21 / 77
3
嫉妬7 side水都
しおりを挟む
恥じらいを求めるような……恥じらい?
「え、なにそれ」
突拍子のない作之助の言葉に、半眼になってしまった。
「恥ずかしいって思うことくらいあるだろ?」
「あるけど……作之助に俵担ぎされたとき恥ずかしかった」
「……それは俺が悪かった。けど、同性ならともかく――いや、水都さんの場合は同性であっても異性であっても、簡単にす……すきとか言わない。誤解されるから」
「はあ……」
誤解? わたしが羽咲ちゃんや作之助を大好きなのは本当だから、誤解されるなら「嫌い」って思われる方だけど……。
って、同性も駄目なの? 女子同士って割と普通に「すきー」とか言うけど……。
羽咲ちゃんに何万回言ったかわからないよ。
作之助に食って掛かってもいいんだけど、なんとなくここは大人しく言うことを聞いておいた方がいいような気がする。
作之助と喧嘩したいわけじゃないし、むしろ喧嘩とかせずに仲良くしていたい。
「わかりました。簡単に言わないようにします」
「うん」
「だから理由を教えてください。わたしが納得出来る理由だったら、作之助の言うことききます」
そう続けると、作之助はうっと息を詰まらせた。
わたしが作之助を見たままでいると、少しため息をついてから話し出した。
「今の時世、同性愛も珍しくない。だから、簡単に他人にす……「すき」とか言ってると、言われた方は水都さんに恋愛対象に見られているかもって期待するだろうし、それを聞いた周りも水都さんはこの人が恋愛対象としてすきなんだって誤解するかもしれない。水都さんが本当にすきになった人ならいいんだけど……友達に軽々しく言わない方がいいってこと。俺の考えでしかないけど」
「………」
なるほど。わたしの『大好き』が恋愛対象へ向けた『好き』だと誤解されるってことか。
面倒だったろうに、ちゃんと言葉にして教えてくれた作之助はやっぱり紳士だ。
「そういう理由ならわかった。付き合いたいって思った人以外には言わないようにする」
「そうして。……じゃあ帰るよ。総真に、水都さん送ってって言われてるから」
「あ、ありがとう……あ! 露季ちゃんと快理ちゃん置いてきちゃったのどうしようっ」
帰れなくなってたらどうしようと慌てていると作之助が、「総真が、山手さんと常盤さんは帰ったって言ってたよ」と教えてくれた。
そっか……よかった。今日グループメッセージで謝っておこう。謝り倒しておこう。
+++
「………」
「………」
そしてわたしの家までの帰り道ですが……会話がない! 作之助と一緒で会話がないなんて今までにあった? 何か喋らなくちゃと思うんだけど、口がうまく動かない……。
「水都さん」
「はっ、はい!?」
呼ばれて隣を見上げると、作之助は前を向いたまま話していた。
「俺今まで友達いなくて玲哉も友達って言うより古なじみって感じだし、友達をうまくやれるかはわからないけど、護衛ならやれると思うんだ」
「あ……うん?」
ごえい? って、……護衛? なにかを護ってるのかな?
