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30 欠け落ちる記憶
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30 欠け落ちる記憶
ダーランに諸々の依頼を済ませてから数日。
シガウスはこの地を去ったが、今のうちに俺にはやる事がある。
風に揺れる金色の波は見事に実った小麦の穂だ。それを刈り取っている領民達の様子を遠目に見ながら長閑な光景に目を細める。
今期この畑で育てているのはより寒冷に強くなるように品種改良を重ねているものだ。既に幾世代か重ねて品質も安定してきたから次はもっと寒い地方で育つかどうかの検証に入りたい。品種改良で協力してもらっているもっと寒い地域を擁する領地の方で育てもらったものは報せを待つしかないな。……領主の方が報せをくれれば良いが。
こういう時にはつくづく自分の今の立場が面倒くさい。宰相であれば憂慮しなくても定期報告が送られてきただろうに。
「領主様ー!」
小さく溜息をついていれば、ふと遠くから高い声が俺を呼んだ。声のする方へと視線を向ければ、品種改良を任せている農家の十歳になる息子がカゴを抱えて走ってくる。
「どうした、イヴォ」
「これ! 先に刈り取った物で作ったパン! ……です!」
興奮しながらも使い慣れない敬語を使おうと頑張っているイヴォの様子を微笑ましく思いながら籠の中に入っているパンを見る。丸く整形されたパンは現代でいうふすまパンというやつだ。この世界の製粉技術では真っ白な小麦粉を作る事は難しく、皮ごと擦り潰してザルでふるったものが小麦粉と呼ばれている。
俺に製粉技術の知識があれば、白い小麦粉なんかも作れるかもしれないが、残念ながらその知識は俺にはない。それにやるにしたってほとんどの工程が人力なのでとんでもない手間暇だろう。
「頂こう」
キラキラしながらこちらを見上げるイヴォの視線を促されるまま、パンを一つ手に取ればまだ暖かい。どうやら焼き立てのようだ。
感触を確かめる為に一口分を千切れば、もっちりとした感触と共に小麦の香りがする。今のところなかなか良いな。
口に含めば、日本で食べていた物よりは硬いが程良い柔らかさに仄甘い小麦の味がする。うんうん、味も良い。この品種も安定してきたな。
「うん、美味しいな。これなら商品にしても問題ない」
「ホント!? やった! かーちゃん、領主様が美味しいってー!!」
俺の感想に嬉々として大声で呼ぶのは少し離れたところで刈り取りをしていた彼の母親だ。彼女は息子の嬉々とした声に、顔を顰めながら手を止めて近付いてくる。
「イヴォ! アンタはもうちょっと行儀良く出来ないのかい! 申し訳ありません、セイアッド様。しつけがなっておらず……」
申し訳なさそうな母親に対して笑みを浮かべ、イヴォの栗色の髪を撫でてやる。こちらを見上げながらはにかんだように笑う姿は無邪気でかわいらしいものだ。
「気にしなくて良い。子供は元気が一番だ」
子供は国の宝、なんて良く言ったものだ。次代に繋げていくには安心して子育てが出来る環境や支援が必要である。健康な子供が多い国や地域はそれなりに政治が安定していると言っても良いんじゃないだろうか。
そして、何か起きた時に最も早く淘汰されるのもまた弱い子供だ。数年前の飢饉の折には大陸中で沢山の子供が亡くなった。例え他国であったとしても、そんな悲劇を繰り返したくない。
「ありがとう。貴方達のお陰で生産を軌道に乗せられそうだ。ドゥシャンにもそう伝えておいてくれ」
「恐れ多いお言葉です。夫には必ず伝えておきます」
嬉しそうに頭を下げる母親と元気良く手を振るイヴォに別れを告げて馬車へと向かう。手土産にともらったパンと焼き菓子を抱えながらいそいそと馬車に乗り込んで次に向かうのは葡萄畑だ。
今日は領主として農作物の生育状況の視察を行なっている。順番に回りながら様子を見ているが、今年は天候にも恵まれて豊作のようだとほっと胸を撫で下ろす。
