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大きな勘違い(イブ視点)
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「ちょっとイブ、お金が無くなったわ。今月の家賃はいつ貰ってきてくれるの?流行りの化粧品もなくなりそうなの。あ、帰って来るついでに、食材を買って来てね」
「あたしは、母さんの小間使いじゃないんだから、欲しかったら自分で貰ってくればいいじゃない」
「親に口答えをするなんて、生意気な娘だわ。育ててやった恩返しくらいしても罰は当たらないよ!」
「育ててくれだなんて、言ってないし」
「屁理屈言っていないで、さっさと稼いで来なさい」
「なんで、あたしが稼がないといけないのよ。父さんだって母さんだって、働いていないでしょ!なんで、あたしにばっかり文句を言うのよ、不公平だわ」
「父さんも母さんが行っても無駄足だったって、何度も同じ事を言わせないでよ。お前じゃなきゃ、何もくれやしないさ」
「分かったわよ。もう、面倒くさいなあ」
学園は停学になっちゃうし、親にはこき使われるし、家にいたっていい事なんて何にもないわ。
早く大人になってテオ君と結婚しないと、あたしの人生父さんや母さんみたいになっちゃう。
そんなの絶対に嫌よ。
父さんは働きもしないで昼間から酒屋に入り浸ってて、家に帰って来ても寝てるだけだし。
母さんは家の事はしてくれるけど、近所の主婦友達とおしゃべりばっかりしていて、お金がなくなると機嫌が悪くなる。
あたしが子供の頃は二人共ちゃんと働いていたし、優しくて大好きな両親だったのに…
いつからおかしくなったんだろ?
考えても分からないし、あたしはいつもの様に、テオ君が経営しているお店に来たわ。
平日の昼間だというのに、相変わらず繁盛しているのね、お客がいっぱい。
稼ぎも凄いんだろうなぁ…早くお嫁さんになって、贅沢三昧に暮らすんだ。
お店の扉を開けると、売り子が元気よく振り向いた。
「いらっしゃ………い…ませ」
何よ!最近では、嫌な顔を隠そうともしないんだから、腹立つったらありゃしない。
何度もテオ君に解雇してって言っているのに全然聞いてくれないし、あたしがテオ君のお嫁さんになったら、こんな愛想の悪い売り子なんて一番最初に解雇してやるんだから!
腹を立てながら、持っていく商品を物色しているうちに、怒りは収まってきたかも?
やっぱりこのお店、可愛い物ばかりで、見ているだけで楽しくなっちゃう。
質屋で高く売れる商品と、母さんの化粧品の他に、あたしも新しいワンピースが欲しくなった。
「あ!新作出たんだ、可愛い~この香水の瓶も、高く売れるんだよね。あたしのと、母さんのと、質屋へ持っていくのと…何よ、文句があるならハッキリ言えば?あたしはテオ君の婚約者なんだからね!」
本当に態度悪いんだから、どうしてテオ君は、こんなのをいつまでも雇っているんだろう。
ちゃんと接客もしてくれないし、失礼だわ。
「ちょっと!黙って見ていないで、手伝いなさいよ。両手が塞がって、他の商品を持てないじゃないの。従業員の癖に、気が利かないのね!あ、質屋に持っていくのは別に包んでって、いつも言っているでしょう。本当に使えないわ~こんな奴等なんて、さっさと解雇しちゃえばいいのに、腹立つわね!」
あたしはお店を出ると真っ直ぐに質屋へと向かい、包んだばっかりの商品をカウンターに並べたの。
「親父、高く買い取ってよ。新商品ばかりなんだから、他の店より安くしたら許さないんだからね」
「また、フェナジンぼっちゃんの店からくすねて来たのか?」
「ちょっと、人聞きの悪い事を言わないでよね!あそこはあたしの嫁ぎ先なんだから、あたしの店と同じ事でしょう」
