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王都編0 出立
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王都編0 出立
旅立ちの日は快晴だった。
雲ひとつなく真っ青に晴れ渡った空の下、俺達四人は王都へと出立した。
軽快に街道を行く馬車には俺とサディアス、馬車の前に天翔馬ヴィエーチルに跨ったオルテガ。後方には同じく天翔馬エーデルに跨ったリンゼヒース。その周囲をレヴォネ侯爵家の護衛達が囲んでいる。
この配置になるまでも一悶着があったが、そこは割愛する。王弟に馬車の後方を守らせる事に関しては未だに納得していないが、本人の素養的にも適任だったので最終的には俺が折れる形となった。学生時代にダンジョンに潜っていた時にもリンゼヒースは盾役だったからしっくりくると言えばしっくりくるのだが、やっぱり王弟に護衛させるのはどうなんだ?
隣でサディアスが黙々と本を読んでいる中、俺だけ悶々としながらと馬車は軽快に南へと向かう。
道すがら手を振って見送ってくれる領民達に手を振り返しながら少しばかり寂しくなった。次はいつ此処に戻って来られるのだろうか。後方へと流れていく麦畑の様子を眺めながら、そっと溜め息を零し、思考を切り替える為に手元の書類に視線を落とす。
王都までの道のりは約一週間。飛ばしていくつもりなのでそれよりも早く着けるかもしれないが、その期間でもやれる事はやっておかなければ。
「旦那様方、薄暗くて揺れる所で文字を読むと酔うし目を悪くしますよ」
不意に呆れたような声が正面から掛かる。顔を上げて見れば、赤毛の青年が困ったように笑っていた。
「移動中にあんまり仕事させると俺がヒューゴの兄貴に怒られます」
肩を竦めながら悪戯っぽく笑うこの青年は名をルーという。赤毛に明るい緑色の瞳とそばかすの散る顔が可愛らしく、素朴な印象を受ける。
彼はロアール商会で働いている青年で、元貧民街の住人の一人。ダーランとセイアッドが初対面を果たしたあの時、セイアッドの足に縋って泣いていた子供だ。
あれから十年程経ってすっかり成長した彼は今年で十七になる。あの時泣きじゃくっていた小柄な少年はぐんぐん身長が伸びて体格も良くなり、今では立派な青年だ。普段はロアール商会で下働きをしている為、一見丁稚奉公しているただの青年のように見える。しかし、その実情は間諜を得意とする裏工作員であり、商会の中でも一二を争う手練れ。俺と同じ馬車に同乗しているのは護衛であり、今のように俺を見張る為だ。
本来ならダーランが同乗する予定だったが、彼は王都から急使が来たと言って俺達よりも二日前に先んじて馬で出発している。オルテガと同じように馬を乗り潰しながら最速で駆け抜けるつもりのようで、各所に馬を用意しておくよう部下達に指示を飛ばしていた。普段ならば、そんな時でも悟られぬように行動するのに、俺にも分かるようになりふり構わず指示を飛ばしていた辺り余程切迫した状況らしい。
「程々にしておく。……ところでダーランから何か報せは?」
「今の所は何も」
ふるふると首を横に振るのに合わせて柔らかそうな赤毛が揺れた。でも、と付け加えながらルーが話を続ける。
「何となく予想は付いています。王都中心に貧民街が出来たのはご存知でしょう?」
「ああ」
「そこにきな臭い連中が出入りしているようです」
きな臭い連中と聞いて脳裏を掠めるのは近頃出回り始めたという禁制品の薬物だ。言うなれば麻薬の一種で摂取すると多幸感と高揚感に浸れる。しかし、常用するうちに徐々にその効力は薄れていき、摂取量が増えていく。そうして中毒になっていく過程で心身を蝕んでいき、最終的に廃人となる。