人間、生きているうちで最も辛い事の一つは餓えだ。栄養が足りなければ健康を害するし、腹が満たされなければ心も荒む。そうなれば国も荒れる。
そういった面でも安定した食糧供給というのは非常に重要だ。「私」が国政に関わっている時にも一番の憂慮事項だった。
現代日本であれば化学肥料や農薬、大型の農業用機械があって大量生産も可能だが、この世界にそんな便利な物は存在しない。限られた人的資材の中で如何に効率化し生産量を増やすのか。領主として頭の痛い課題だ。特にレヴォネ領の小麦は自領内での消費以外にも国内外に供給している分が決して少なくはない。
何かもっと良い方法はないか。どんな品種を育てればいいのか。効率化出来る道具は作れないか。考える事は山程ある。
これから視察に行く葡萄は小麦よりも更に繊細だ。病気が発生すれば収穫量が激減するからそうならない為に病気の予防や治療法の研究、病気に強い品種を生み出す為に農家も必死になっている。
転生チートなんかでそういった知識が使えれば良かったかもしれないが、残念ながら俺にはそっち方面の知識は皆無だ。堆肥なんかはあれど下手なやり方で作れば逆に病気の元になってしまうらしいと手を出すのは諦めた。
俺にはゲームシナリオとそれに伴った知識と日本で暮らす上での一般常識はあれど、農業方面に関してはその知識を発揮する機会はなさそうだ。
「こんな事なら農作物の事とかも調べておけばよかったかな」
何かを創る時、その物事対する理解を深める為に何でも必ず調べ物をするようにはしていた。セイアッドというキャラクターを創った時も色々な事を調べたり学んだりしたが、現状では領主の仕事にはあまり役に立っていないと思う。農作物の育て方なんてシナリオに関わって来ないから深く調べなかったのだが、今となってはその浅はかさが恨めしい。
その時、ふと記憶の端にとある人の面影が過ぎる。ええと、そうだ。彼は「俺」の同期だった。
通勤で乗る地下鉄が一緒で、昼休みにいつも図書館で借りて来た本を自分のデスクで読んでいた俺に、彼はいつも気さくに声を掛けてきてくれた。しかし、その姿も声もぼんやりして朧げだ。
そこで初めて自覚したのだが、「俺」としての記憶に随分と穴が増えている気がする。セイアッドになった直後は日本での記憶の想起も容易だったし、今現在も知識は特に労せずとも出てきていたから気がつかなかったが、「俺」として生きた記憶が少しずつ薄れつつあるようだ。
急に恐ろしくなって思わず自分の体を強く抱き締める。感覚もすっかりこの体に馴染んでいて、以前の「俺」の体がどんな風だったのかその感触がもう分からない。
「私」を幸せにする為にがむしゃらに動いているが、こうして少しずつ「俺」は消えていくのだろうか。覚悟はしていた筈なのに、いざその事実に直面するとなんだかとても怖くなった。
少しでも記憶を呼び起こそうと名前も面影もぼんやりとした同期の男を必死で思い出す。ああ、そうだ。彼もまたこのゲームにキャラクターデザインとして関わっていた筈だ。
誰を担当していたのか思い出せないが、一緒に話し合いながらあれこれ考えた記憶だけが朧げにある。あの会社にいて数少ない楽しかった思い出のひとつだ。
彼は元気にしているだろうか。俺が死んで迷惑をかけていないだろうか。……少しくらい俺の死を悲しんでくれただろうか。
そんな感傷に浸りながら外を見遣る。こんな事を思うのも、「俺」の独りよがりだと外の景色を見て意識を切り替えようとした。
されど、胸にのしかかるのは何とも言えない悲しさだけだ。
両親も早くに他界していた俺にとって日本では親身になってくれる味方がいなかったが、この世界にはオルテガがいる。だが、彼は「私」の事を想っているのだ。分かっていた筈なのに、それが無性に悲しくなった。
──泣かないでくれ。
静かに胸の奥から声が響く。その声に初めて自分が泣いている事に気が付いた。
「っ……くそ。悪い、こんなつもりじゃなかったのに……」
袖口で乱暴に涙を拭い、手土産にもらったパンを手に取って齧り付く。腹が減っているから気が滅入るんだ。そうに違いない。
