弱者が悪を目指した黙示録

ヤヤ

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第一章 弱者の周りに集うは強者

00.プロローグ

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「ねえ、ジル。終わりにしましょう」

 桃色の髪を揺らしながら、彼女は言った。
 同じ色の瞳を細め、柔らかく微笑むその姿を見て、
 ジルもまた、静かに笑った。

 ここには二人しかいない。

 互いの瞳に映るのも、互いだけ。

 遠くでは仲間たちが見守っている。
 泣きそうな顔で。
 苦しそうな顔で。
 寂しそうな顔で──。

「いろんなことがあったね」

 彼女はそっと手を伸ばす。

「ずっと二人で手を繋いでいられたら……どんなに幸せだっただろう」

 優しい風が吹き、二人の髪を揺らす。衣服を揺らす。
 まるで踊っているようだった。
 ただひたすらに、美しく。

「ごめんね、今まで」

「俺も、ごめん」

 彼女は少しだけ寂しそうに笑う。

「これで──三回目ね」

 ジルは少しだけ目を細めた。

「ああ」

「楽しかった?」

「最高だった」

「幸せは受け取れた?」

「いろんな奴のお陰でな」

 彼女の手が、そっとジルの頬に触れる。

 ジルはその手に自分の手を重ねた。

 そして、静かに下ろすと
 少しだけ俯き、柔らかく笑う。

「──大好きだったよ」

 いつも。
 いつでも。
 いつまでも。

 君がいたから、今の俺がいる。

「俺の大好きなミーリャ。俺の大っ嫌いな正義」

「私の大好きなジル。私の大嫌いな悪役」

 さよならの声と共に、二人は目を閉じた。

 その瞬間──

 風を切る鋭い音。

 そして。

「ジル様!!」

 仲間の泣きそうな声が、世界に響いた。

 その声を最後に――

 ジル・デラニアスは、この世界での三度目の生に蓋をした。
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