Fairly Tale ~落ちこぼれは救世主になれますか?~

柊れん

文字の大きさ
8 / 8
第2章~落ちこぼれの覚醒の時!?~

落ちこぼれと澱みの鏡

しおりを挟む
不安と恐怖からかセキの手を強く握りしめてしまったようで、さっきからセキの眉間に皺がよっている。

「ごめん、不快だった?」
「いやいや!そんなことない!絶対に!むしろ嬉しいです!!」

びっくりした私は思わず手を離してしまった。
セキは私の手を大きな手が包む。

「アリス、頑張って」
柔らかなその笑顔が自然と私の不安や恐怖をさっぱりと消して、まるで磨かれた鏡のように透明なすっきりした気持ちにさせた。

「ふふ、ありがと」
思わずつられて笑うとセキは顔を少しだけ赤らめて下を向く。

「すみません、邪魔だからどいてくれる?」
私の後ろから聞こえる忘れもしない、気の強そうなはっきりとした声。
後ろを振り向くとそこには私の今日の相手が立っていた。

「ごめんなさい、今どきます。」

「当たり前でしょ、落ちこぼれは落ちこぼれらしく隅っこ歩けっての。」

まるで美しい装飾の施された銀食器のような白銀の肩までの髪とそれに似つかわしくない深い深い暗い紫色の瞳は私を蔑む。
そして真っ白なその細い腕によって自分の身体を傷つけられたと考えると今は治ったはずの腕や脚が痛みが走ったような感覚に襲われた。

「今回は、もう少し楽しませてね?」

彼女は、カレンはまるで人形と遊ぶような楽しそうな無邪気な笑みで私にそう言って去っていった。

「……私に、能力があればなぁ……。」
セキにも聞こえないよう小さく呟いて、お守りをぎゅっと握りしめた。
─────────────────────

試験会場はまるでスタジアムのようになっており、試験の様子は四方八方360°見れるようになっている。
……まあ、基本私の試合に期待する人なんていないけれど。しかし、今日は無駄に人が多い。多分、私がカレンにただやられる無様な姿を見物にでも来たのだろう。どうでもいいけど……。

「はあ……。」

「ため息なんてついて逃げる気もなくしたとか面白くないからやめてね?」

「痛いのは嫌いです。」

「じゃあ、頑張って逃げてね、ふふ。」

遠くにただ真剣な顔つきで見ているセキの姿。
風に揺れるカレンの白銀の髪。
そして息が詰まりそうなほどの青い空。
私は少し目を閉じて気分を落ち着ける。
大丈夫、きっとどうにかなる。いや、どうにかする。

会場にスタートの合図が鳴り響く。
その瞬間、床を蹴る靴の音と何か金属が一瞬で近づく音と気配。
私は小柄な身体を生かし、しゃがんで攻撃を避けた。
彼女のナイフが私の頭スレスレで通り過ぎる。
目の前で笑っている彼女は彼女の髪と同じ白銀のナイフを数本両手に携えている。

「今回はズタズタに切り裂いてあげるよっ♪」

そう言ってどんどんナイフを投げる。
ひたすらに避けていくが数がとても多い。
基本能力でだした武器に上限はない。つまり、能力で防ぐことの出来ない私はただ避けるしかない。

ひたすら避けていくが、体力が先になくなりそうだ。
そして、避けきれなかった1本が真っ直ぐに私へとその鋭い刃を向けて飛んできた。




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

大賢者アリアナの大冒険~もふもふパラダイス~

akechi
ファンタジー
実の親に殺されそうになっていた赤子は竜族の長に助けられて、そのまま竜の里で育てられた。アリアナと名付けられたその可愛いらしい女の子は持ち前の好奇心旺盛さを発揮して、様々な種族と出会い、交流を深めていくお話です。 【転生皇女は冷酷な皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!】のスピンオフです👍️アレクシアの前世のお話です🙋 ※コメディ寄りです

本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用
ファンタジー
「箱庭環境操作」という外れスキルしかないエバンズ公爵家の長男オズワルドは、跡継ぎの座を追われて、辺境の小さな土地を与えられて・・・。しかし、そのスキルは実は・・・ということも、成り上がれるものでもなく・・・、スローライフすることしかできないものだった。これは、実は屑スキルが最強スキルというものではなく、成り上がるというものでもなく、まあ、一応追放?ということで辺境で、色々なことが降りかかりつつ、何とか本当にスローライフする物語です。

処理中です...