まだ温かい手作りのパンは、俺が知っているパンよりも少し硬いが、小麦の素朴な優しい甘さが染み渡るようだった。
ダーランに諸々の依頼を済ませてから数日。
シガウスはこの地を去ったが、今のうちに俺にはやる事がある。
風に揺れる金色の波は見事に実った小麦の穂だ。それを刈り取っている領民達の様子を遠目に見ながら長閑な光景に目を細める。
今期この畑で育てているのはより寒冷に強くなるように品種改良を重ねているものだ。既に幾世代か重ねて品質も安定してきたから次はもっと寒い地方で育つかどうかの検証に入りたい。品種改良で協力してもらっているもっと寒い地域を擁する領地の方で育てもらったものは報せを待つしかないな。……領主の方が報せをくれれば良いが。
こういう時にはつくづく自分の今の立場が面倒くさい。宰相であれば憂慮しなくても定期報告が送られてきただろうに。
「領主様ー!」
小さく溜息をついていれば、ふと遠くから高い声が俺を呼んだ。声のする方へと視線を向ければ、品種改良を任せている農家の十歳になる息子がカゴを抱えて走ってくる。
「どうした、イヴォ」
「これ! 先に刈り取った物で作ったパン! ……です!」
興奮しながらも使い慣れない敬語を使おうと頑張っているイヴォの様子を微笑ましく思いながら籠の中に入っているパンを見る。丸く整形されたパンは現代でいうふすまパンというやつだ。この世界の製粉技術では真っ白な小麦粉を作る事は難しく、皮ごと擦り潰してザルでふるったものが小麦粉と呼ばれている。
俺に製粉技術の知識があれば、白い小麦粉なんかも作れるかもしれないが、残念ながらその知識は俺にはない。それにやるにしたってほとんどの工程が人力なのでとんでもない手間暇だろう。
「頂こう」
キラキラしながらこちらを見上げるイヴォの視線を促されるまま、パンを一つ手に取ればまだ暖かい。どうやら焼き立てのようだ。
感触を確かめる為に一口分を千切れば、もっちりとした感触と共に小麦の香りがする。今のところなかなか良いな。
口に含めば、日本で食べていた物よりは硬いが程良い柔らかさに仄甘い小麦の味がする。うんうん、味も良い。この品種も安定してきたな。
「うん、美味しいな。これなら商品にしても問題ない」
「ホント!? やった! かーちゃん、領主様が美味しいってー!!」
俺の感想に嬉々として大声で呼ぶのは少し離れたところで刈り取りをしていた彼の母親だ。彼女は息子の嬉々とした声に、顔を顰めながら手を止めて近付いてくる。
「イヴォ! アンタはもうちょっと行儀良く出来ないのかい! 申し訳ありません、セイアッド様。しつけがなっておらず……」
申し訳なさそうな母親に対して笑みを浮かべ、イヴォの栗色の髪を撫でてやる。こちらを見上げながらはにかんだように笑う姿は無邪気でかわいらしいものだ。
「気にしなくて良い。子供は元気が一番だ」
子供は国の宝、なんて良く言ったものだ。次代に繋げていくには安心して子育てが出来る環境や支援が必要である。健康な子供が多い国や地域はそれなりに政治が安定していると言っても良いんじゃないだろうか。
そして、何か起きた時に最も早く淘汰されるのもまた弱い子供だ。数年前の飢饉の折には大陸中で沢山の子供が亡くなった。例え他国であったとしても、そんな悲劇を繰り返したくない。
「ありがとう。貴方達のお陰で生産を軌道に乗せられそうだ。ドゥシャンにもそう伝えておいてくれ」
「恐れ多いお言葉です。夫には必ず伝えておきます」
嬉しそうに頭を下げる母親と元気良く手を振るイヴォに別れを告げて馬車へと向かう。手土産にともらったパンと焼き菓子を抱えながらいそいそと馬車に乗り込んで次に向かうのは葡萄畑だ。
今日は領主として農作物の生育状況の視察を行なっている。順番に回りながら様子を見ているが、今年は天候にも恵まれて豊作のようだとほっと胸を撫で下ろす。
人間、生きているうちで最も辛い事の一つは餓えだ。栄養が足りなければ健康を害するし、腹が満たされなければ心も荒む。そうなれば国も荒れる。
