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偶然10 side作之助
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水都さんのその決断が、ご両親への負い目ならばちょっとやだな。
水都さんの父様も母様もそんなことは望んでいないだろうし、俺も水都さんにそんな道は選んでほしくない。
現に水都さんの父様は、『水都は水都のやりたい道を生きろ』って言った。
……水都さんが自覚している通り、水都さんは、水都さんの父様と母様に愛されている。
だからこそ、そう思ってしまうのだろうか。愛してくれた恩返しをしたい、と。
俺なんかは放っておかれて育ったタイプだから、親への恩返しなんて考えたことがなかった。お互い好きに生きればいい、って感じで。
それに対して今まで特に思うこともなくて、実際今も俺の家庭のことはどうとも思えないんだけど、水都さん家族を見ていると、愛情って伝えても、自分が思ってるようには伝わりきらないんだなって思ってしまう。
複雑。そして尊い。相手を大事に思ってのことなのに、相手の意にそぐわないなんて。それでも、相手を思って行動せずにはいられない。
これが人間関係ってものなのだろうか。
友達一年生の俺は、まだまだ学ぶことばかりだ。
「ごめんね、作之助くん」
水都さんと水都さんの父様の仲介役になった水都さんの母様が、申し訳なさそうに俺に声をかけてきた。
「せっかく来てくれたのに喧嘩なんか見せちゃって」
「いえ。その、大事なお話だと思いますから……」
水都さんの意思と、水都さんの父様の意思を尊重するためには、ぶつかる必要もあるのかもしれない。
俺は考え的なことでぶつかることは避けがちだけど、『必要』なこともあるって、水都さんと友達になって思うようになってきた。
俺、水都さんとは割と衝突しているからな……でも友達やめようなんて思わないんだから、『友達』は奥が深い。喧嘩イコール嫌いではないんだなというのも発見だ。
「ほらいい子! ね、巽くん。作之助くんいい子でしょ? 別にまだ彼氏とかいうんじゃないし、友達紹介だよ、今日は」
にこにこと水都さんの父様を説得する水都さんの母様。いい人だなあ……。
「………」
でも『いい子』、とか言われるのは意味がわからないけど、俺も水都さんの母様の言った方向で終わらせたい。
早く帰りたい。帰らせて。
「………本当に友人なんだな?」
水都さんの父様がまた厳しい目つきで俺に念を押してきたから、深く肯いた。
「はい」
「……わかった。威嚇してすまなかった。水都のこと、友人として、頼む」
なぜか『友人として』を強調されたけど、無事今日のノルマは達成できたようだ。
「ありがとうございます。では、俺はこれで失礼します」
「えっ。お茶くらいしてこーよ、作之助」
水都さんの父様に答えて立ち上がると、水都さんが残念そうな目で見て来た。
「そこまでお邪魔出来ないよ。水都さんもせっかくご両親と過ごせるんだから、時間大事にしてね。あと、次は山手さんと常盤さん連れてきてね」
暗に、もう俺は呼ばないでねって意味だ。
だってこれ以上水都さんの父様に睨まれたくない。
やっぱり誤解するよ。娘が最初に連れて来た友達が野郎とか、娘が騙されていると疑うよね。しかも極悪ヅラ。
「そうするけど……」
渋い顔をしたままの水都さんだけど、俺はここで退散する気しかない。
水都さんの父様と母様に頭を下げる。
さて、俺も今日の任務終わりだ。
ずっと見守っていた桂花さんにも頭を下げると、桂花さんが「お送りいたします」と先に立って歩いてくれた。
よかった……この家大きすぎて、ひとりで玄関までたどりつけるか不安だったんだ。
歩きながら、桂花さんが口を開いた。
「作之助さん、旦那様のことお怒りにならないでくださいね?」
「もっともな心配だと思います。いきなり俺みたいなのが来たら驚きますよ」
「作之助さんはよい方だと、私も思っております」
……なんて返せばいんだろ。ありがとうございます? それとも、そんなことないです? わっかんねー……。
「作之助!」
玄関も間近に見えて来たところで、後ろから呼びかけられて腕を引かれた。勢いで振り返る。
「また来てね!」
………なんでそんな泣きそうな顔で言うかな。
いつも通り笑顔で言ってくれたら、山手さんたち連れてきてね、って返せるのに……。
「あ、あー……うん……」
水都さん泣かせるのも嫌だから、と頭の中で言いわけをして肯いた。でもなー……あ。
「総真とか由羽と一緒でもいい?」
なんとか俺一人で来るのは回避したい。水都さんの父様の眼力が怖い。
「うん! もちろん!」
泣きそうだったのが一転、笑顔で大きく肯いてくれた。よかった……。