快楽というものは人を堕落させるのに最も効果的な手段だ。末端から腐り始め、気が付いた時にはもう手遅れな程に国中にその薬物が出回ったら…内側から喰い尽くされてこの国は滅ぶだろう。
問題はその薬物をばら撒いている連中だ。「俺」が生きた世界でも薬物が原因で起きた戦争もあるくらいだし、どこかの国か大きな組織が関与している事に間違いはないだろう。
「王都に寄った際にちらっと小耳に挟んだけど、東国由来の品みたいだね」
「……成程。ダーランが急ぐ訳だ」
本を読んでいたサディアスが口を挟んできた事を聞いて腑に落ちる。禁製品の背後にいるのは恐らくダーランの故郷の者達だろう。
イン・ダーランはこの国から海を隔てて遥か東にある大国、「朱凰」出身だ。「俺」の世界でいうアジア系に近い文化を有する国のようだが、何せローライツ王国からは広大な海を隔てた先にある未知の国な為、碌な情報がない。「私」の記憶にもダーランや商人達から聞いた話や書物から得た知識、数年に一度来るか来ないかの文書のやり取り程度しかないのだ。
そんな状況の中で厄介なのは最近になってかの国が精力的に国外へ手を広げようとしているらしい事だ。
同盟国である小国から齎された彼等の手口は、まず他国に自分達が暮らす土地を得てそこからじわじわとその地へと侵食してくる。その際に薬物の取引も利用されるとは聞いていた。
その情報があったから出入りする外国人には常に目を配っていたし、そういった裏取引で使われそうな場所には監視を置いていた。しかし、俺が王都を離れているどさくさで入り込まれてしまったらしい。ダーランが大急ぎで戻った所を見ると、朱凰の人間が入り込んでいると確証が取れたのだろう。
その辺の情報は俺が着くまでにダーランが纏めておいてくれるだろうが…また厄介事が起きている気配に思わず深い溜め息を零す。
「次から次へと……この大陸内の事だけで腹いっぱいだというのに」
「直接攻め込んでくる所がなかっただけまだマシでしょ。暫くは国境が騒つくかもね」
本から目を離さずに告げるサディアスの言葉にもう一度深く溜め息を零す。大急ぎで戻るのは俺達も同じだ。
宰相が追放され、軍事の要である総騎士団長と魔術師団長が揃いも揃って王都を離れているなんて付け入る隙としてはこれ以上ないくらい好都合だろう。
表面的には仲良くしていても、常に相手の隙を窺っているのがこの大陸の現状だ。グラシアールとセイアッドは和解したが、ラソワとの確執も完全になくなったという訳ではない。
「……やる事が多過ぎてうんざりする」
「頑張って働いて、その分フィンに甘やかしてもらったら?」
思わず愚痴を零したらサディアスがとんでもない事を言い出した。
「な……っ!? う、それくらいの事でいちいち甘えてなんて……」
「フィンは喜ぶと思うけどなー。リアの事構いたくてしょうがないんだもん」
「俺もそう思いまーす。ガーランド様のご所望品は俺が用意させて頂いたんですが、毎回ものすごく吟味して決めてましたよ。あれ、旦那様用のやつですよね?」
サディアスに言い換えそうと思ったらルーまで加わってきた。二対一の状況では不利だ。
「ぐ……」
「意地張ってないで認めなよ。君だってフィンの事が大好きで大好きで仕方ないんでしょ」
にまにま笑いながら揶揄われて顔が熱くなる。オルテガが大好きな自覚があるからこそ指摘されるのが恥ずかしいというのに!
言い訳しようと口を開きかけた所で突然コツコツと俺側のガラスが叩かれた。いきなりの音にびっくりして思わず言葉を飲み込みながら視線を向ければそこにはヴィエーチルに跨った旅装のオルテガ。彼が視界に入った途端に顔が熱くなる。
くそう、この服も格好良いな!!
