どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋6-【完】

桜月真澄

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偶然1 side作之助

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……ん? なんか物音する……。

水都さんの総真殴り込み事件を無事(?)解決した日の夜遅く。

部屋でベッドに寝転がって本を読んでいたら物音に気付いた。

まさか泥棒? ……なんていうことはない。父親か母親が一時帰宅したんだろう。いつもなら無視……するところだけど。

手が、自分の部屋のドアを押し開けていた。

消したはずの廊下とリビングに電気がついている。

リビングのドアを開けると、キッチンの方から小柄な姿が現れた。

「あら。起きてたの」

二か月……ぶりくらいに逢った母親は、開口一番にそう言った。

「本読んでた」

そして俺も俺で、「久しぶり」とか「おかえり」といった言葉はない。お互いさまか。

「そう。相変わらず本好きなの。お金は足りてる?」

「うん。図書館で借りて、何度も読みたいのだけ買ってる」

親が帰ってこないのが常だったので、図書館で節約料理本を借りてきて簡単な料理は覚えた。

外食は高くつくから。節約っていいよ。余ったお金で小説買えるから。

……お金を貯めたのち使っていることには変わりないけど。

あ。

「メシ、まだなら冷蔵庫におかずあるよ。炊いた米は冷凍庫」

俺一人の食生活だから、米は一度に多めに炊いて冷凍しておく派だ。

「……何そのカオ」

冷蔵庫の前に行くと、母親がびっくり顔で固まっているのに気づいた。

「いや……あんたからそんなこと言われたことないから……って、料理出来たの?」

「いやでも覚えるよ。で? 食うの? 食わないの?」

「……食べる」

母親はまだびっくりが残っているのか、反応にタイムラグがある。

夕飯に作った肉じゃがと味噌汁をあたためなおす。

ご飯はおにぎり型にしてラップにくるんでいるから、それもひとつ解凍。

味噌汁以外は全部電子レンジさん任せです。
 
ダイニングテーブル……長いこと一人でしか使っていなかったところに、母親が座っている。

あ、やべ、母親の箸あったっけ……戸棚を探すと未開封の箸が二膳あったから、一膳開けて出す。

「どーぞ」

俺としてはいつも通りの調子でテーブルに並べると、母親はぎこちない様子で「ありがとう……」と言って来た。

それから何を思ったか俺を呼び止める。

「なに?」

部屋に戻って読書を再開しようと思っていたところを呼ばれて(そろそろ寝ないと明日に響く自覚もあるので少し読んだら寝るつもり)振り返ると、母親はなんかそわそわしていた。

「あの……よかったら少し話さない……?」

「……いいけど……」

なんだ? 今更俺と話すことなんてあったか?

母親の意図のわからないまま、ダイニングテーブルの椅子を引いて座った。

いつも使っている位置的には母親の前。母親は味噌汁からすすった。

「美味しい……すごいわね、あんた」

「どーも?」

メシの感想をわざわざ言うために呼び止めたんかい。

これでも無遅刻無欠席貫いている身としてはさっさと寝たいところなんだが。

「……なにか、あったの?」

肉じゃがをつつきながら母親がそんな風に言って来た。

あ? なにかって……

「………友達ができた……?」

あえて言うなら、最近友達が出来たことが変わったことだろうか。

「そうなの……どんな人?」

……なんか母親の興味を刺激してしまったらしい。興味津々な目で見て来る……。

テーブルに片頬杖をつきながら言葉を探す。水都さんを表す言葉……。

「……行動力がすごい」

「パワフルってこと?」

「あとときどきわかんない言葉話す」

「え、帰国子女?」

「そしてやっぱり行動力が半端ない」

「どんだけ動ける人なの」

半端なく動ける人だよ。

まあでも一番は。

「……俺のこと、全然怖がらない人」

ヤンキーの弟子入りとか意味わからんこと言って突撃してくるくらいだからな。

水都さんは一貫して心臓が鋼だ。

「そう……学校、楽しい?」

手にした箸を宙に浮かせた母親が、俺の方を見て少し楽しそうな顔をしていた。

……母親の無表情じゃない顔を見たの、何年ぶりだ……?

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