【R18】World after 1 minute 1分後の先読み能力で金貨100万枚稼いだ僕は異世界で奴隷ハーレムを築きます

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貴族編

第43話 それぞれの戦い

窓から差し込む天上の光を背に、ふわりと音もなく廊下に彼女は舞い降りる。

金髪のカールした癖毛から覗く金の瞳を屋敷の廊下を見渡す。

敵兵はなしと。

視界と気配で彼女はそう判断して、絨毯がはがされ、板の間になった廊下を音もなく歩く。

黒を基調とした長いスカートに、フリルがつあた白いエプロン。

彼女ほどここで歩くのが様になるのはいないだろう。

彼女ーーーラフィは、メイド服で闊歩しているのだから。

屋敷にメイドがいるのは当たり前だ。

しかし、見るものが見れば例えば、ロガリエスなどが見ればラフィがただのメイドではないことが、その音もなく歩く様立ち居振る舞いで気づくことだろう。

「おいおい、なんでこんなところにメイドが?まぁいい、おい乱暴にされたーーーー」

下衆な笑い。汚らしい服装。醜悪な顔。

およそこの屋敷に似つかわしくない盗賊。

それにラフィは、スカートをまくしあげる。

ふわりと舞い上がるスカートがもとに戻ると、盗賊の眉間には白い刃がつき立っていった。

あれ、なんでこんなもんのが俺の眉間に?という表情のまま、名もなき盗賊が倒れる。

ラフィが自分が一撃に伏した死体など気にもとめずにちらりと、窓から屋敷の広間を見る。

飛び交う怒声に、黄金の閃光。

「ふっふふふ、いいわねぇー若い子って!」

光悦に震える金の輝きが天使の笑顔で死を振りまいてる。

トラエル様は、楽しそうね。

はなから心配などしていない。

そもそもトラエルの力をもってすればこの屋敷の敵ぐらい殲滅は容易だとラフィは知っているからだ。

すべては、自分が仕えることになるだろう、シュサック様の武功とするため。

あのようなあからさまな陽動をして敵の数を減らしている。

まぁそれは自分も同じなのだけれど。

それにしてもと、ラフィは周りの気配を感じ取り警戒しつつも意識の片隅で、思考を続ける。

シュサック様は何者なんだろうか?

