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何を考えている(テオドール・フェナジン視点)
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俺は、職場で執務机の上に山積みになっている書類を片付けていた。
リーゼと結婚しても、今の仕事を止めるつもりはない。
寧ろ、今以上に頑張らないと駄目だと思っている。
伯爵家の財政は、まだまだ逼迫しているからな。
親父から借りた金は、何年かかろうと、俺自身の稼ぎで返そうと思っているんだ。
仕事をしながら、貴族としての教育を受けるのは正直大変だ。
だから、俺にとって優先順位が低い学業を疎かにするのは、致し方あるまいと考えている。
どんなに頑張っても、リーゼと同じクラスになる事など、無能な俺には無理だからだ。
それならば、留年しない程度の成績を維持するだけでいい。
俺は婿養子であって、ノワール伯爵になる訳ではないんだからな、最低限の常識さえあれば問題はないだろう。
無駄な努力をするのは、なによりも嫌いなんだ。
だからといって、リーゼに俺と同じクラスに来いとも思わない。
頑張っている人間が、功績を認められないのは理不尽だろう。
特進科の、特待生になるだけの実力を、リーゼは持っているんだからな。
そこは、胸を張って、誇ってやるべきだ。
しかし、クラスメイトがどんな奴なのかは、気になる。
見張りに付けた女どもは、何の役にも立たなかった。
商人は、自分の目で見て手に取って確かめるのが基本だというのに…
親父から、耳にタコが出来る程聞かされた基本を、すっかり忘れてしまっていた。
他人任せに聞いた事を鵜呑みにして、俺は愚かな事をしたと反省している。
特進科の男を数人見つけたので、声を掛けて話してみたら、案外常識人ばかりで気が抜けたんだ。
彼らは、自分を磨き上げる事に必死になっていて、リーゼの事は良きライバルとして見ているだけだった。
リーゼは、淑女の鏡だからな。
それ同等、若しくはそれよりも高位貴族の令息ならば、紳士の手本だという事を失念していた。
俺は、リーゼのクラスメイトの男たちよりも、女子生徒の方が余程厄介だという事を最近になって漸く学ぶ事が出来たんだ。
とんだ回り道をしてしまったと思っている。
そして、リーゼのクラスメイトよりも、ペンタール公爵令嬢の方が危険だという事も理解出来た。
彼女が俺に好意を寄せているのは知っていたが、身分が違い過ぎる。
本気で俺と結ばれたいと考えている訳ではないと思っていたのに、結婚予定であるリーゼに矛先を向けて来たのは想定外だった。
あの茶会以来、リーゼには内緒で護衛をつけたのも、用心に越したことはないと思っているからだ。
最近のペンタール公爵令嬢は、復学してきたイブと仲がいいみたいで、よく公爵邸に出入りさせていると話していた。
イブは、公爵令嬢と肩を並べようとしているのか、俺の店へ来る回数が以前と比べてかなり増えている。
「そろそろイブに、商品の持ち出しを止めるように言わないと。これ以上は、看過出来ないな。あいつは、持ち出した商品の累計金額が幾らになっているのか、理解していないのだろう」
俺は帳簿を見て、未払いになっている商品の代金を確認すると、大きな溜息が出てしまった。
もうひとつ気になるのは、ペンタール公爵令嬢が、イブと仲良くしている理由だが…
まさかとは思うが、イブを手駒にしてリーゼに危害を加えるつもりでいるならば、それは絶対に阻止しなくてはならないな。
俺の予感が外れている事を願ってはいるが、用心の為に学園での行動に気を配っておいてもよいだろう。
気に入らないが、王太子殿下に嘆願書を出しておいたんだ。
彼奴は、ペンタール公爵令嬢の行いを知っているらしいからな、気に留めてくれるはずだ。
俺は、用心深い性格だからな。
使える物は、何でも使う主義でもある。
それが一国の王太子であったとしても、利用価値があるなら躊躇いはしない。
思案していると、従業員に声をかけられた。
「テオドール様、宜しいでしょうか」
「なんだ?」
「イブさんが、また来ております」
「またか…」
「はい。いつもとは様子が違いまして、少々問題が…」
どうやらイブは、奥に顧客専用の個室がある事を知った様で、そこに通せと怒鳴り込んで来たらしい。
「従業員の静止も聞かずに、勝手に中へ入ってしまったのです」
「鍵は、掛けていなかったのか?」
「それが、個室を利用されていたお客様が帰られる為に扉を開けたところを見られてしまい、入れ替わる様に中へと…」
タイミングが悪すぎたのか…
「顧客に迷惑を掛けてしまったな」
「それは、心配ありません。鍵を掛ける前の、ちょっとした隙を狙われてしまいましたから」
「そうか、不幸中の幸いだったな。イブは、店内の商品を持ち出すだけでは飽き足らず、個室でオーダーメイドのドレスでも仕立てるつもりなのか?」
