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真実を知らないリーゼ
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「もう直ぐテストですわね。リーゼは、どこまで出来ているの?」
生徒会室の片隅で、教科書を開いて頭を悩ませているラノアは、計画的にテスト勉強をするタイプではありません。
授業内容はしっかりと聞いている様なので、直前にテスト範囲を流し読みする程度で済ませているのです。
それなのに、そこそこの点数を取って上位勢の中に入ってくるのですから、しっかりと計画を立ててお勉強をしたら良いのにと思ってしまいます。
「私は、もうテスト範囲のお勉強は、終わっているわ。今は、過去の試験問題を片っ端から解いて、答え合わせをしながら間違いが無いか確認をしているの」
「流石だわ、リーゼ。私には、計画的に何かを進めるのって、とても苦手な事よ」
「そうなの?チェスの駒の動かし方を見ていたらぁ、何手も先を見越している様に感じていたよぉ。ラノア嬢は、本能で行動するタイプなのかなぁ」
王太子殿下が、私たちの会話に入ってこられました。
今はテスト前なので、クラブ活動等は皆お休みになります。
勿論生徒会もお休みになりますが、お部屋を借りてお勉強会をしているのでした。
この時期は、図書室は生徒で溢れ返っておりますし、教室の中も殺伐としているので正直居心地が悪かったのです。
屋敷に戻ってお勉強をしてもよかったのですが、王太子殿下が一緒にテスト勉強をしようと嬉しいお声を掛けてくださったので、そのお言葉に甘えているのでした。
上級生が見てくださるので、私のテスト勉強は、いつも以上に進んでいるのです。
「ノワール嬢。生徒会で保管している過去のテスト問題は、これで最後だ。この短期間で、随分と頑張ったな。この調子なら、今回も高得点が期待出来るのではないか」
「ハーデンベルギア様のお蔭ですわ。家庭教師から、付きっきりで教わっているのかと、錯覚する程でしたもの」
「そうか。俺で役にたてたのなら良かった」
「ハーデンベルギア様は、帰国後、初めてのテストになるのですよね?それなのに、私に付きっきりで、本当によかったのでしょうか?なんだか申し訳なく感じてしまいます」
私は、何かおかしな事を言ってしまったのでしょうか?
いつもは殆ど無表情なハーデンベルギア様が、困った様な顔をされてしまいました。
「あははっ。余計な心配だよぉ、リーゼリア嬢。隣国はねぇ、我が国など足元にも及ばない程、学力が高いのだぞぉ。それにジルテックは、キプロスと大差ない、優秀な頭脳の持ち主だからなぁ。どちらも、僕の自慢の側近になる男たちだよ~」
「そうでしたか。殿下から信頼されていらっしゃるなんて、本当に素晴らしい方たちなのですね」
「グラナダは、大袈裟に言っているだけだ。キプロスは優秀な奴だが、俺はそこまで自慢される程ではない。だから、勘違いしないで欲しい」
王太子殿下の言葉を否定するハーデンベルギア様は、どこか照れた様な感じに見えました。
「皆様、根を詰めるのはよくありませんからね、お茶にしますよ。学園長から、異国の珍しい茶葉を頂いたのです。お茶菓子もありますので、疲れた頭に糖分を補給いたしましょう」
モンテカルロ様が、役員の為にお茶を淹れてくださってました。
「気付かずにすみません。モンテカルロ様に全てお任せしてしまうなんて、お恥ずかしいです」
「お茶を淹れるのは、私の趣味のひとつですから、気にされる事はありませんよ。美味しく飲んでいただけるのが、私にとって一番のご褒美なのです」
モンテカルロ様は、とても優しく、穏やかな笑顔で微笑まれておりました。
「キプロスの趣味は、多岐にわたるからねぇ。僕も、全てを把握している訳ではないんだよぉ。それに、キプロスよりも先回りしようだなんて、無駄な事は考えないのが一番さっ」
王太子殿下は、とても楽しそうなご様子で、教えてくださいました。