「へいへい。うちも商売だから買い取ってはやるが、いつまでも続くと思っていたら大間違いなんだぜ」
「心配しなくたって、テオ君の店は潰れたりしないわよ」
親父は、なんだか憐れな者を見る目であたしを見た。
「そんな事を、言っているんじゃねえよ。お前の親父さん、酒場に入り浸りじゃねえか。いい加減働かねえと、無駄に歳だけ腐らせちまうぜ。おいぼれなんか、何処も雇ってくれねえんだよ」
「あたしに言わないでよ。結婚したら、あたしは大富豪になるんだよ。親の生活費くらい、はした金になるんだからね。あんたの店にだって、来る事もなくなるんだから」
「そうなるといいな。ほらよ、今月分の家賃と生活費にしたら充分過ぎる金額だぜ。おい、イブ。買い取り額が、毎月大胆な金額になっていってる事に、お前の親は気付いていないのか?」
「知らない」
親父は、大きな溜息を吐くと、あたしを邪魔者みたいに追い払った。
「なによ。盗んで来た物じゃないのにさ、どいつもこいつも説教ばっかり。あたしが玉の輿に乗るからってひがんじゃってさ、本当、平民て大嫌い。早くテオ君と結婚したいなぁ。お貴族様になったら、こんな惨めな思いもしなくて済むんだ、凄い楽しみ~」
あたしが小さかった時は、まだテオ君の家も今みたいな大富豪じゃなかったから、結婚の約束も本気じゃなかったんだよね。
でも大富豪になったんだから、結婚してあげるの。
テオ君だって、あたしと結婚したいと思っているはずだもの。
伯爵令嬢が相手だからって、あたしは絶対に負ける訳にはいかないのよ。
貧乏な暮らしなんかうんざり。
だから早くテオ君を自由にしてあげて、学園を卒業したらさっさと結婚するんだ。
それなのに停学になっちゃうんだもん、ついてないよね…
生け垣に穴が開いてたから、そこから出入りしてただけなのに、規律が厳し過ぎるのよ!
あたしが休んでいる間、テオ君寂しがっているだろうな…
屋敷に会いに行っても、いつも留守だし、心配になっちゃう。
「あたしは、母さんの小間使いじゃないんだから、欲しかったら自分で貰ってくればいいじゃない」
「親に口答えをするなんて、生意気な娘だわ。育ててやった恩返しくらいしても罰は当たらないよ!」
「育ててくれだなんて、言ってないし」
「屁理屈言っていないで、さっさと稼いで来なさい」
「なんで、あたしが稼がないといけないのよ。父さんだって母さんだって、働いていないでしょ!なんで、あたしにばっかり文句を言うのよ、不公平だわ」
「父さんも母さんが行っても無駄足だったって、何度も同じ事を言わせないでよ。お前じゃなきゃ、何もくれやしないさ」
「分かったわよ。もう、面倒くさいなあ」
学園は停学になっちゃうし、親にはこき使われるし、家にいたっていい事なんて何にもないわ。
早く大人になってテオ君と結婚しないと、あたしの人生父さんや母さんみたいになっちゃう。
そんなの絶対に嫌よ。
父さんは働きもしないで昼間から酒屋に入り浸ってて、家に帰って来ても寝てるだけだし。
母さんは家の事はしてくれるけど、近所の主婦友達とおしゃべりばっかりしていて、お金がなくなると機嫌が悪くなる。
あたしが子供の頃は二人共ちゃんと働いていたし、優しくて大好きな両親だったのに…
いつからおかしくなったんだろ?
考えても分からないし、あたしはいつもの様に、テオ君が経営しているお店に来たわ。
平日の昼間だというのに、相変わらず繁盛しているのね、お客がいっぱい。
稼ぎも凄いんだろうなぁ…早くお嫁さんになって、贅沢三昧に暮らすんだ。
お店の扉を開けると、売り子が元気よく振り向いた。
「いらっしゃ………い…ませ」
何よ!最近では、嫌な顔を隠そうともしないんだから、腹立つったらありゃしない。
何度もテオ君に解雇してって言っているのに全然聞いてくれないし、あたしがテオ君のお嫁さんになったら、こんな愛想の悪い売り子なんて一番最初に解雇してやるんだから!
