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何時から騙されていた(ハロルド視点)
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私の頭は混乱していた。
キャロラインはずっとメリーを信頼して、私に胸の内を聞かせてくれていたのだ。
メリーだけが、キャロラインを大切にしてくれていると…
もし侍女長の言う事が真実なのだとしたら、私は今まで一体何をしていたのだ。
最初は彼女を探し、屋敷中の客間を見て回ったが、見つける事は出来なかった。
メイドたちにキャロラインの事を聞いても、口を閉ざして知らぬ存ぜぬの一点張りだった。
会いたくないと言うキャロラインからの手紙を鵜吞みにして、探す事を諦めてしまったのだ。
その結果が、これなのか?
こんな状態になるまで、私は放置していた事になる。
そもそも彼女は何故、私を避けるような手紙を書き続けていたのだ?
私の思考を、甲高いメリーの声が邪魔をする。
「そうですわ、私は何もしていないのよ。侍女長、いい加減な事を言わないで頂戴。そうよ、医者がいるのですもの、彼に聞けば分かりますわ。貴方は医者なのですから正直に答えて下さいませ」
「分かりました。確かに私は、口止め料を頂いてしまいましたが、これ以上黙って見過ごす事は出来ません。メリー、私は医者として、君に何度も申し上げたではありませんか。これ以上の暴力は、命に係わると。それを知っていながら、貴方は何度も殴ったのではありませんか」
「ち、違う…出鱈目よ!私はただ…」
「ただ?ただ何だと言うのだ、これ以上の言い逃れは出来ないぞ。私も、お前も厳罰を受ける時が来たのだ。これ以上黙っている事は出来ない、もっと早くそうしていれば良かったのだ」
医者の、後悔とも思える苦悶の表情が視界に入る。
貴族家の内情を、外部に漏らさない為に口止め料を払うのは、珍しい事では無い。
彼も、深く考えずに了承したのだろう、まさかこんな事態になるとは考えもせずに…
「ハロルド様。申し訳ありません、私は侍女長として失格でございます。メリーに脅されていたとは言え、キャロライン様に酷い事をしてしまいました。どうか厳罰をお願い致します。私だけではございません、他にもメリーに従っていた者がおります」
「何時からだ…何時から、この様な事になった。別室で、静かに暮らしたいと、キャロラインは言っていた筈なのに…何故昏睡状態に陥っている、何故だ。何故キャロラインが、この様に衰弱しきっている!侍女たちは、何をしていたのだ」
「申し訳ありません、ハロルド様。彼女は嫁いで来たその日から使用人部屋で、下女として働かされていたのです。そして、メリーから酷い暴力を受けておりました」
「嘘ですわ。いい加減な事を言わないで頂戴、私がそんな酷い事をする筈がありません」
「披露宴の後からだと言うのか?彼女が侯爵邸に来たその日から…」
私は膝から崩れ落ちて、その場から一歩も動けなくなった。
「私も、これは小侯爵様の指示だと、メリーから聞いておりました。今は医者として、キャロライン様をお助けする為に、最善を尽くしたいと思います。それが、今の私に出来る、最大の償いにございますから…」
医者の言葉を聞いて、メリーは何処まで侯爵邸の使用人を掌握していたのだろうと戦慄した。
私は、まだ現実を受け止める事が出来ずにいる。
メリーは、必死に真実を隠そうとしている様だが、何を言っているのかすら理解出来なかったのだ。
「メリー。キャロラインは、何故下女として働らかされていたのだ。彼女は、私の妻なのだぞ。貴族令嬢として育てられて来た女性が、そんな労働に耐えられる筈がないだろう」
「それは…私も止めたのですわ。ですが、聞き入れて頂けなくて…」
「嘘の上塗りは止めてくれ。何故キャロラインに、暴力を振るった!一体何時から、私を騙していたのだ。キャロラインからの手紙は、君が彼女を脅して書かせていたのか!」
「そんな事、私はしておりません。信じて下さい、ハロルド様。私は、何も知らなかったのです。そうです、全てメイド長が勝手にやった事。私は関係ないのです」
「メイド長だと?」
キャロラインはずっとメリーを信頼して、私に胸の内を聞かせてくれていたのだ。
メリーだけが、キャロラインを大切にしてくれていると…
もし侍女長の言う事が真実なのだとしたら、私は今まで一体何をしていたのだ。
最初は彼女を探し、屋敷中の客間を見て回ったが、見つける事は出来なかった。
メイドたちにキャロラインの事を聞いても、口を閉ざして知らぬ存ぜぬの一点張りだった。
会いたくないと言うキャロラインからの手紙を鵜吞みにして、探す事を諦めてしまったのだ。
その結果が、これなのか?