私とラノアは、恐縮しながらも淹れてくださったお茶を、美味しく頂いたのです。
「そう言えば、リーゼリア嬢は、誘拐されかけた事を知っているのかなぁ?」
王太子殿下が、突然話題を変えました。
「はい。父から、その様な事があったのは、報告を受けております。ですが、特に被害を受けた訳ではありませんでしたので、詳しい内容までは把握しておりません。一応、身辺に注意は払っておりますが、普段と変わらぬ生活をしておりました」
「そうかぁ。では、首謀者が誰なのかは、知らないのだね?テオドールからも、何も聞いてはいないのかなぁ?」
「テオドール様ですか?……特に変わった事は、聞いておりませんでした。何か、関係があったのでしょうか」
私は、最近テオドール様の様子がおかしい事と、何か係わりがあるのかと考えてしまいました。
「へ~え。彼は、意外な一面を持っているのだねぇ。ちょっと、見直したかもぉ」
王太子殿下は、面白い事を見つけた少年の様に、瞳をキラキラと輝かせております。
「テオドール様は、何か隠し事をされているのでしょうか?私には、伝えたくない事なのでしょうか?」
「う~ん…別に、伝える必要はないと思うけれどぉ?どうしても知りたいのならばぁ、隠す必要もないと、僕は考えているよぉ。少なくても、リーゼリア嬢が関係している事だからねぇ。後から、真実を聞かされるリスクが無いとは限らないしね~」
「テオドールは、隠し通すつもりなのだろう。聞いて気分の良い話ではないからな」
「お前も、隠し通す事に、賛成するのかなぁ?ジルテック」
「………態々、嫌な思いをさせる理由はないだろう」
「君たちは、隠し通せる自信があるのだねぇ。凄いや~僕には、無理だなぁ。バレた時の事を考えたら、落ち着いて、お茶も飲めなくなってしまうよぉ」
王太子殿下は、自身の身体を両腕で抱きしめて、モンテカルロ様に助けを求めたのでした。
モンテカルロ様は、苦笑しながらも、殿下の肩をポンポンと叩いて慰めております。
殿下は、とえも満足そうな顔になったのでした。
生徒会室の片隅で、教科書を開いて頭を悩ませているラノアは、計画的にテスト勉強をするタイプではありません。
授業内容はしっかりと聞いている様なので、直前にテスト範囲を流し読みする程度で済ませているのです。
それなのに、そこそこの点数を取って上位勢の中に入ってくるのですから、しっかりと計画を立ててお勉強をしたら良いのにと思ってしまいます。
「私は、もうテスト範囲のお勉強は、終わっているわ。今は、過去の試験問題を片っ端から解いて、答え合わせをしながら間違いが無いか確認をしているの」
「流石だわ、リーゼ。私には、計画的に何かを進めるのって、とても苦手な事よ」
「そうなの?チェスの駒の動かし方を見ていたらぁ、何手も先を見越している様に感じていたよぉ。ラノア嬢は、本能で行動するタイプなのかなぁ」
王太子殿下が、私たちの会話に入ってこられました。
今はテスト前なので、クラブ活動等は皆お休みになります。
勿論生徒会もお休みになりますが、お部屋を借りてお勉強会をしているのでした。
この時期は、図書室は生徒で溢れ返っておりますし、教室の中も殺伐としているので正直居心地が悪かったのです。
屋敷に戻ってお勉強をしてもよかったのですが、王太子殿下が一緒にテスト勉強をしようと嬉しいお声を掛けてくださったので、そのお言葉に甘えているのでした。
上級生が見てくださるので、私のテスト勉強は、いつも以上に進んでいるのです。
「ノワール嬢。生徒会で保管している過去のテスト問題は、これで最後だ。この短期間で、随分と頑張ったな。この調子なら、今回も高得点が期待出来るのではないか」
「ハーデンベルギア様のお蔭ですわ。家庭教師から、付きっきりで教わっているのかと、錯覚する程でしたもの」
「そうか。俺で役にたてたのなら良かった」
「ハーデンベルギア様は、帰国後、初めてのテストになるのですよね?それなのに、私に付きっきりで、本当によかったのでしょうか?なんだか申し訳なく感じてしまいます」
私は、何かおかしな事を言ってしまったのでしょうか?
