未分化少年特殊治療棟

紗くら

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入院翌日 4

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「とりあえず今日はこれでいいでしょう」
紫藤は未羽から指を抜きローションでベタつく指をティッシュで拭き未羽から離れると隣室へと消えた
「え…紫藤先生…?」
紫藤の考えていることが分からない未羽は独りにされて不安気に紫藤を呼んだ。
しばらくすると奥の部屋からチンっとレンジを操作する音が聞こえ、紫藤が湯気の立つタオルを持ち隣室から現れた
「お待たせしました。何をそんな不安そうな顔をしているんです?タオルを温めてきただけです」
説明しながら紫藤は未羽の股間をそのタオルで拭き清めた
「ん…っあったかい…」
「ティッシュよりいいでしょう?」
「意外と優しいんだ?」
「意外とは余計です」
「ちょっとだけ先生のこと怖くなくなったかも…」
未羽は照れながら小声で呟いた
「それはよかった。病室にはひとりで帰れますか?」
タオルを抱えたまま、紫藤は扉を開け未羽に帰るよう促した
「はい。えとまた明日?」
「残念ながら明日は休みです。あなたが大好きな佐久間が面倒みてくれますよ、よかったですね」
うっすらと笑みを浮かべ紫藤は答えた
「本当?なんか緊張するかも」
「いっぱい甘えさせてもらうといいです。幸せ気分になるのはいいことです」
未羽が部屋から消えると紫藤は帰り支度を始めた




紫藤は帰り道にケーキ屋に寄った。普段はあまり食べないが今日は佐渡の部屋に移りすんでからまるっと10年経つ記念日だ。
佐渡が覚えているかは分からないがやっぱり祝いたい…ドキドキする気持ちを抑えながら帰宅するとそこには佐渡の靴がなく紫藤は首を傾げた
「琢磨…さん?いない?明けなのに仮眠もとらずにどこへ?」
不安に呼吸が荒くなりスマホを取り出し紫藤は電話をかけた
「琢磨さん」
〝どうした?なんか泣きそうな声だぞ〝
「なんでいない?」
〝ああ帰ってきたのか…おかえり〝
「どこに?」
〝もう着く〝
ガチャンと音がし扉が開くと両手いっぱいのバラの花を抱え佐渡が帰宅し紫藤は驚きに目を見開いた
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