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異形の村
Welcome to the village
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どこまでも続くような暗い通路の先に光が見えてきた。アスターは嬉しくなって、ソーニャの方へ振り返った。
「ねぇ、何か見えるよ。何があるんだと思う?」
「好奇心がとち狂ってる奴を殺すための罠に一票」
ソーニャが肩をすくめた。アスターは顔をしかめた。
「つれないな、もっと夢のある想像をしようよ」
「ユニコーンや虹やら何やら登場させりゃいいのか?」
ソーニャがうんざりしたように言う。アスターは首を振った。
「それだと子供向けの安っちいファンタジーじゃないか。もっと、何かこう、いいのにしてよ」
「あんた、まだ子供だろ」
そんな会話を交わしていると、出口に近づいてきた。アスターは走って通路を抜けた。一瞬、シャボン玉に触ったような感覚を覚えたが、それはすぐに消えた。それよりも、アスターは目の前の景色に気を取られていた。
「こりゃ何だ?村なのか?」
ソーニャが不思議そうに言った。
「そうかも?」
アスターは迷いながら賛同した。
眼前に広がっている小さな家々や果樹園、畑や草地は、確かにここが村だということを示している。しかし、わからないのは、なぜこんなところに村があるのかということだ。
「わたしもこんなところがあるなんて知らなかった。〈ハウス〉のマイナス階層にも住人がいたんだね。そうだ、ここが何なのか住人たちに聞いてみようよ」
駆け出そうとしたアスターの腕を、ソーニャが引っ張った。思わず転びそうになってしまう。全く、華奢なくせに力は強い。
「何だよ?文句でもあるの?」
「そうだよ。ここにいる奴らが友好的かなんてわからないだろ?言葉が通じるかも…」
そう言いかけて、ソーニャは眉をひそめた。
「待てよ、何でオレとあんたは言語が通じてるんだ?あんたら、千年間以上引きこもってたんだろ?千年くらい経てば、言葉も変わっちまうんじゃないのか」
「君は細かいことを気にするねぇ。とりあえず話しかけて、攻撃してきたら逃げればいいだろ。単純明快」
アスターは立ち止まって考え始めたソーニャをすっと避けて、急勾配の坂道を下っていった。後ろから不満そうな顔をしたソーニャがついてくる。
「何かあっても自己責任な」
「はいはい、ソーニャ様。あ、人だ」
こっちにやってくる人影を見つけて、アスターはにっこりした。ここがどんなところなのか、わかるかもしれない。アスターは少し走りながら人影のところへと向かった。後ろからぴったりとついてくるソーニャの気配がする。
「アスター、あれ、人じゃないぞ」
警戒したようなソーニャの声がした。
「え?」
アスターはその言葉に衝撃を受けて振り返った。よく見てみろとでも言いたげに、ソーニャが顎を前方にしゃくった。確かに丁寧に観察してみると、遠目でも違和感をたっぷりと感じる。何と言っても、胴体の割に頭が大きすぎるのだ。
「良かったな、あんたのお望みのファンタジーだぞ」
「何であんな姿してるんだろ。こすぷれかな」
「何だ、それ?」
「昔流行ってた、仮装って文化らしいよ。燃やすんだって」
ソーニャが意味がわからないというように首を傾げた。
「火葬?死体をか?」
「うーん、情熱だった気がする」
しっかりと体が見えるところまで、人影が近づいてきた。その姿を見て脳裏によぎった物は、時計だった。そう、懐中時計のような頭をしているのだ。それを除けば、紳士的な風貌をしている、普通の男性だった。こすぷれではなさそうだ。
「こんにちは」
アスターは声をかけてみた。聞き取れそうで聞き取れない音が返ってくる。困って、アスターはソーニャの顔を見た。ソーニャは黙って時計の頭をした男性の方に首を動かした。見ると奇妙な形をした、イヤホンのような物を二つ差し出してくれている。
「ありがとうございます」
アスターは受け取って、ソーニャに手渡した。着け方がわからなかったが、勘で装着してみる。
「これで、言葉が通じるはずです」
おぉ、すごい。アスターは反射的に男を見た。
「どういう仕組みなんですか?」
「長い時間をかければ誰でもできますよ。それより、あなたたちは何者ですか?」
早速門番のような問が飛んできて、アスターは思わず背筋を伸ばした。
「わたしは、アスターと言います。〈ハウス〉の〈管理人〉見習いです。それで、こっちがソーニャ?です。説明したいところですが、よく知りません」
「不審者扱いじゃないか」
さりげなく装置を装着しているソーニャが小声で文句を言った。
「あながち間違ってはないだろ、誘拐犯」
アスターも小声で混ぜっ返した。考え込んだ様子を見せながら、男がたずねてきた。
「そうですか。なぜここに?」
「えっと、いろいろあって。でも、ここのことは初めて知りました」
アスターは正直に答えた。