いつもは殆ど無表情なハーデンベルギア様が、困った様な顔をされてしまいました。
「あははっ。余計な心配だよぉ、リーゼリア嬢。隣国はねぇ、我が国など足元にも及ばない程、学力が高いのだぞぉ。それにジルテックは、キプロスと大差ない、優秀な頭脳の持ち主だからなぁ。どちらも、僕の自慢の側近になる男たちだよ~」
「そうでしたか。殿下から信頼されていらっしゃるなんて、本当に素晴らしい方たちなのですね」
「グラナダは、大袈裟に言っているだけだ。キプロスは優秀な奴だが、俺はそこまで自慢される程ではない。だから、勘違いしないで欲しい」
王太子殿下の言葉を否定するハーデンベルギア様は、どこか照れた様な感じに見えました。
「皆様、根を詰めるのはよくありませんからね、お茶にしますよ。学園長から、異国の珍しい茶葉を頂いたのです。お茶菓子もありますので、疲れた頭に糖分を補給いたしましょう」
モンテカルロ様が、役員の為にお茶を淹れてくださってました。
「気付かずにすみません。モンテカルロ様に全てお任せしてしまうなんて、お恥ずかしいです」
「お茶を淹れるのは、私の趣味のひとつですから、気にされる事はありませんよ。美味しく飲んでいただけるのが、私にとって一番のご褒美なのです」
モンテカルロ様は、とても優しく、穏やかな笑顔で微笑まれておりました。
「キプロスの趣味は、多岐にわたるからねぇ。僕も、全てを把握している訳ではないんだよぉ。それに、キプロスよりも先回りしようだなんて、無駄な事は考えないのが一番さっ」
王太子殿下は、とても楽しそうなご様子で、教えてくださいました。
私とラノアは、恐縮しながらも淹れてくださったお茶を、美味しく頂いたのです。
「そう言えば、リーゼリア嬢は、誘拐されかけた事を知っているのかなぁ?」
王太子殿下が、突然話題を変えました。
「はい。父から、その様な事があったのは、報告を受けております。ですが、特に被害を受けた訳ではありませんでしたので、詳しい内容までは把握しておりません。一応、身辺に注意は払っておりますが、普段と変わらぬ生活をしておりました」
「そうかぁ。では、首謀者が誰なのかは、知らないのだね?テオドールからも、何も聞いてはいないのかなぁ?」
「テオドール様ですか?……特に変わった事は、聞いておりませんでした。何か、関係があったのでしょうか」
私は、最近テオドール様の様子がおかしい事と、何か係わりがあるのかと考えてしまいました。
「へ~え。彼は、意外な一面を持っているのだねぇ。ちょっと、見直したかもぉ」
王太子殿下は、面白い事を見つけた少年の様に、瞳をキラキラと輝かせております。
「テオドール様は、何か隠し事をされているのでしょうか?私には、伝えたくない事なのでしょうか?」
「う~ん…別に、伝える必要はないと思うけれどぉ?どうしても知りたいのならばぁ、隠す必要もないと、僕は考えているよぉ。少なくても、リーゼリア嬢が関係している事だからねぇ。後から、真実を聞かされるリスクが無いとは限らないしね~」
「テオドールは、隠し通すつもりなのだろう。聞いて気分の良い話ではないからな」
「お前も、隠し通す事に、賛成するのかなぁ?ジルテック」
「………態々、嫌な思いをさせる理由はないだろう」
「君たちは、隠し通せる自信があるのだねぇ。凄いや~僕には、無理だなぁ。バレた時の事を考えたら、落ち着いて、お茶も飲めなくなってしまうよぉ」
王太子殿下は、自身の身体を両腕で抱きしめて、モンテカルロ様に助けを求めたのでした。
モンテカルロ様は、苦笑しながらも、殿下の肩をポンポンと叩いて慰めております。
殿下は、とえも満足そうな顔になったのでした。
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