そういった面でも安定した食糧供給というのは非常に重要だ。「私」が国政に関わっている時にも一番の憂慮事項だった。
現代日本であれば化学肥料や農薬、大型の農業用機械があって大量生産も可能だが、この世界にそんな便利な物は存在しない。限られた人的資材の中で如何に効率化し生産量を増やすのか。領主として頭の痛い課題だ。特にレヴォネ領の小麦は自領内での消費以外にも国内外に供給している分が決して少なくはない。
何かもっと良い方法はないか。どんな品種を育てればいいのか。効率化出来る道具は作れないか。考える事は山程ある。
これから視察に行く葡萄は小麦よりも更に繊細だ。病気が発生すれば収穫量が激減するからそうならない為に病気の予防や治療法の研究、病気に強い品種を生み出す為に農家も必死になっている。
転生チートなんかでそういった知識が使えれば良かったかもしれないが、残念ながら俺にはそっち方面の知識は皆無だ。堆肥なんかはあれど下手なやり方で作れば逆に病気の元になってしまうらしいと手を出すのは諦めた。
俺にはゲームシナリオとそれに伴った知識と日本で暮らす上での一般常識はあれど、農業方面に関してはその知識を発揮する機会はなさそうだ。
「こんな事なら農作物の事とかも調べておけばよかったかな」
何かを創る時、その物事対する理解を深める為に何でも必ず調べ物をするようにはしていた。セイアッドというキャラクターを創った時も色々な事を調べたり学んだりしたが、現状では領主の仕事にはあまり役に立っていないと思う。農作物の育て方なんてシナリオに関わって来ないから深く調べなかったのだが、今となってはその浅はかさが恨めしい。
その時、ふと記憶の端にとある人の面影が過ぎる。ええと、そうだ。彼は「俺」の同期だった。
通勤で乗る地下鉄が一緒で、昼休みにいつも図書館で借りて来た本を自分のデスクで読んでいた俺に、彼はいつも気さくに声を掛けてきてくれた。しかし、その姿も声もぼんやりして朧げだ。
そこで初めて自覚したのだが、「俺」としての記憶に随分と穴が増えている気がする。セイアッドになった直後は日本での記憶の想起も容易だったし、今現在も知識は特に労せずとも出てきていたから気がつかなかったが、「俺」として生きた記憶が少しずつ薄れつつあるようだ。
急に恐ろしくなって思わず自分の体を強く抱き締める。感覚もすっかりこの体に馴染んでいて、以前の「俺」の体がどんな風だったのかその感触がもう分からない。
「私」を幸せにする為にがむしゃらに動いているが、こうして少しずつ「俺」は消えていくのだろうか。覚悟はしていた筈なのに、いざその事実に直面するとなんだかとても怖くなった。
少しでも記憶を呼び起こそうと名前も面影もぼんやりとした同期の男を必死で思い出す。ああ、そうだ。彼もまたこのゲームにキャラクターデザインとして関わっていた筈だ。
誰を担当していたのか思い出せないが、一緒に話し合いながらあれこれ考えた記憶だけが朧げにある。あの会社にいて数少ない楽しかった思い出のひとつだ。
彼は元気にしているだろうか。俺が死んで迷惑をかけていないだろうか。……少しくらい俺の死を悲しんでくれただろうか。
そんな感傷に浸りながら外を見遣る。こんな事を思うのも、「俺」の独りよがりだと外の景色を見て意識を切り替えようとした。
されど、胸にのしかかるのは何とも言えない悲しさだけだ。
両親も早くに他界していた俺にとって日本では親身になってくれる味方がいなかったが、この世界にはオルテガがいる。だが、彼は「私」の事を想っているのだ。分かっていた筈なのに、それが無性に悲しくなった。
──泣かないでくれ。
静かに胸の奥から声が響く。その声に初めて自分が泣いている事に気が付いた。
「っ……くそ。悪い、こんなつもりじゃなかったのに……」
袖口で乱暴に涙を拭い、手土産にもらったパンを手に取って齧り付く。腹が減っているから気が滅入るんだ。そうに違いない。
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