「なるほど。それなら、疑問もたくさんあることでしょうね」
男がうなずいた。
「それでは、この村を案内しましょう。ようこそ、異形の村へ」
「ねぇ、何か見えるよ。何があるんだと思う?」
「好奇心がとち狂ってる奴を殺すための罠に一票」
ソーニャが肩をすくめた。アスターは顔をしかめた。
「つれないな、もっと夢のある想像をしようよ」
「ユニコーンや虹やら何やら登場させりゃいいのか?」
ソーニャがうんざりしたように言う。アスターは首を振った。
「それだと子供向けの安っちいファンタジーじゃないか。もっと、何かこう、いいのにしてよ」
「あんた、まだ子供だろ」
そんな会話を交わしていると、出口に近づいてきた。アスターは走って通路を抜けた。一瞬、シャボン玉に触ったような感覚を覚えたが、それはすぐに消えた。それよりも、アスターは目の前の景色に気を取られていた。
「こりゃ何だ?村なのか?」
ソーニャが不思議そうに言った。
「そうかも?」
アスターは迷いながら賛同した。
眼前に広がっている小さな家々や果樹園、畑や草地は、確かにここが村だということを示している。しかし、わからないのは、なぜこんなところに村があるのかということだ。
「わたしもこんなところがあるなんて知らなかった。〈ハウス〉のマイナス階層にも住人がいたんだね。そうだ、ここが何なのか住人たちに聞いてみようよ」
駆け出そうとしたアスターの腕を、ソーニャが引っ張った。思わず転びそうになってしまう。全く、華奢なくせに力は強い。
「何だよ?文句でもあるの?」
「そうだよ。ここにいる奴らが友好的かなんてわからないだろ?言葉が通じるかも…」
そう言いかけて、ソーニャは眉をひそめた。
「待てよ、何でオレとあんたは言語が通じてるんだ?あんたら、千年間以上引きこもってたんだろ?千年くらい経てば、言葉も変わっちまうんじゃないのか」
「君は細かいことを気にするねぇ。とりあえず話しかけて、攻撃してきたら逃げればいいだろ。単純明快」
アスターは立ち止まって考え始めたソーニャをすっと避けて、急勾配の坂道を下っていった。後ろから不満そうな顔をしたソーニャがついてくる。
「何かあっても自己責任な」
「はいはい、ソーニャ様。あ、人だ」
こっちにやってくる人影を見つけて、アスターはにっこりした。ここがどんなところなのか、わかるかもしれない。アスターは少し走りながら人影のところへと向かった。後ろからぴったりとついてくるソーニャの気配がする。
「アスター、あれ、人じゃないぞ」
警戒したようなソーニャの声がした。
「え?」
アスターはその言葉に衝撃を受けて振り返った。よく見てみろとでも言いたげに、ソーニャが顎を前方にしゃくった。確かに丁寧に観察してみると、遠目でも違和感をたっぷりと感じる。何と言っても、胴体の割に頭が大きすぎるのだ。
「良かったな、あんたのお望みのファンタジーだぞ」
「何であんな姿してるんだろ。こすぷれかな」
「何だ、それ?」
「昔流行ってた、仮装って文化らしいよ。燃やすんだって」
ソーニャが意味がわからないというように首を傾げた。
「火葬?死体をか?」
「うーん、情熱だった気がする」
しっかりと体が見えるところまで、人影が近づいてきた。その姿を見て脳裏によぎった物は、時計だった。そう、懐中時計のような頭をしているのだ。それを除けば、紳士的な風貌をしている、普通の男性だった。こすぷれではなさそうだ。
「こんにちは」
アスターは声をかけてみた。聞き取れそうで聞き取れない音が返ってくる。困って、アスターはソーニャの顔を見た。ソーニャは黙って時計の頭をした男性の方に首を動かした。見ると奇妙な形をした、イヤホンのような物を二つ差し出してくれている。
「ありがとうございます」
アスターは受け取って、ソーニャに手渡した。着け方がわからなかったが、勘で装着してみる。
「これで、言葉が通じるはずです」
おぉ、すごい。アスターは反射的に男を見た。
「どういう仕組みなんですか?」
「長い時間をかければ誰でもできますよ。それより、あなたたちは何者ですか?」
早速門番のような問が飛んできて、アスターは思わず背筋を伸ばした。
「わたしは、アスターと言います。〈ハウス〉の〈管理人〉見習いです。それで、こっちがソーニャ?です。説明したいところですが、よく知りません」
「不審者扱いじゃないか」
さりげなく装置を装着しているソーニャが小声で文句を言った。
「あながち間違ってはないだろ、誘拐犯」
アスターも小声で混ぜっ返した。考え込んだ様子を見せながら、男がたずねてきた。
「そうですか。なぜここに?」
「えっと、いろいろあって。でも、ここのことは初めて知りました」
アスターは正直に答えた。
「なるほど。それなら、疑問もたくさんあることでしょうね」
男がうなずいた。
「それでは、この村を案内しましょう。ようこそ、異形の村へ」
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