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ep.Last 伊吹くん、もう二度と離れないから
3.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
週末、伊吹と榛名の新居に鞠花と東城が揃って遊びにやって来た。
「まあ、素敵なお家ですわ」
「自分は完成した時の落成式で内覧させてもらいましたけど、やっぱり広いですねぇ」
アネックスの落成式で、この10階は限られた者たちにしかお披露目されていない。東城はその内の1人だ。
東城家は古くから若宮家と縁のある家だが、それを抜きにしても、東城は伊吹から信頼を寄せられている。
「自分は同年代より、少し年上の人の方が話しやすいんだ。東城さんは年上の友人兼兄貴代わりって感じかな」
以前、伊吹はそんな風に話してくれた。
「鞠花師範、東城さんいらっしゃい。わざわざお土産までありがとうございます」
「こちらこそ、お招き頂きまして感謝申し上げますわ。お土産選びは楽しかったですわ」
宝生寺家にはデパートの外商も訪れるし、わざわざ自分で買いに行かずとも家の者が買いに行く。
だが、鞠花は大人気店のケーキを東城と一緒に買いに行ってくれたのだ。
伊吹がケータリングしてくれたホテルレストランの料理を囲みながら、4人でワイワイと昼食と会話を楽しんでいた。
ちなみに運転する東城に合わせて、全員がノンアルコールである。
「洋菓子店の近くにございますビルの電光掲示板で見ましたが、東城は本日の星座占い1位でしたわ」
鞠花がふいにそんな話題を持ち出した。
「あぁ、そん時にも言われましたが、1位なんてアテにしてませんよ。いつだって器用貧乏で、ガキの頃から損ばかりしてますからね」
東城が遠い目をして答えた。
「そう言えば、東城さんは何座なんですか?」
何の気なしに榛名が尋ねる。
「天秤座のB型です」
「わたくしは水瓶座のA型ですわ。アクエリアスですわね」
「あっ、じゃあ、今この場に血液型4タイプ集合してますね!」
榛名は牡羊座のO型、伊吹はさそり座のAB型である。
「あら、はるちゃんさんはO型ですのね。大らかなところがそういう感じですわ」
鞠花がにっこりと微笑んで榛名を見つめる。
すると、東城が鞠花に向けて口を開いた。
「おい、鞠花。前から言おうと思っていたが、『はるちゃん』は伊吹さんが呼ぶ特別なニックネームなんだ。お前はもっと遠慮しろ。今後は『榛名さん』と呼べ」
東城から指摘を受けた鞠花はサァーッと青ざめた表情になった。
「まあ、わたくしとしたことが……大変申し訳ありませんでしたわ。はるちゃんさんの……いえ、榛名さんのお名前を存じ上げる前に、そちらの呼び名を知ってしまったものですから……。今後気をつけますわ」
恐縮して頭を下げる鞠花に、こちらの方が慌てた。
「いえ、頭をお上げ下さい、鞠花師範! そしてこれからも『はるちゃん』と呼んでください。そうでないと、何だか物足りないというか、寂しい気がして……」
「すごいわかる……。鞠花師範、これからも、はるちゃんのことを『はるちゃん』と呼んであげて下さい。俺からもお願いします」
慌てて鞠花をフォローする榛名に、伊吹も援護をした。
「まあ、よろしいですの? ですが、お2人がそうおっしゃって下さるのでしたら……」
「ぜひぜひ、これからもよろしくお願いします」
「はぁ、気遣ったつもりが……さっそく器用貧乏を発揮してますな」
ため息を吐いてボヤく東城だが、そんな姿もなんだか様になっているのがすごい。
◇
「ベランダからの景色を眺めたいですわ」
鞠花の要望に応え、伊吹がベランダに案内した。
「なんて素敵な眺望なのでしょう」
涼しい風の中、10階から眺める銀座の風景に、鞠花がうっとりと目を細める。