腹を立てながら、持っていく商品を物色しているうちに、怒りは収まってきたかも?
やっぱりこのお店、可愛い物ばかりで、見ているだけで楽しくなっちゃう。
質屋で高く売れる商品と、母さんの化粧品の他に、あたしも新しいワンピースが欲しくなった。
「あ!新作出たんだ、可愛い~この香水の瓶も、高く売れるんだよね。あたしのと、母さんのと、質屋へ持っていくのと…何よ、文句があるならハッキリ言えば?あたしはテオ君の婚約者なんだからね!」
本当に態度悪いんだから、どうしてテオ君は、こんなのをいつまでも雇っているんだろう。
ちゃんと接客もしてくれないし、失礼だわ。
「ちょっと!黙って見ていないで、手伝いなさいよ。両手が塞がって、他の商品を持てないじゃないの。従業員の癖に、気が利かないのね!あ、質屋に持っていくのは別に包んでって、いつも言っているでしょう。本当に使えないわ~こんな奴等なんて、さっさと解雇しちゃえばいいのに、腹立つわね!」
あたしはお店を出ると真っ直ぐに質屋へと向かい、包んだばっかりの商品をカウンターに並べたの。
「親父、高く買い取ってよ。新商品ばかりなんだから、他の店より安くしたら許さないんだからね」
「また、フェナジンぼっちゃんの店からくすねて来たのか?」
「ちょっと、人聞きの悪い事を言わないでよね!あそこはあたしの嫁ぎ先なんだから、あたしの店と同じ事でしょう」
「へいへい。うちも商売だから買い取ってはやるが、いつまでも続くと思っていたら大間違いなんだぜ」
「心配しなくたって、テオ君の店は潰れたりしないわよ」
親父は、なんだか憐れな者を見る目であたしを見た。
「そんな事を、言っているんじゃねえよ。お前の親父さん、酒場に入り浸りじゃねえか。いい加減働かねえと、無駄に歳だけ腐らせちまうぜ。おいぼれなんか、何処も雇ってくれねえんだよ」
「あたしに言わないでよ。結婚したら、あたしは大富豪になるんだよ。親の生活費くらい、はした金になるんだからね。あんたの店にだって、来る事もなくなるんだから」
「そうなるといいな。ほらよ、今月分の家賃と生活費にしたら充分過ぎる金額だぜ。おい、イブ。買い取り額が、毎月大胆な金額になっていってる事に、お前の親は気付いていないのか?」
「知らない」
親父は、大きな溜息を吐くと、あたしを邪魔者みたいに追い払った。
「なによ。盗んで来た物じゃないのにさ、どいつもこいつも説教ばっかり。あたしが玉の輿に乗るからってひがんじゃってさ、本当、平民て大嫌い。早くテオ君と結婚したいなぁ。お貴族様になったら、こんな惨めな思いもしなくて済むんだ、凄い楽しみ~」
あたしが小さかった時は、まだテオ君の家も今みたいな大富豪じゃなかったから、結婚の約束も本気じゃなかったんだよね。
でも大富豪になったんだから、結婚してあげるの。
テオ君だって、あたしと結婚したいと思っているはずだもの。
伯爵令嬢が相手だからって、あたしは絶対に負ける訳にはいかないのよ。
貧乏な暮らしなんかうんざり。
だから早くテオ君を自由にしてあげて、学園を卒業したらさっさと結婚するんだ。
それなのに停学になっちゃうんだもん、ついてないよね…
生け垣に穴が開いてたから、そこから出入りしてただけなのに、規律が厳し過ぎるのよ!
あたしが休んでいる間、テオ君寂しがっているだろうな…
屋敷に会いに行っても、いつも留守だし、心配になっちゃう。
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