こんな状態になるまで、私は放置していた事になる。
そもそも彼女は何故、私を避けるような手紙を書き続けていたのだ?
私の思考を、甲高いメリーの声が邪魔をする。
「そうですわ、私は何もしていないのよ。侍女長、いい加減な事を言わないで頂戴。そうよ、医者がいるのですもの、彼に聞けば分かりますわ。貴方は医者なのですから正直に答えて下さいませ」
「分かりました。確かに私は、口止め料を頂いてしまいましたが、これ以上黙って見過ごす事は出来ません。メリー、私は医者として、君に何度も申し上げたではありませんか。これ以上の暴力は、命に係わると。それを知っていながら、貴方は何度も殴ったのではありませんか」
「ち、違う…出鱈目よ!私はただ…」
「ただ?ただ何だと言うのだ、これ以上の言い逃れは出来ないぞ。私も、お前も厳罰を受ける時が来たのだ。これ以上黙っている事は出来ない、もっと早くそうしていれば良かったのだ」
医者の、後悔とも思える苦悶の表情が視界に入る。
貴族家の内情を、外部に漏らさない為に口止め料を払うのは、珍しい事では無い。
彼も、深く考えずに了承したのだろう、まさかこんな事態になるとは考えもせずに…
「ハロルド様。申し訳ありません、私は侍女長として失格でございます。メリーに脅されていたとは言え、キャロライン様に酷い事をしてしまいました。どうか厳罰をお願い致します。私だけではございません、他にもメリーに従っていた者がおります」
「何時からだ…何時から、この様な事になった。別室で、静かに暮らしたいと、キャロラインは言っていた筈なのに…何故昏睡状態に陥っている、何故だ。何故キャロラインが、この様に衰弱しきっている!侍女たちは、何をしていたのだ」
「申し訳ありません、ハロルド様。彼女は嫁いで来たその日から使用人部屋で、下女として働かされていたのです。そして、メリーから酷い暴力を受けておりました」
「嘘ですわ。いい加減な事を言わないで頂戴、私がそんな酷い事をする筈がありません」
「披露宴の後からだと言うのか?彼女が侯爵邸に来たその日から…」
私は膝から崩れ落ちて、その場から一歩も動けなくなった。
「私も、これは小侯爵様の指示だと、メリーから聞いておりました。今は医者として、キャロライン様をお助けする為に、最善を尽くしたいと思います。それが、今の私に出来る、最大の償いにございますから…」
医者の言葉を聞いて、メリーは何処まで侯爵邸の使用人を掌握していたのだろうと戦慄した。
私は、まだ現実を受け止める事が出来ずにいる。
メリーは、必死に真実を隠そうとしている様だが、何を言っているのかすら理解出来なかったのだ。
「メリー。キャロラインは、何故下女として働らかされていたのだ。彼女は、私の妻なのだぞ。貴族令嬢として育てられて来た女性が、そんな労働に耐えられる筈がないだろう」
「それは…私も止めたのですわ。ですが、聞き入れて頂けなくて…」
「嘘の上塗りは止めてくれ。何故キャロラインに、暴力を振るった!一体何時から、私を騙していたのだ。キャロラインからの手紙は、君が彼女を脅して書かせていたのか!」
「そんな事、私はしておりません。信じて下さい、ハロルド様。私は、何も知らなかったのです。そうです、全てメイド長が勝手にやった事。私は関係ないのです」
「メイド長だと?」
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