「その様でございます。ついでに、店頭に並んでいない商品を持って来るようにと言っておりました」
ふざけた事を…
リーゼと結婚しても、今の仕事を止めるつもりはない。
寧ろ、今以上に頑張らないと駄目だと思っている。
伯爵家の財政は、まだまだ逼迫しているからな。
親父から借りた金は、何年かかろうと、俺自身の稼ぎで返そうと思っているんだ。
仕事をしながら、貴族としての教育を受けるのは正直大変だ。
だから、俺にとって優先順位が低い学業を疎かにするのは、致し方あるまいと考えている。
どんなに頑張っても、リーゼと同じクラスになる事など、無能な俺には無理だからだ。
それならば、留年しない程度の成績を維持するだけでいい。
俺は婿養子であって、ノワール伯爵になる訳ではないんだからな、最低限の常識さえあれば問題はないだろう。
無駄な努力をするのは、なによりも嫌いなんだ。
だからといって、リーゼに俺と同じクラスに来いとも思わない。
頑張っている人間が、功績を認められないのは理不尽だろう。
特進科の、特待生になるだけの実力を、リーゼは持っているんだからな。
そこは、胸を張って、誇ってやるべきだ。
しかし、クラスメイトがどんな奴なのかは、気になる。
見張りに付けた女どもは、何の役にも立たなかった。
商人は、自分の目で見て手に取って確かめるのが基本だというのに…
親父から、耳にタコが出来る程聞かされた基本を、すっかり忘れてしまっていた。
他人任せに聞いた事を鵜呑みにして、俺は愚かな事をしたと反省している。
特進科の男を数人見つけたので、声を掛けて話してみたら、案外常識人ばかりで気が抜けたんだ。
彼らは、自分を磨き上げる事に必死になっていて、リーゼの事は良きライバルとして見ているだけだった。
リーゼは、淑女の鏡だからな。
それ同等、若しくはそれよりも高位貴族の令息ならば、紳士の手本だという事を失念していた。
俺は、リーゼのクラスメイトの男たちよりも、女子生徒の方が余程厄介だという事を最近になって漸く学ぶ事が出来たんだ。
とんだ回り道をしてしまったと思っている。
そして、リーゼのクラスメイトよりも、ペンタール公爵令嬢の方が危険だという事も理解出来た。
彼女が俺に好意を寄せているのは知っていたが、身分が違い過ぎる。
本気で俺と結ばれたいと考えている訳ではないと思っていたのに、結婚予定であるリーゼに矛先を向けて来たのは想定外だった。
あの茶会以来、リーゼには内緒で護衛をつけたのも、用心に越したことはないと思っているからだ。
最近のペンタール公爵令嬢は、復学してきたイブと仲がいいみたいで、よく公爵邸に出入りさせていると話していた。
イブは、公爵令嬢と肩を並べようとしているのか、俺の店へ来る回数が以前と比べてかなり増えている。
「そろそろイブに、商品の持ち出しを止めるように言わないと。これ以上は、看過出来ないな。あいつは、持ち出した商品の累計金額が幾らになっているのか、理解していないのだろう」
俺は帳簿を見て、未払いになっている商品の代金を確認すると、大きな溜息が出てしまった。
もうひとつ気になるのは、ペンタール公爵令嬢が、イブと仲良くしている理由だが…
まさかとは思うが、イブを手駒にしてリーゼに危害を加えるつもりでいるならば、それは絶対に阻止しなくてはならないな。
俺の予感が外れている事を願ってはいるが、用心の為に学園での行動に気を配っておいてもよいだろう。
気に入らないが、王太子殿下に嘆願書を出しておいたんだ。
彼奴は、ペンタール公爵令嬢の行いを知っているらしいからな、気に留めてくれるはずだ。
俺は、用心深い性格だからな。
使える物は、何でも使う主義でもある。
それが一国の王太子であったとしても、利用価値があるなら躊躇いはしない。
思案していると、従業員に声をかけられた。
「テオドール様、宜しいでしょうか」
「なんだ?」
「イブさんが、また来ております」
「またか…」
「はい。いつもとは様子が違いまして、少々問題が…」
どうやらイブは、奥に顧客専用の個室がある事を知った様で、そこに通せと怒鳴り込んで来たらしい。
「従業員の静止も聞かずに、勝手に中へ入ってしまったのです」
「鍵は、掛けていなかったのか?」
「それが、個室を利用されていたお客様が帰られる為に扉を開けたところを見られてしまい、入れ替わる様に中へと…」
タイミングが悪すぎたのか…
「顧客に迷惑を掛けてしまったな」
「それは、心配ありません。鍵を掛ける前の、ちょっとした隙を狙われてしまいましたから」
「そうか、不幸中の幸いだったな。イブは、店内の商品を持ち出すだけでは飽き足らず、個室でオーダーメイドのドレスでも仕立てるつもりなのか?」
「その様でございます。ついでに、店頭に並んでいない商品を持って来るようにと言っておりました」
ふざけた事を…
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