横で伊吹は、「子供が出来たら、落下防止のための柵をさらに付けるのと、ネットも張った方が良いか。他にも安全策を……」と、別の意味でベランダを点検していた。
週末、伊吹と榛名の新居に鞠花と東城が揃って遊びにやって来た。
「まあ、素敵なお家ですわ」
「自分は完成した時の落成式で内覧させてもらいましたけど、やっぱり広いですねぇ」
アネックスの落成式で、この10階は限られた者たちにしかお披露目されていない。東城はその内の1人だ。
東城家は古くから若宮家と縁のある家だが、それを抜きにしても、東城は伊吹から信頼を寄せられている。
「自分は同年代より、少し年上の人の方が話しやすいんだ。東城さんは年上の友人兼兄貴代わりって感じかな」
以前、伊吹はそんな風に話してくれた。
「鞠花師範、東城さんいらっしゃい。わざわざお土産までありがとうございます」
「こちらこそ、お招き頂きまして感謝申し上げますわ。お土産選びは楽しかったですわ」
宝生寺家にはデパートの外商も訪れるし、わざわざ自分で買いに行かずとも家の者が買いに行く。
だが、鞠花は大人気店のケーキを東城と一緒に買いに行ってくれたのだ。
伊吹がケータリングしてくれたホテルレストランの料理を囲みながら、4人でワイワイと昼食と会話を楽しんでいた。
ちなみに運転する東城に合わせて、全員がノンアルコールである。
「洋菓子店の近くにございますビルの電光掲示板で見ましたが、東城は本日の星座占い1位でしたわ」
鞠花がふいにそんな話題を持ち出した。
「あぁ、そん時にも言われましたが、1位なんてアテにしてませんよ。いつだって器用貧乏で、ガキの頃から損ばかりしてますからね」
東城が遠い目をして答えた。
「そう言えば、東城さんは何座なんですか?」
何の気なしに榛名が尋ねる。
「天秤座のB型です」
「わたくしは水瓶座のA型ですわ。アクエリアスですわね」
「あっ、じゃあ、今この場に血液型4タイプ集合してますね!」
榛名は牡羊座のO型、伊吹はさそり座のAB型である。
「あら、はるちゃんさんはO型ですのね。大らかなところがそういう感じですわ」
鞠花がにっこりと微笑んで榛名を見つめる。
すると、東城が鞠花に向けて口を開いた。
「おい、鞠花。前から言おうと思っていたが、『はるちゃん』は伊吹さんが呼ぶ特別なニックネームなんだ。お前はもっと遠慮しろ。今後は『榛名さん』と呼べ」
東城から指摘を受けた鞠花はサァーッと青ざめた表情になった。
「まあ、わたくしとしたことが……大変申し訳ありませんでしたわ。はるちゃんさんの……いえ、榛名さんのお名前を存じ上げる前に、そちらの呼び名を知ってしまったものですから……。今後気をつけますわ」
恐縮して頭を下げる鞠花に、こちらの方が慌てた。
「いえ、頭をお上げ下さい、鞠花師範! そしてこれからも『はるちゃん』と呼んでください。そうでないと、何だか物足りないというか、寂しい気がして……」
「すごいわかる……。鞠花師範、これからも、はるちゃんのことを『はるちゃん』と呼んであげて下さい。俺からもお願いします」
慌てて鞠花をフォローする榛名に、伊吹も援護をした。
「まあ、よろしいですの? ですが、お2人がそうおっしゃって下さるのでしたら……」
「ぜひぜひ、これからもよろしくお願いします」
「はぁ、気遣ったつもりが……さっそく器用貧乏を発揮してますな」
ため息を吐いてボヤく東城だが、そんな姿もなんだか様になっているのがすごい。
◇
「ベランダからの景色を眺めたいですわ」
鞠花の要望に応え、伊吹がベランダに案内した。
「なんて素敵な眺望なのでしょう」
涼しい風の中、10階から眺める銀座の風景に、鞠花がうっとりと目を細める。
横で伊吹は、「子供が出来たら、落下防止のための柵をさらに付けるのと、ネットも張った方が良いか。他にも安全策を……」と、別の意味でベランダを点検していた。
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