どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋6-【完】

桜月真澄

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偶然2 side作之助

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えーと、なんて返せばいいかな……。

まあ楽しいっちゃ楽しいけど、水都さんに関わり出してから喧嘩に巻き込まれるとは違う面倒ごとに関わらなくちゃいけなくなったな……これも俺が水都さんを拒否していれば関わらなくていいことなんだろうけど、拒否や拒絶は出来ないでいる……。

どうしてか、って言われたら……。

「……うん、楽しい……と思う」

母親の言う通り、俺は今学校が楽しいのだと思う。

水都さんのおかげで。

水都さん以外に学内に友達と言えるほど親しい人が出来たわけではないけど、今までの不良扱いの遠巻きとは、みんなの態度が全然違う。

それもこれも、水都さんのおかげで。

「友達のおかげ」

そう付け足すと、母親は唇の端をゆるめた。

「そう。よかったわね、作之助」

「―――」

名前。

……家族に呼ばれたの、何年ぶりだろう……。

なんか気恥ずかしくなってしまって、手を顔を隠すような位置まで持ち上げた。

「あ、言い忘れてたんだけど、お母さんこれからまた出なくちゃいけないのよ。あ~、作之助のお友達の話もっと聞きたいのに~」

と、ガチで悔しがっている様子の母親。

……一気に態度くだけたな。悪くはないけど。

「そ。じゃあまあ……気をつけて」

まだ気恥ずかしさが残りながら言うと、母親は目をまん丸に見開いた。

「……なに」

「作之助にそんなこと言われたことなかったから……あ、今のは気にしないで。うん。気をつけて行ってくるわ。だから作之助も……お友達と、仲良くね」


+++


……友達と仲良く、か……。

翌日――つまりは水都さんの殴り込み事件の翌日朝。

一人で登校中に、昨日……時間的には夜中だったから今日かもしれないけど、母親から言われた言葉を頭の中で反芻していた。

俺が今まで友達みたいに付き合ってこられたのは玲哉だけだけど玲哉は俺のことを『古なじみ』と言うから、向こうも友達とかいう認識は薄いのかもしれない。

なんか玲哉は幼馴染多そうだし。

そんな俺だから、『友達と仲良くする』方法がわからないでいた……。

男同士だと喧嘩したら友達みたいなノリを本で読んだことはあるけど、今まで喧嘩してきた人でそんなノリになれた人はいない。

物語は創造だからなのか、俺が物騒だからなのか……。

『友達と仲良くする』を訊ける相手もいないし……あ。

由羽はどうだろう。

水都さんに訊いてもいいんだけど、総真と友達になったことで水都さんの地雷踏んだばかりだし、心配をかけたくないと言うか……。

そういや由羽のことはスルーしてたな、水都さん。

あれ? 俺由羽とも友達になったよって言わなかったか……? 憶えていない……。

まあ、水都さんと由羽が幼馴染ならいずれ知られることだ。

次は姫担ぎで連れ出せばいいんだろうか。

とりあえず由羽に連絡取ってみよう。

由羽は一見クールだけど表情豊かな総真とは反対で、パッと見完璧王子系だったけど大体無表情だった。

落ち着いていると言うか、大人だなあって感じがした。苦いコーヒーみたいな。

玲哉は大人を超越した存在にガキの頃から思っている。もはや人間じゃないと思っている。

連絡……あ、昨日の水都さんの暴走の報告でもしておくか。

妹の司さんから聞いているだろうけど、ほかにメッセージを送るネタが思いつかない……。

コミュ障だからゆるしてほしい。

歩きスマホは駄目なので、路肩に足を停めて通行の邪魔にならないような位置に立った。

カバンのポケットから取り出して……えーと、由羽は……あった。

真っ新な、名前だけが載っている画面が映し出される。

初っ端だからなあ、なんて書き始めよう。

まずは挨拶かな。時間が今だしおはようでいいか――

「あ、いたいた。コガサクー」

うん? 手元から顔をあげると、なんか見覚えある奴らがいた。

三人、他校……前にノしたな。

「………」

俺が黙っていると、俺を取り囲むように立ったそいつら。

人がいない場所でよかった。だって――

「なあ、最近お前の残念な噂ばかり聞くんだけど、あれデマだよな? お前まだまだ――」

「さようならー」

「は? えっ!」

簡単に逃げられるから。

人が多いところで、例えば同じ学校の人を人質に取られたとかなったら面倒だった。

そういう対象がいない場所で声かけてくれてありがと。問題なく逃げられるわ。

「待てよコガサク!」

「やでーす」

と言うか、待てと言われて待つ奴がいるかっていうのは古典的なネタだろうに。使い古されているぞ。

このままなら追いつかれることはないな。さて、逃げ切るかね。

俺の逃げ上等な腑抜けの醜態を見せつけられるがいいー。はははー。

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