「リア、次の町が見えてきた。そろそろ一度休憩しよう」
顔が熱いままに窓を横にスライドさせて開ければ、オルテガが穏やかに話し掛けてくる。その声音は甘くて、それだけで甘やかされているのを実感してしまう。
「ぐっ……分かった」
「どうした、顔が赤いぞ」
叫びたいのを我慢しながら返事をすれば、するりと硬くて冷たい指先が熱い頬に触れる。それだけなのに心臓が喧しくて仕方がない。
サディアスもルーもいるのに、どうしようもないくらい鼓動が弾む。こんな風だから周りから散々揶揄われているのは重々承知しているんだが、どうにも自制が効かない。いっそ開き直って周りが引くくらいイチャイチャしてやろうか。…いや、俺が羞恥心に負けて悶絶死する方が先だな。
「誰か先に行かせて休憩場所の確保をさせよう。……馬車を降りる時は俺にエスコートさせてくれ」
最後の一言を俺にだけ聞こえるように囁くと、オルテガがヴィエーチルを馬車から離して前方へと戻っていく。一方の俺は囁かれた声音の破壊力に悶絶する羽目になった。
本当に何なんだ、この男は! ゲーム本編より今の方が遥かに甘い!
「……最後に何言われたのか分かんないけど、本当に容赦無くなってきたね」
「ぐぬぬ……あんな風に口説いてくるような奴じゃなかったと思うんだが」
「そりゃ相手がリアだからでしょ。学生時代から僕とルアクがどれだけ君に対する愛情聞かされてきたと思ってるの」
うんざりと呟くサディアスの様子からするに学生時代からセイアッドに対する想いを散々語ってきたらしい。長らく秘めていた想いが全部こちらに向けられている状態なんだろうが、本当にキャパオーバー気味だ。
領地なら自室や執務室といったプライベートな空間で思う存分イチャイチャ出来たが、これからはそうもいかないというのに。二人きりなら平気でも人目があると落ち着かない俺は人前で構うのをやめて欲しいと散々言ってきたが、見せびらかしたいオルテガはあんまり言う事を聞いてくれない。むしろ、嬉々として周りに見せ付けるように構ってくる。
「……王都に着く前に死にそうだ」
「諦めて慣れちゃった方が早く楽になれるよ」
切実な呟きは軽快に進む車輪の音とサディアスの無情な一言に飲み込まれた。
旅立ちの日は快晴だった。
雲ひとつなく真っ青に晴れ渡った空の下、俺達四人は王都へと出立した。
軽快に街道を行く馬車には俺とサディアス、馬車の前に天翔馬ヴィエーチルに跨ったオルテガ。後方には同じく天翔馬エーデルに跨ったリンゼヒース。その周囲をレヴォネ侯爵家の護衛達が囲んでいる。
この配置になるまでも一悶着があったが、そこは割愛する。王弟に馬車の後方を守らせる事に関しては未だに納得していないが、本人の素養的にも適任だったので最終的には俺が折れる形となった。学生時代にダンジョンに潜っていた時にもリンゼヒースは盾役だったからしっくりくると言えばしっくりくるのだが、やっぱり王弟に護衛させるのはどうなんだ?
