下剋上御曹司の純愛~再会した契約妻への積年の愛と執着が重すぎる~

織山ひなた

文字の大きさ
41 / 49
ep.Last 伊吹くん、もう二度と離れないから

3.

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
週末、伊吹と榛名の新居に鞠花と東城が揃って遊びにやって来た。

「まあ、素敵なお家ですわ」
「自分は完成した時の落成式で内覧させてもらいましたけど、やっぱり広いですねぇ」

アネックスの落成式で、この10階は限られた者たちにしかお披露目されていない。東城はその内の1人だ。

東城家は古くから若宮家と縁のある家だが、それを抜きにしても、東城は伊吹から信頼を寄せられている。

「自分は同年代より、少し年上の人の方が話しやすいんだ。東城さんは年上の友人兼兄貴代わりって感じかな」

以前、伊吹はそんな風に話してくれた。


「鞠花師範、東城さんいらっしゃい。わざわざお土産までありがとうございます」

「こちらこそ、お招き頂きまして感謝申し上げますわ。お土産選びは楽しかったですわ」

宝生寺家にはデパートの外商も訪れるし、わざわざ自分で買いに行かずとも家の者が買いに行く。
だが、鞠花は大人気店のケーキを東城と一緒に買いに行ってくれたのだ。

伊吹がケータリングしてくれたホテルレストランの料理を囲みながら、4人でワイワイと昼食と会話を楽しんでいた。
ちなみに運転する東城に合わせて、全員がノンアルコールである。

「洋菓子店の近くにございますビルの電光掲示板で見ましたが、東城は本日の星座占い1位でしたわ」
鞠花がふいにそんな話題を持ち出した。

「あぁ、そん時にも言われましたが、1位なんてアテにしてませんよ。いつだって器用貧乏で、ガキの頃から損ばかりしてますからね」
東城が遠い目をして答えた。

「そう言えば、東城さんは何座なんですか?」
何の気なしに榛名が尋ねる。

「天秤座のB型です」

「わたくしは水瓶座のA型ですわ。アクエリアスですわね」

「あっ、じゃあ、今この場に血液型4タイプ集合してますね!」

榛名は牡羊座のO型、伊吹はさそり座のAB型である。

「あら、はるちゃんさんはO型ですのね。大らかなところがそういう感じですわ」
鞠花がにっこりと微笑んで榛名を見つめる。

すると、東城が鞠花に向けて口を開いた。

「おい、鞠花。前から言おうと思っていたが、『はるちゃん』は伊吹さんが呼ぶ特別なニックネームなんだ。お前はもっと遠慮しろ。今後は『榛名さん』と呼べ」


東城から指摘を受けた鞠花はサァーッと青ざめた表情になった。

「まあ、わたくしとしたことが……大変申し訳ありませんでしたわ。はるちゃんさんの……いえ、榛名さんのお名前を存じ上げる前に、そちらの呼び名を知ってしまったものですから……。今後気をつけますわ」

恐縮して頭を下げる鞠花に、こちらの方が慌てた。

「いえ、頭をお上げ下さい、鞠花師範! そしてこれからも『はるちゃん』と呼んでください。そうでないと、何だか物足りないというか、寂しい気がして……」

「すごいわかる……。鞠花師範、これからも、はるちゃんのことを『はるちゃん』と呼んであげて下さい。俺からもお願いします」

慌てて鞠花をフォローする榛名に、伊吹も援護をした。

「まあ、よろしいですの? ですが、お2人がそうおっしゃって下さるのでしたら……」
「ぜひぜひ、これからもよろしくお願いします」

「はぁ、気遣ったつもりが……さっそく器用貧乏を発揮してますな」
ため息を吐いてボヤく東城だが、そんな姿もなんだかさまになっているのがすごい。



「ベランダからの景色を眺めたいですわ」
鞠花の要望に応え、伊吹がベランダに案内した。

「なんて素敵な眺望なのでしょう」
涼しい風の中、10階から眺める銀座の風景に、鞠花がうっとりと目を細める。

横で伊吹は、「子供が出来たら、落下防止のための柵をさらに付けるのと、ネットも張った方が良いか。他にも安全策を……」と、別の意味でベランダを点検していた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する

猫とろ
恋愛
あらすじ 青樹紗凪(あおきさな)二十五歳。大手美容院『akai』クリニックの秘書という仕事にやりがいを感じていたが、赤井社長から大人の関係を求められて紗凪は断る。 しかしあらぬ噂を立てられ『akai』を退社。 次の仕事を探すものの、うまく行かず悩む日々。 そんなとき。知り合いのお爺さんから秘書の仕事を紹介され、二つ返事で飛びつく紗凪。 その仕事場なんと大手老舗化粧品会社『キセイ堂』 しかもかつて紗凪の同級生で、罰ゲームで告白してきた黄瀬薫(きせかおる)がいた。 しかも黄瀬薫は若き社長になっており、その黄瀬社長の秘書に紗凪は再就職することになった。 お互いの過去は触れず、ビジネスライクに勤める紗凪だが、黄瀬社長は紗凪を忘れてないようで!?  社長×秘書×お仕事も頑張る✨ 溺愛じれじれ物語りです!

恋は秘密のその先に

葉月 まい
恋愛
秘書課の皆が逃げ出すほど冷血な副社長 仕方なく穴埋めを命じられ 副社長の秘書につくことになった 入社3年目の人事部のOL やがて互いの秘密を知り ますます相手と距離を置く 果たして秘密の真相は? 互いのピンチを救えるのか? そして行き着く二人の関係は…?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。 だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。 あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは…… 幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!? これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。 ※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。 「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。

御曹司はただの同期のはずだったのに

日下奈緒
恋愛
営業成績トップを争う同期、桐谷玲奈と東條理人。 御曹司でありながら完璧に仕事をこなす理人に、玲奈は一度も勝てずにいた。 互いに意識しながらも、あくまで“ただの同期”として距離を保ってきた二人。 だがある夜、仕事帰りに偶然重なった時間が、その関係を変えてしまう。 「このまま帰す気ないんだけど」 冷静で感情を見せないはずの理人の一言に、玲奈の理性は揺らぎ始める。 触れた瞬間、崩れたのは距離だけではなかった――。 一夜の過ちで終わるはずだった。 なのに、あの夜から、彼の視線も、言葉も、すべてが変わっていく。 ただの同期のはずだったのに。 その関係は、もう戻れない。