらよかったんだけど、水都さんめちゃくちゃ殺気立ってたから、とにかく総真から引き離さないとと思って……担いでごめん」

作之助が頭を下げて来た。作之助がそんなことする必要ないよ!

「謝らないでっ。今回の、悪いのは完全に自分だって自覚あるから。………」

でも、作之助を取られるのは本当に嫌だった。

そう言おうとしたんだけど、どうしてか音にはならなかった。

作之助に言葉を遮られたとか、わたしに喋らせないような威嚇をしてきたなんてことはない。

最初に逢ったときから変わらない、穏やかな顔でわたしを見ていただけだ。

……それにどうしてか、泣きたくなった。

下唇を噛んでこらえる。今わたしが泣くのはずるい。作之助は優しいからきっと慰めてくれる。

……わたしが元凶でこんな状態になっているのに、そんなことはさせたくなかった。

「俺、水都さんがはじめてだよ」

「………へ?」

ぽつりと作之助が言った。穏やかな眼差しでわたしを見たまま。

「俺にとって、はじめてで大事な友達。水都さんだよ。離れるなんてできるわけないよ」

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