隣でサディアスが黙々と本を読んでいる中、俺だけ悶々としながらと馬車は軽快に南へと向かう。
道すがら手を振って見送ってくれる領民達に手を振り返しながら少しばかり寂しくなった。次はいつ此処に戻って来られるのだろうか。後方へと流れていく麦畑の様子を眺めながら、そっと溜め息を零し、思考を切り替える為に手元の書類に視線を落とす。
王都までの道のりは約一週間。飛ばしていくつもりなのでそれよりも早く着けるかもしれないが、その期間でもやれる事はやっておかなければ。
「旦那様方、薄暗くて揺れる所で文字を読むと酔うし目を悪くしますよ」
不意に呆れたような声が正面から掛かる。顔を上げて見れば、赤毛の青年が困ったように笑っていた。
「移動中にあんまり仕事させると俺がヒューゴの兄貴に怒られます」
肩を竦めながら悪戯っぽく笑うこの青年は名をルーという。赤毛に明るい緑色の瞳とそばかすの散る顔が可愛らしく、素朴な印象を受ける。
彼はロアール商会で働いている青年で、元貧民街の住人の一人。ダーランとセイアッドが初対面を果たしたあの時、セイアッドの足に縋って泣いていた子供だ。
あれから十年程経ってすっかり成長した彼は今年で十七になる。あの時泣きじゃくっていた小柄な少年はぐんぐん身長が伸びて体格も良くなり、今では立派な青年だ。普段はロアール商会で下働きをしている為、一見丁稚奉公しているただの青年のように見える。しかし、その実情は間諜を得意とする裏工作員であり、商会の中でも一二を争う手練れ。俺と同じ馬車に同乗しているのは護衛であり、今のように俺を見張る為だ。
本来ならダーランが同乗する予定だったが、彼は王都から急使が来たと言って俺達よりも二日前に先んじて馬で出発している。オルテガと同じように馬を乗り潰しながら最速で駆け抜けるつもりのようで、各所に馬を用意しておくよう部下達に指示を飛ばしていた。普段ならば、そんな時でも悟られぬように行動するのに、俺にも分かるようになりふり構わず指示を飛ばしていた辺り余程切迫した状況らしい。
「程々にしておく。……ところでダーランから何か報せは?」
「今の所は何も」
ふるふると首を横に振るのに合わせて柔らかそうな赤毛が揺れた。でも、と付け加えながらルーが話を続ける。
「何となく予想は付いています。王都中心に貧民街が出来たのはご存知でしょう?」
「ああ」
「そこにきな臭い連中が出入りしているようです」
きな臭い連中と聞いて脳裏を掠めるのは近頃出回り始めたという禁制品の薬物だ。言うなれば麻薬の一種で摂取すると多幸感と高揚感に浸れる。しかし、常用するうちに徐々にその効力は薄れていき、摂取量が増えていく。そうして中毒になっていく過程で心身を蝕んでいき、最終的に廃人となる。
快楽というものは人を堕落させるのに最も効果的な手段だ。末端から腐り始め、気が付いた時にはもう手遅れな程に国中にその薬物が出回ったら…内側から喰い尽くされてこの国は滅ぶだろう。
問題はその薬物をばら撒いている連中だ。「俺」が生きた世界でも薬物が原因で起きた戦争もあるくらいだし、どこかの国か大きな組織が関与している事に間違いはないだろう。
「王都に寄った際にちらっと小耳に挟んだけど、東国由来の品みたいだね」
「……成程。ダーランが急ぐ訳だ」
本を読んでいたサディアスが口を挟んできた事を聞いて腑に落ちる。禁製品の背後にいるのは恐らくダーランの故郷の者達だろう。
イン・ダーランはこの国から海を隔てて遥か東にある大国、「朱凰」出身だ。「俺」の世界でいうアジア系に近い文化を有する国のようだが、何せローライツ王国からは広大な海を隔てた先にある未知の国な為、碌な情報がない。「私」の記憶にもダーランや商人達から聞いた話や書物から得た知識、数年に一度来るか来ないかの文書のやり取り程度しかないのだ。
そんな状況の中で厄介なのは最近になってかの国が精力的に国外へ手を広げようとしているらしい事だ。
同盟国である小国から齎された彼等の手口は、まず他国に自分達が暮らす土地を得てそこからじわじわとその地へと侵食してくる。その際に薬物の取引も利用されるとは聞いていた。
その情報があったから出入りする外国人には常に目を配っていたし、そういった裏取引で使われそうな場所には監視を置いていた。しかし、俺が王都を離れているどさくさで入り込まれてしまったらしい。ダーランが大急ぎで戻った所を見ると、朱凰の人間が入り込んでいると確証が取れたのだろう。