コロセウムの歴代最多に勝ち金を稼いだ男、それからすぐに黄金興の結社に入社して、私たちのようなメイドをつけられる。

あからさまな好待遇。

それにあの偏屈な黄金興が彼を慕っているのがよく分からない。

戦闘能力は、皆無。

もしかしたら、とんでもない魔法やスキルを持っているかもしれないが、報告や実際に対峙した時魔力反応もない。

ちょっとした殺気などにも反応しない。

動きは愚鈍。

正直、殺せと命じられたら正面にいてもラフィは殺せる自信があった。

だとすれば、名君なのだろうか。

とても頭が良さそうにはおもえなかったけど。

さらに言うなら、自分の体を値踏みするようなあの気持ちの悪い視線。

こびへらついたような上目遣いと笑い。

ラフィにとって、すべてが不快だった。

品性の欠片もない場末の酒場で息まいている酔っ払いの親父共と一緒だ。

だから、どうしてあんなのが黄金興が気に入っているのかが分からなかった。


ほんと、どうして―――――。

「うっ、…………あっ…………」

うめき声をかすかにラフィは耳元で感じた。

近い、そう思いいままでの余計な思考をのける。


意識を周りに集中させると近くのドアから息遣いを感じた。

油断…………余計なことを考えすぎたとラフィは自戒する。


扉…………開くときが一番危険。

だから、ラフィは扉のドアノブに手をかけ、ガチャと音がした瞬間、一気にドアを蹴り開け距離を置いた。

衝撃にドアの蝶番が半分外れ、斜めになりながらもギィーギィーと音を立ててフラフラと浮かんでいる。

攻撃はなし。

それよりも…………漂ってくる悪臭にラフィは目をしかめた。


「あっ、う、ご、ん、なさい…………いまぁ、綺麗に、します、から…………」


部屋の中央、ベッドの脇の床に寝転がっている女性。

獣人族か、赤い髪、垂れた犬耳。

白い肌には無数の傷や殴った後、それに…………穴という穴から、白濁液が零れている。


「う、ごけ、なくて、ちょ、っと待って…………くれま、せんか」

尻尾の毛はむしり取られているのか、半分引き千切られ、こびりついた白濁液と一緒に床にばらまかれている。

外道どもが…………凄惨な凌辱の後に同じ女として怒りを覚える。

色んな体液が飛び散り、するめ臭さが充満する部屋にラフィは一歩踏み入れる。


「ご、んなまさい、ごめ、んなさい、なぐ、らないで…………」

ごめんなさいとうわ言のように繰り返す赤髪の獣人へと近づく。


「大丈夫よ。そんなに怯えなくてもあなたをそうした奴らは―――――」


「―――きえぇええ!」

「死ねぇ!!!」

「全員殺すから」

ラフィは、翼を広げるように両手を広げる。


鳥が羽を撒くように、銀翼が様ってきた盗賊に迫る。


正中、頭、喉、心臓に一直線に刺さり、よける間もなくバタバタと盗賊二人が息絶えた。


「知っていることがあったら、教えてもらいたいのだけど」

「あっうぁ…………」

「ああっ、大丈夫よ。あんたに聞いてるんじゃないのよ。ゆっくり休んで。上の子に聞くから」

「――――っ!このぉ!!」

ラフィは頭上から振るように襲い掛かってきたもう一人の盗賊に手を伸ばす。


突き出された剣を躱し、手首を握りしめ、落下の速度そのままに、剣を振るうように床に叩きつける。


「がぁっはぁ!」

床の木が割れる。衝撃に剣をカンカンと投げ飛ばされる。口からは血しぶきが飛ぶ。

「あら。あなたも赤髪の獣人なの? …………姉妹かしら」

「…………はぁはぁ、ころ―――あぐっ!わぁ!!」

ラフィは手首を折らんばかりに握りしめる。

「安心して、殺さないわよ。聞きたいことがあるから。素直に答えてくれると手間がなくていいわぁ」

黄色の瞳、そこには愉悦も嫌悪もない。

無表情に冷徹に、機械的に、なんの感情も浮かべさせず、ラフィはそう静かに耳元で囁いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「トラエル様は問題ないとして、ラフィはうまくやっているからしら?」

