どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋6-【完】

桜月真澄

文字の大きさ
17 / 77

嫉妬3 side水都

しおりを挟む
颯爽と姿を見せた総真くん。

さあ、気合をこめて書いたこれの出番だ!

「あれがそうまくんさん……」

「なんかクールなんだか朗らかななんだかわからない……」

「どっちも正解ではずれだね」

露季ちゃんと快理ちゃんが彩加ちゃんと話していたけど、今わたしが気にするのは総真くんだ。

総真くんがわたしの目の前に来た。

「待たせちゃったかな。ごめんね。何かあったの?」

いつも通り騙されないか心配なくらい人のいい笑顔を見せる総真くん。

わたしは総真くんを見上げた。

「総真くんに言いたいことがあって」

「うん?」

――よし。言うんだ!

「これ以上わたしの大事な人をとらないで! 作之助はわたしの友達ですっ!」

「………うん? え、知ってるけど……別にとって? もいないし……」

本気で困った顔をする総真くん。

「往生際の悪い……っ」

もうここで挑戦状の出番――

「ごめん水都さん! 抱えるよ!」

――え?

鞄から挑戦状を取り出そうとした瞬間、身体が宙に浮いた気がした。

「作之助」

総真くんの声で、わたしが今作之助に抱えられていることに気付いた。

「さ、作之助! 離して! わたしはこれから総真くんに――」

「いいからちょっと黙ってて! 総真ごめん。あとで説明するからこの場は見逃して!」

作之助は言うなり、わたしを抱えたまま駆けだした。

俵(たわら)担ぎで。

背中と足を押さえられていて、わたしの視界に映るのは作之助の背中だ。

作之助は容赦なく走るから、わたしとしては超高速で後ろ走りしているみたいなものだ。風景がおかしい。

「作之助!」

「黙っててって言ったろ」

いやいやいや! 滅茶苦茶注目浴びまくってるからね!? 長身の作之助の頭より高い位置にわたしの目があるから、とんでもなく地面が遠い。

走った作之助は途中にあった公園に入って、ベンチにわたしをおろした。

「ごめん、ちょっと水都さんのクラスの人に助けを求められたから出張った」

「あ、そう、ですか……」

作之助は怒っているようではない……。

けど、わたし、怒られるよね……。

「………」

「………」

妙な沈黙が落ちる。わたしから口を開くにしても、何を言ったらいいんだろう……。

そもそも作之助はどこまで知っててここにいるんだろうか……。

「さっき――」

ベンチに座ったわたしの前に立つ作之助が、わたしを見おろしながら言った。

「水都さんのクラスの人から、水都さんが暴走して他校に乗り込もうとしてるからどうにかしてって言われたんだけど」

「………」

ぼ、暴走……。言い返せない……。

言葉に続いて作之助がしゃがんできたから、今度は作之助の目がわたしより下になる。

作之助が真っすぐに見て来るから、逸らせる視線も逸らせない……。

「総真に用があったの? 平和な話だった? 俺が聞いた感じだと殴り込みに行きそうってことだったから連れだしたんだけど……邪魔したかな」

………。平和な話ではないです……。

けど、そんなこと言えずに唇に力を入れて黙った。

……作之助を取られたから取り返しに行った、なんて本人に言えるわけがない。

今更ながら考えてみればふつーに恥ずかしい話でしかないよこれ!

「水都さん?」

「ごめん! わたしのこと見ないで!」

顔を両手で覆って、額が膝にくっつくように勢いよく体を折って更に顔を隠した。

嫉妬とか恨みつらみとか、それでも総真くんも作之助も大好きだって気持ちで頭も顔もぐちゃぐちゃだ。

みっともないしカッコ悪いし……こんなの知られたら呆れられて見捨てられてしまうよ……。

はあ……と正面からため息が聞こえて心の中でびくっとしてしまった。

こ、こんなことして友達失うなんて……っ、

「さく――」

「……無理には訊かないよ。ただ……俺が原因で水都さんを困らせてるかな。今朝からそんな感じしてたんだけど……そうだとしたら、俺に出来る限りのことはしたいと思うんだ」

恐怖に顔をあげたわたし向かって、作之助は穏やかにそう言ってくれた。

嫉妬の涙まみれの顔を見ても、作之助は微笑んでくれる。

作之助……本当に優しい人だ……私利私欲なわたしなんか、作之助の友達に相応しくない……でも……怖かったんだ、わたしは……。

「さ、作之助が総真くんと仲良くなったら、また……羽咲ちゃんのときみたいに、わたし独りになっちゃうと思って……」

「………は?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~

スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。 何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。 ◇◆◇ 作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。 DO NOT REPOST.

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

処理中です...