その辺の情報は俺が着くまでにダーランが纏めておいてくれるだろうが…また厄介事が起きている気配に思わず深い溜め息を零す。
「次から次へと……この大陸内の事だけで腹いっぱいだというのに」
「直接攻め込んでくる所がなかっただけまだマシでしょ。暫くは国境が騒つくかもね」
本から目を離さずに告げるサディアスの言葉にもう一度深く溜め息を零す。大急ぎで戻るのは俺達も同じだ。
宰相が追放され、軍事の要である総騎士団長と魔術師団長が揃いも揃って王都を離れているなんて付け入る隙としてはこれ以上ないくらい好都合だろう。
表面的には仲良くしていても、常に相手の隙を窺っているのがこの大陸の現状だ。グラシアールとセイアッドは和解したが、ラソワとの確執も完全になくなったという訳ではない。
「……やる事が多過ぎてうんざりする」
「頑張って働いて、その分フィンに甘やかしてもらったら?」
思わず愚痴を零したらサディアスがとんでもない事を言い出した。
「な……っ!? う、それくらいの事でいちいち甘えてなんて……」
「フィンは喜ぶと思うけどなー。リアの事構いたくてしょうがないんだもん」
「俺もそう思いまーす。ガーランド様のご所望品は俺が用意させて頂いたんですが、毎回ものすごく吟味して決めてましたよ。あれ、旦那様用のやつですよね?」
サディアスに言い換えそうと思ったらルーまで加わってきた。二対一の状況では不利だ。
「ぐ……」
「意地張ってないで認めなよ。君だってフィンの事が大好きで大好きで仕方ないんでしょ」
にまにま笑いながら揶揄われて顔が熱くなる。オルテガが大好きな自覚があるからこそ指摘されるのが恥ずかしいというのに!
言い訳しようと口を開きかけた所で突然コツコツと俺側のガラスが叩かれた。いきなりの音にびっくりして思わず言葉を飲み込みながら視線を向ければそこにはヴィエーチルに跨った旅装のオルテガ。彼が視界に入った途端に顔が熱くなる。
くそう、この服も格好良いな!!
「リア、次の町が見えてきた。そろそろ一度休憩しよう」
顔が熱いままに窓を横にスライドさせて開ければ、オルテガが穏やかに話し掛けてくる。その声音は甘くて、それだけで甘やかされているのを実感してしまう。
「ぐっ……分かった」
「どうした、顔が赤いぞ」
叫びたいのを我慢しながら返事をすれば、するりと硬くて冷たい指先が熱い頬に触れる。それだけなのに心臓が喧しくて仕方がない。
サディアスもルーもいるのに、どうしようもないくらい鼓動が弾む。こんな風だから周りから散々揶揄われているのは重々承知しているんだが、どうにも自制が効かない。いっそ開き直って周りが引くくらいイチャイチャしてやろうか。…いや、俺が羞恥心に負けて悶絶死する方が先だな。
「誰か先に行かせて休憩場所の確保をさせよう。……馬車を降りる時は俺にエスコートさせてくれ」
最後の一言を俺にだけ聞こえるように囁くと、オルテガがヴィエーチルを馬車から離して前方へと戻っていく。一方の俺は囁かれた声音の破壊力に悶絶する羽目になった。
本当に何なんだ、この男は! ゲーム本編より今の方が遥かに甘い!
「……最後に何言われたのか分かんないけど、本当に容赦無くなってきたね」
「ぐぬぬ……あんな風に口説いてくるような奴じゃなかったと思うんだが」
「そりゃ相手がリアだからでしょ。学生時代から僕とルアクがどれだけ君に対する愛情聞かされてきたと思ってるの」
うんざりと呟くサディアスの様子からするに学生時代からセイアッドに対する想いを散々語ってきたらしい。長らく秘めていた想いが全部こちらに向けられている状態なんだろうが、本当にキャパオーバー気味だ。
領地なら自室や執務室といったプライベートな空間で思う存分イチャイチャ出来たが、これからはそうもいかないというのに。二人きりなら平気でも人目があると落ち着かない俺は人前で構うのをやめて欲しいと散々言ってきたが、見せびらかしたいオルテガはあんまり言う事を聞いてくれない。むしろ、嬉々として周りに見せ付けるように構ってくる。
「……王都に着く前に死にそうだ」
「諦めて慣れちゃった方が早く楽になれるよ」
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