まぁ彼女なら問題ないでしょう。

音もなく廊下を一人のメイドが歩いていた。

銀髪を輝かせ、隠しきれない豊かな胸が揺れる。


これどうにか出来ないからしら、動くとき邪魔なのよね。

まぁ隠し物が出来るから便利でもあるのだけど。と彼女、ベレーザはうそぶいた。

さて、運よく幹部を狩れればいいのだけど。

ここまで数名の盗賊を始末してきたが、いづれも雑魚ばかりだ。

ロガリエス盗賊団にいる幹部は2人。

猛牛のガース

茨のトリニュー

このルーカス領ではそこそこ名の知れた賞金首ネームドだ。

出来れば、茨のトリニューと当たりたいところ。なにせ魔法使いというのはとても厄介だ。

戦況を一変変化させうる

すべては、お嬢様ローザを勝ちやすくするため、不安要素は出来るだけ排除したいところ。


なにせ、武功を立てるために首を狩るのは、シュッサック様のパーティでなくてはならないからだ。

まぁ、今回は絶対の盾エストアがついているし。

万が一はないと思うのだけど。

がちゃりと大扉を開くと、長テーブル。

食堂だろう。

かつては綺麗なテーブルクロスが引かれ、燭台に曇り一つない銀食器が置かれていたのだろうが、今は見る影もない。

クロスは破かれ、机は残飯や焼け跡、燭台は蝋燭の残りが溶け落ちこびりついている。

そして、それをした奴らは目の前のやつだろう。

「おおぅと、報告通りだな。いい女じゃねーか」


食堂の奥、本来ならこの屋敷の主人が座るべき場所に、禿上がった頭の大男が机に脚を投げ出しながら座っていた。

その周りには、黄ばんだ歯を見せながら嫌らしく笑う盗賊団。

ふむっ、

「残念。外れね、私ってどうも運がないのよね」

「へっへへ、どこに隠れていたか知らねえが、逃げそびれたってわけか?」

と目の前の男、猛牛のガースと思われる大男は笑う。

「2つ違うわぁ」

「ああん?」

「一つは私たちはあなたたちを狩りに来た。そしてもう一つは私は本当は、茨のトリニューのほうを狩りたかったのよ」

ベレーザがそう言うと、キョトンとした表情から一変、盗賊たちは笑い始めた。


「がっはあははははは、お前が、メイド風情が、俺様達を狩るだと。正気かよ」

ベレーザは、表情を変えない。


なぜなら、それが可能だと思っているからだ。


だからだろ、自分たちと対峙しても表情を変えず、飄々としているベレーザを不気味に感じる盗賊もいる。

「おい、何を笑っていやがるんだ!人数差分かってるのか!なめてんじゃねぇぞ!」

笑っている私が?とベレーザは頬を触る。

確かにすこし口角が上がっている気がする。

「すみません、そういうつもりはなかったのですが」

「ああっ!」

「どうやら、あなた方が私に勝てると思っているのがどうも滑稽で笑っていたようです」とベレーザは膝を折る礼をする。

起き上がると、ガースたちの笑いは病んでいた。


「上等じゃねぇか、メイド。俺たちに負けたらどうなるか分かってるんだろうな」


その言葉に、盗賊たちの嫌らしい笑みが増す。

「行くぞお前ら。あのメイドを引っぺがして!穴と言う穴を便器として使ってやる!歯も全部引き抜いて、フェラ犬にしてやるぜ!」

うぉおおおおおお!!!

さて、出来るだけ早く処理して、お嬢様たちのところに向かわないと。

ベレーザは、武器に手をかけた。







「だ、団長!てぇーへんだてぇーへんだ!」


汚らしい唾をまき散らしながら、一人の盗賊が近寄ってくるのをロガリエスは、尻尾を床に叩いて黙らした。


汚わらしい。

「騒々しいどうした?」


「ひえ、それが、なんか天使が攻め込んできたんですわぁ」


「天使何言ってるんだ?こいつ」

「酒の飲みすぎじゃねえか?」

「ほ、本当だ!ま、窓!窓を見てくれ!」

「だから、何を言って――――」


わめく盗賊に仲間たちが変な薬でもやってラリッてるそう思っていた時だった。


窓から差し込む強烈な光。

勿論、朝日や夕日とは比べ物にならない。

照らされた部屋が光で包み込まれるほどの光量が流れ込む。


「な、なんだったんだ、…………てっ、おいまじかよ?!」


光が収束すると窓辺にいた盗賊のうちの一人が窓の外を指さして叫ぶと、次々と部屋にいた盗賊たちが窓に群がる。


「うぉおお、まじだ!」

「あれが天使?! 始めてみた!」

「俺にも見せろ!」

「ほら、だから俺の言ったとおりだろ?!でも団長、あの天使えらく強いんだ!ノルマンたちも瞬殺されちまって。それだけじゃねぇ!ほかにもおかしなメイドがいて屋敷を暴れまわってるんだ」