「だから、安心していいからね」
「あ……うん」
なんだろう、わたしが関わるものを護っているのかな。
「えーと……作之助、」
「あ、着いたね。じゃあ俺はこれで」
「あ、うん。ありがとう」
作之助に何を安心していいのって訊いていいのかな……? って迷っていたらうちについてしまった。
もう一度言っておかないとと思って、門の前で作之助に頭を下げた。
「あの、今日は本当にごめんなさい」
「本当だよ」
う……作之助だんだん容赦なくなってきている……。下げた頭をあげにくい……。
「ちゃんと謝っておくんだよ。方々(ほうぼう)に」
「はい……」
わたしはどれだけの方向に迷惑かけたんだ……。ごめんなさい。
「また明日」
「は、はいっ。また」
その声を聞いてやっと顔をあげられると、作之助は怒った顔ではなかった。
むしろ微笑んでくれていて……本当に優しいなあ。
遠ざかる作之助の後ろ姿を見ながら、頭の中で謝る人をピックアップしていた。
「え、なにそれ」
突拍子のない作之助の言葉に、半眼になってしまった。
「恥ずかしいって思うことくらいあるだろ?」
「あるけど……作之助に俵担ぎされたとき恥ずかしかった」
「……それは俺が悪かった。けど、同性ならともかく――いや、水都さんの場合は同性であっても異性であっても、簡単にす……すきとか言わない。誤解されるから」
「はあ……」
誤解? わたしが羽咲ちゃんや作之助を大好きなのは本当だから、誤解されるなら「嫌い」って思われる方だけど……。
って、同性も駄目なの? 女子同士って割と普通に「すきー」とか言うけど……。
羽咲ちゃんに何万回言ったかわからないよ。
作之助に食って掛かってもいいんだけど、なんとなくここは大人しく言うことを聞いておいた方がいいような気がする。
作之助と喧嘩したいわけじゃないし、むしろ喧嘩とかせずに仲良くしていたい。
「わかりました。簡単に言わないようにします」
「うん」
「だから理由を教えてください。わたしが納得出来る理由だったら、作之助の言うことききます」
そう続けると、作之助はうっと息を詰まらせた。
わたしが作之助を見たままでいると、少しため息をついてから話し出した。
「今の時世、同性愛も珍しくない。だから、簡単に他人にす……「すき」とか言ってると、言われた方は水都さんに恋愛対象に見られているかもって期待するだろうし、それを聞いた周りも水都さんはこの人が恋愛対象としてすきなんだって誤解するかもしれない。水都さんが本当にすきになった人ならいいんだけど……友達に軽々しく言わない方がいいってこと。俺の考えでしかないけど」
「………」
なるほど。わたしの『大好き』が恋愛対象へ向けた『好き』だと誤解されるってことか。
面倒だったろうに、ちゃんと言葉にして教えてくれた作之助はやっぱり紳士だ。
「そういう理由ならわかった。付き合いたいって思った人以外には言わないようにする」
「そうして。……じゃあ帰るよ。総真に、水都さん送ってって言われてるから」
「あ、ありがとう……あ! 露季ちゃんと快理ちゃん置いてきちゃったのどうしようっ」
帰れなくなってたらどうしようと慌てていると作之助が、「総真が、山手さんと常盤さんは帰ったって言ってたよ」と教えてくれた。
そっか……よかった。今日グループメッセージで謝っておこう。謝り倒しておこう。
+++
「………」
「………」
そしてわたしの家までの帰り道ですが……会話がない! 作之助と一緒で会話がないなんて今までにあった? 何か喋らなくちゃと思うんだけど、口がうまく動かない……。
「水都さん」
「はっ、はい!?」
呼ばれて隣を見上げると、作之助は前を向いたまま話していた。
「俺今まで友達いなくて玲哉も友達って言うより古なじみって感じだし、友達をうまくやれるかはわからないけど、護衛ならやれると思うんだ」
「あ……うん?」
ごえい? って、……護衛? なにかを護ってるのかな?
「だから、安心していいからね」
「あ……うん」
なんだろう、わたしが関わるものを護っているのかな。
「えーと……作之助、」
「あ、着いたね。じゃあ俺はこれで」
「あ、うん。ありがとう」
作之助に何を安心していいのって訊いていいのかな……? って迷っていたらうちについてしまった。
もう一度言っておかないとと思って、門の前で作之助に頭を下げた。
「あの、今日は本当にごめんなさい」
「本当だよ」
う……作之助だんだん容赦なくなってきている……。下げた頭をあげにくい……。
「ちゃんと謝っておくんだよ。方々(ほうぼう)に」
「はい……」
わたしはどれだけの方向に迷惑かけたんだ……。ごめんなさい。
「また明日」
「は、はいっ。また」
その声を聞いてやっと顔をあげられると、作之助は怒った顔ではなかった。
むしろ微笑んでくれていて……本当に優しいなあ。
遠ざかる作之助の後ろ姿を見ながら、頭の中で謝る人をピックアップしていた。
0
あなたにおすすめの小説
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている
甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。
実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。
偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。
けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。
不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。
真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、
少し切なくて甘い青春ラブコメ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる