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メリーへの嫉妬
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今日はハロルド様が住んでいらっしゃる、侯爵邸にお邪魔しております。
侯爵ご夫妻は、結婚式が終わったら領地に住まいを変えると仰っているので、ハロルド様と二人での生活が始まるのです。
考えたら気恥しくも思いますが、楽しみでもあり最近の私は何処かおかしな気持ちになるのです。
侯爵邸でのお茶会には、メイドはお茶の用意をした後、直ぐに退室して行きました。
メリーの様に、侍女の傍で控えている者はおりません。
私は思い切って、ハロルド様に、聞いてみる事に致しました。
「ハロルド様、お聞きしたい事がございます」
「何かな?」
「侯爵家のメイドは、茶会に同席されないのでしょうか?」
「使用人には、同席する権利を与えてはいないからね。侍女たちが居るから、問題は無いだろう。それとも、何か気になる事でもあるのかな」
やはりそうですよね…でしたら伯爵邸でメリーの同席を許可しているのは、何故なのでしょうか。
「いえ。何でもありませんわ」
平然として答えましたが、ここで私がメリーの事を口に出したらハロルド様からどの様な反応をされるのかが怖くて、これ以上は言葉に出来ませんでした。
侯爵邸に彼女はおりませんから、当然ですがハロルド様に熱い視線を送る者もおりません。
ですが私は、どうしてもメリーの事が頭から離れなくなり、楽しく過ごす事が出来なかったのです。
何処か上の空になっていたのでしょう、隠しているつもりでしたが気付かれてしまいました。
「キャロライン。私の話は退屈でしょうか?最近貴方は、私との時間を楽しめていない様に感じています。何かあるのでしたら、話しては頂けませんか」
彼は、何も悪くはありません。
私が心の中に蟠りを抱えてしまった事が、一番の原因なのです。
ここに至って、やっと自分の中にある本心に気付いたのでした。
貴族家の娘として産まれ、家紋に恥じぬよう教育されて来ましたが、淡い恋心を抑えきる事は出来なかったのです。
これは、メリーに対する嫉妬なのです。
あり得ない事だと分かってはいても、ハロルド様をメリーに奪われてしまうのではないかと、不安になっていたのです。
彼は何時だって、私の目を真っ直ぐに見てくれていると言うのに、その事にも気付かないでいた様です。
「申し訳ありません、ハロルド様。私自身の問題なので、どうかお気になさらないで下さい」
「そうですか。ですが、私はキャロラインの婚約者なのです。結婚式の日取りも決まりました。心に思う事があるのでしたら、些細な事でも構いませんので、伝えて欲しいと思っております」
「ありがとうございます。私の裁量がなかったばかりに、不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」
「不快だとは思っておりません、キャロラインを心配しているのです。私は貴方の事を、とても大切に思っているのですから。ただ…いえ、何でもありません。失礼致しました」
ハロルド様は、何を言いかけたのでしょうか?
気になったのですが、心の内を見透かされてしまった事がとても恥ずかしくなってしまい、俯いてしまいました。
ハロルド様が少し残念そうなお顔で私を見ていた事を、気付く事が出来ずにいたのです。
侯爵ご夫妻は、結婚式が終わったら領地に住まいを変えると仰っているので、ハロルド様と二人での生活が始まるのです。
考えたら気恥しくも思いますが、楽しみでもあり最近の私は何処かおかしな気持ちになるのです。
侯爵邸でのお茶会には、メイドはお茶の用意をした後、直ぐに退室して行きました。
メリーの様に、侍女の傍で控えている者はおりません。
私は思い切って、ハロルド様に、聞いてみる事に致しました。
「ハロルド様、お聞きしたい事がございます」
「何かな?」
「侯爵家のメイドは、茶会に同席されないのでしょうか?」
「使用人には、同席する権利を与えてはいないからね。侍女たちが居るから、問題は無いだろう。それとも、何か気になる事でもあるのかな」
やはりそうですよね…でしたら伯爵邸でメリーの同席を許可しているのは、何故なのでしょうか。
「いえ。何でもありませんわ」
平然として答えましたが、ここで私がメリーの事を口に出したらハロルド様からどの様な反応をされるのかが怖くて、これ以上は言葉に出来ませんでした。
侯爵邸に彼女はおりませんから、当然ですがハロルド様に熱い視線を送る者もおりません。
ですが私は、どうしてもメリーの事が頭から離れなくなり、楽しく過ごす事が出来なかったのです。
何処か上の空になっていたのでしょう、隠しているつもりでしたが気付かれてしまいました。
「キャロライン。私の話は退屈でしょうか?最近貴方は、私との時間を楽しめていない様に感じています。何かあるのでしたら、話しては頂けませんか」
彼は、何も悪くはありません。
私が心の中に蟠りを抱えてしまった事が、一番の原因なのです。
ここに至って、やっと自分の中にある本心に気付いたのでした。
貴族家の娘として産まれ、家紋に恥じぬよう教育されて来ましたが、淡い恋心を抑えきる事は出来なかったのです。
これは、メリーに対する嫉妬なのです。
あり得ない事だと分かってはいても、ハロルド様をメリーに奪われてしまうのではないかと、不安になっていたのです。
彼は何時だって、私の目を真っ直ぐに見てくれていると言うのに、その事にも気付かないでいた様です。
「申し訳ありません、ハロルド様。私自身の問題なので、どうかお気になさらないで下さい」
「そうですか。ですが、私はキャロラインの婚約者なのです。結婚式の日取りも決まりました。心に思う事があるのでしたら、些細な事でも構いませんので、伝えて欲しいと思っております」
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