それを聞いて、盗賊たちの喧騒が消える。

ノルマン、幹部クラスほどではないが、盗賊団ではいつも一番に特攻を決める切り込み体調だ。

かなり場慣れした猛者だ。

それが瞬殺。

それにメイドが暴れまわってるってどういうことだ。

天使に、メイド、異常事態に盗賊たちは団長を見た。

リザートマンであるロガリエスの表情は変わらないというか、分からない。

だから、次の言葉を待った。

「俺が出よう。天使を生き取、いやその死体でも買いたいっていう奴らはごまんといるはずだ。大儲けの獲物がわざわざ自分からのこのこ現れたってわけだ」

ちろりと舌なめずりするみたいにロガリエスが舌を出す。

その強い言葉に盗賊たちは、うぉおおおおおお、沸き立った。

「お前ら、先にいって準備して包囲しろ!俺が仕留める」


「よっしゃ!さすがお頭だ!」

「よし、お前ら残りの連中をかき集めて固めるぞ」

「早くいこうぜ!今日は天使の穴にぶち込めるぞ!」

「くっくく、たまんねぇな!」

盗賊たちは涎足しながら部屋を出ていった。

残るのは、ガースとトリニューの二人だけだ。

「お前たちは行かないのか?」

「ふんっ、行くさ。ただし、おれはメイドのほうだ。そろそろあのメス犬だけじゃ物足りなくなってきたところだ」

「ふっ、好きにしろ」

「ああっ、そうさせてもらうぜ」

ガースは、戦斧を担いで部屋を出ていった。

「ああっ、穴倉に戻っても、メイドは貸さないからな。俺の獲物だ」

と言い残して。


「お前はどうだ? トリニュー」


「…………」

「天使やメイドのケツには興味ないのか」

くっくくくとロガリエスが上体を揺らす。



「…………それよりもミーアはどうした?」

「さぁーな、散々やられていたからな。水浴びでもしてるんじゃないか?」

「ちっ」


「行くのか」


「…………ああっ、不良品とは言え。あのケツは俺の作品だ。捕まってどこぞの貴族に売らるのは癪だ」

「くっくくく、そうか」

殿などごめんだ」

「ばれたか」とロガリエスはちろりと舌をだす。

トリニューはロガリエスに背を向け、宝玉を出す。

コミュニスの瞳と呼ばれるマジックアイテムだ。

対になる宝玉度どおしうで、視界を共有できる。

トリニューはこれを屋敷のいたるところに仕掛けて監視していたのだ。

「戦闘民族として誇りある蜥蜴人リザートマンとは思えんな」

皮肉を言いつつ、ミーアを探す。

あのバカ犬どこにいったのだ。

まさか、あの天使に突っ込んでいったわけではないだろうな!

何が天使を狩るだ。彼我の戦力差を考えろ。

ドラゴンとですら一騎で立ち向かえる種族に勝てるわけがないだろうに。


「そう言ってくれるな。それにいざとなったら、尻尾を切るのも蜥蜴の特権だ」

ちっ、口の上手い蜥蜴人リザートマンだ。

それよりも――――――


ガン、ガン、ガン、ガン、ガンと宝玉が床に落ちて砕けていく。

トリニューの手のひらに、一つを残して。


「どうかしたのか?」

そのトリニューの様子にロガリエスが舌をちろりと出しながら聞いた。

「見つけた」


「ナニ?」

「見つけた。こんなところに、おおうこんなところにいた!」

質問への答えじゃない。

トリニューは宝玉を一心不乱に見つめ、取りつかれたように叫んでいる。


「いた!いや違う帰ってきたんだな!そうだ、この古巣にも、お前も俺も、ああそうだろうよ」


くっはははっはははははは、と笑うトリニュー。


目を抜き出しにし、つばをまき散らし、涎を振り撒く。

およそ普段物静かな男の挙動には思えない。

そんな狂ったような笑いを浮かべるトリニューがロガリエスに振り返った。

思わず、ロガリエスと言えど体が自然と構えてしまう。

「ロガリエス…………取引だ。俺に雇われろ」

「…………ナニ?」

「簡単な話だ。今100万リーゲルある」

「悪いがあの天使とじゃいくらあってもやる気はないぞ」

「ああっ、もちろんだ。俺もあんな化け物とやり合う気はないよ」

「何をすればいい」

「簡単なことだ。今俺たちの首を取ろうと冒険者チームが1パーティ向かってきている。それを。もちろん俺も協力するし、危なくなったら逃げてくれていいよ。トカゲみたいにな」

「…………」

「警戒するな。報酬も前払いで今くれてやる。お前に悪いことはないだろう。冒険者を殺して逃げるだけだ」


じゃらっと音を立てて、小袋が足元に投げ渡される。

ふむ、ちいさいそれを爪を使ってうまくつみながら、ロガリエスは器用に袋をあける。

金貨の輝き、確かに100万はありそうだ。

「いいだろう、でどいつを生かせばいいんだ?」

指しだれる宝玉に移る冒険者パーティ。

「ああっ、こいつだ。分かるだろ」

トリニューは一人を指さした。

人、とは思えない。狂気に満ちた瞳を向けながらトリニューは言った。

「シオンって女だ」



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