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第六章 研究施設
85.小さな小さなそれは
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「あ、リック」
部屋から出ると、リレイヌと出会した。リックは思わず横の扉を気にしながら、彼女へと近づいて行く。
「やあ、リレイヌ。どうかしたかい?」
「うん。アジェラが今走ってったけど声掛けても反応なくて……なにかあったのかと思って……」
「あ、ああ……まあ、走りたい気分だったんじゃないかな?」
我ながら苦しい言い訳だと思いつつも、リレイヌは疑いの目を向けることなく「そっかぁ」と頷いている。
この子純粋すぎて不安だな……、とリックは思った。
「そ、それよりリレイヌ。アイツは一緒じゃなかったのか?」
「アイツ?」
「あー……むつき……」
凄まじく、その名を呼ぶのすら最悪だと言いたげに告げたリックに、リレイヌは不思議そうに目を瞬くと「知らない」と一言。「なにか用事だった?」と訊ねるリレイヌに、リックはゆるく首を横に振る。
「いや、用事とかではないから、気にしないでくれ」
寧ろあんな奴に用などあってたまるかと内心吐き捨て、リックは笑みを浮かべてリレイヌを見る。
「ところでリレイヌ。リジマ……先生と最近話したりした?」
「え?うん……なんか難しいこと言ってた気がするけど……」
「けど?」
「……忘れちゃった」
ごめん!、と手を合わせて謝る彼女に咄嗟に「謝らないで大丈夫だから!」と告げ、リックはそこで息を吐く。
彼女の言う難しい話。想像は出来ないものの、恐らくは今しがた見た資料のことでは無いと思う。いや、そもそもあの資料のことはきっと内密な内容に違いない。だとしたら、特にリレイヌにはその内容を聞かせることはないだろう。きっと。多分。
考えたリックは顔を上げ、「リレイヌ、少し散歩しないかい?」と彼女に問うた。彼女はそれに、「別にいいけど……」とチラリとどこかへ目を向ける。
「? どうかしたかい?」
不思議そうなリックに、彼女は少しの間を置き「なんでもない」を返した。
「それにしても、リックが散歩って珍しいね。大抵図書室で本読んでるのに」
「知識を得ることは大事だからね。特に、今の僕たちには必要不可欠になってくるはずだ」
「? どゆこと?」
「……君は、知らなくてもいいことだよ」
ふぅん?、と頷いたリレイヌの視線がゆるりと動く。それを自然と追いかけるようにリックも彼女の見る方向に目を向けた。
「……なにかいる?」
「エッ!? ええっと……」
リレイヌは狼狽えたように視線を彷徨わせてから、小さくこくりと頷いた。「何かというか……」と凄く困ったような様子の彼女は、少し悩んでからこう告げる。
「アレは多分──影だと思う」
「影?」
「うん……」
頷くリレイヌがじっと前方を見やる。その視線の先、蠢く何かが、素早くその身を隠していた。
部屋から出ると、リレイヌと出会した。リックは思わず横の扉を気にしながら、彼女へと近づいて行く。
「やあ、リレイヌ。どうかしたかい?」
「うん。アジェラが今走ってったけど声掛けても反応なくて……なにかあったのかと思って……」
「あ、ああ……まあ、走りたい気分だったんじゃないかな?」
我ながら苦しい言い訳だと思いつつも、リレイヌは疑いの目を向けることなく「そっかぁ」と頷いている。
この子純粋すぎて不安だな……、とリックは思った。
「そ、それよりリレイヌ。アイツは一緒じゃなかったのか?」
「アイツ?」
「あー……むつき……」
凄まじく、その名を呼ぶのすら最悪だと言いたげに告げたリックに、リレイヌは不思議そうに目を瞬くと「知らない」と一言。「なにか用事だった?」と訊ねるリレイヌに、リックはゆるく首を横に振る。
「いや、用事とかではないから、気にしないでくれ」
寧ろあんな奴に用などあってたまるかと内心吐き捨て、リックは笑みを浮かべてリレイヌを見る。
「ところでリレイヌ。リジマ……先生と最近話したりした?」
「え?うん……なんか難しいこと言ってた気がするけど……」
「けど?」
「……忘れちゃった」
ごめん!、と手を合わせて謝る彼女に咄嗟に「謝らないで大丈夫だから!」と告げ、リックはそこで息を吐く。
彼女の言う難しい話。想像は出来ないものの、恐らくは今しがた見た資料のことでは無いと思う。いや、そもそもあの資料のことはきっと内密な内容に違いない。だとしたら、特にリレイヌにはその内容を聞かせることはないだろう。きっと。多分。
考えたリックは顔を上げ、「リレイヌ、少し散歩しないかい?」と彼女に問うた。彼女はそれに、「別にいいけど……」とチラリとどこかへ目を向ける。
「? どうかしたかい?」
不思議そうなリックに、彼女は少しの間を置き「なんでもない」を返した。
「それにしても、リックが散歩って珍しいね。大抵図書室で本読んでるのに」
「知識を得ることは大事だからね。特に、今の僕たちには必要不可欠になってくるはずだ」
「? どゆこと?」
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ふぅん?、と頷いたリレイヌの視線がゆるりと動く。それを自然と追いかけるようにリックも彼女の見る方向に目を向けた。
「……なにかいる?」
「エッ!? ええっと……」
リレイヌは狼狽えたように視線を彷徨わせてから、小さくこくりと頷いた。「何かというか……」と凄く困ったような様子の彼女は、少し悩んでからこう告げる。
「アレは多分──影だと思う」
「影?」
「うん……」
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