安堵して、水都さんと桂花さんの見送りを受けて藤沢の家をあとにした。
水都さんの父様、本気で怖かった……。
水都さんの父様も母様もそんなことは望んでいないだろうし、俺も水都さんにそんな道は選んでほしくない。
現に水都さんの父様は、『水都は水都のやりたい道を生きろ』って言った。
……水都さんが自覚している通り、水都さんは、水都さんの父様と母様に愛されている。
だからこそ、そう思ってしまうのだろうか。愛してくれた恩返しをしたい、と。
俺なんかは放っておかれて育ったタイプだから、親への恩返しなんて考えたことがなかった。お互い好きに生きればいい、って感じで。
それに対して今まで特に思うこともなくて、実際今も俺の家庭のことはどうとも思えないんだけど、水都さん家族を見ていると、愛情って伝えても、自分が思ってるようには伝わりきらないんだなって思ってしまう。
複雑。そして尊い。相手を大事に思ってのことなのに、相手の意にそぐわないなんて。それでも、相手を思って行動せずにはいられない。
これが人間関係ってものなのだろうか。
友達一年生の俺は、まだまだ学ぶことばかりだ。
「ごめんね、作之助くん」
水都さんと水都さんの父様の仲介役になった水都さんの母様が、申し訳なさそうに俺に声をかけてきた。
「せっかく来てくれたのに喧嘩なんか見せちゃって」
「いえ。その、大事なお話だと思いますから……」
水都さんの意思と、水都さんの父様の意思を尊重するためには、ぶつかる必要もあるのかもしれない。
俺は考え的なことでぶつかることは避けがちだけど、『必要』なこともあるって、水都さんと友達になって思うようになってきた。
俺、水都さんとは割と衝突しているからな……でも友達やめようなんて思わないんだから、『友達』は奥が深い。喧嘩イコール嫌いではないんだなというのも発見だ。
「ほらいい子! ね、巽くん。作之助くんいい子でしょ? 別にまだ彼氏とかいうんじゃないし、友達紹介だよ、今日は」
にこにこと水都さんの父様を説得する水都さんの母様。いい人だなあ……。
「………」
でも『いい子』、とか言われるのは意味がわからないけど、俺も水都さんの母様の言った方向で終わらせたい。
早く帰りたい。帰らせて。
「………本当に友人なんだな?」
水都さんの父様がまた厳しい目つきで俺に念を押してきたから、深く肯いた。
「はい」
「……わかった。威嚇してすまなかった。水都のこと、友人として、頼む」
なぜか『友人として』を強調されたけど、無事今日のノルマは達成できたようだ。
「ありがとうございます。では、俺はこれで失礼します」
「えっ。お茶くらいしてこーよ、作之助」
水都さんの父様に答えて立ち上がると、水都さんが残念そうな目で見て来た。
「そこまでお邪魔出来ないよ。水都さんもせっかくご両親と過ごせるんだから、時間大事にしてね。あと、次は山手さんと常盤さん連れてきてね」
暗に、もう俺は呼ばないでねって意味だ。
だってこれ以上水都さんの父様に睨まれたくない。
やっぱり誤解するよ。娘が最初に連れて来た友達が野郎とか、娘が騙されていると疑うよね。しかも極悪ヅラ。
「そうするけど……」
渋い顔をしたままの水都さんだけど、俺はここで退散する気しかない。
水都さんの父様と母様に頭を下げる。
さて、俺も今日の任務終わりだ。
ずっと見守っていた桂花さんにも頭を下げると、桂花さんが「お送りいたします」と先に立って歩いてくれた。
よかった……この家大きすぎて、ひとりで玄関までたどりつけるか不安だったんだ。
歩きながら、桂花さんが口を開いた。
「作之助さん、旦那様のことお怒りにならないでくださいね?」
「もっともな心配だと思います。いきなり俺みたいなのが来たら驚きますよ」
「作之助さんはよい方だと、私も思っております」
……なんて返せばいんだろ。ありがとうございます? それとも、そんなことないです? わっかんねー……。
「作之助!」
玄関も間近に見えて来たところで、後ろから呼びかけられて腕を引かれた。勢いで振り返る。
「また来てね!」
………なんでそんな泣きそうな顔で言うかな。
いつも通り笑顔で言ってくれたら、山手さんたち連れてきてね、って返せるのに……。
「あ、あー……うん……」
水都さん泣かせるのも嫌だから、と頭の中で言いわけをして肯いた。でもなー……あ。
「総真とか由羽と一緒でもいい?」
なんとか俺一人で来るのは回避したい。水都さんの父様の眼力が怖い。
「うん! もちろん!」
泣きそうだったのが一転、笑顔で大きく肯いてくれた。よかった……。
安堵して、水都さんと桂花さんの見送りを受けて藤沢の家をあとにした。
水都さんの父様、本気で怖かった……。
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