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ep.Last 伊吹くん、もう二度と離れないから
6.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それから4月、5月は旅行業界もホテル業界も繁忙期。
日々が慌ただしく過ぎて行った。
6月はジューンブライド、ホテルは結婚式も執り行っている。
「伊吹くんは社長に就任したばかりだし、結婚式はしなくても良いわ。近いうちにドレス姿の写真だけ撮れれば良いから」
なんなら結婚式の費用は日常生活に使いたいとすら榛名は思っていた。しかし、伊吹の方は違ったようだ。
「はるちゃんと結婚式を必ず挙げる」
社長就任のお披露目にもなると周囲から助言もあったようだが、周りに言われたからと言って簡単に意見を変えるような伊吹ではない。
つまり、伊吹は本当に榛名との結婚式を挙げたいと思ってくれているのだ。
そのため、結婚式は9月にホテルロイヤルヴィリジアンで行なう予定になっている。
◇
アネックスビル10階の広い新居。その寝室にあるダブルベッドで就寝の準備をしていた。
とは言え、時刻はすでに0時を過ぎ、日付を超えていた。
伊吹から「今日は遅くなるから、先に寝ていてくれ」と連絡が入るのだが……
(「今日は」じゃないんだわ。「今日も」の間違いでしょ!)
榛名が仕事を終える頃を見計らって、毎日同じ文面のメッセージが届く。
しかし、そんなツッコミはどうでもいいし、構って欲しいから早く帰ってこいと言っているのではない。心配なのだ。
社長に就任してからというもの、伊吹は連日連夜、毎日のように深夜まで仕事をしている。
場合によっては、帰宅してからも仕事していた。
その上で、休日は榛名に家族サービスしようとするのだ。
さすがに慢性的な疲労と睡眠不足が心配で、
「どこにも行かなくていいし、何もしなくていいから、睡眠を取って!」
そう言って休ませようと、半ば強制的にベッドに寝かしつけていた。
そして今夜も先に横になっていたものの、伊吹が帰宅した頃に起き出して、早めの入浴と就寝を促した。
諦めて大人しくベッドに横になったと思ったら、
「今週末はどこか近場にデートに行こう。場所は考えておくから」
そんなことを言ってきたのだ。その気持ちは嬉しいけれど、伊吹が自分自身を労わらないのは嬉しくない。
「伊吹くん、気持ちは嬉しいけど、今はちゃんと休んで欲しい。ちょっと働きすぎだよ。任せられるところは人に任せて、少しでも多く休息しないと……」
「しかし……ここ最近、はるちゃんをどこにも連れて行けていない。せっかく結婚したのに、まともなデートもできないんじゃ、君に嫌われ……」
「嫌ったりしないわよ! 大好きだから休んで欲しいの。デートなんてしなくていい。そんなことより、伊吹くんの健康の方が大事!」
力強く言葉を被せた。伊吹は仕事に関しては絶対譲らないのに、榛名に嫌われることは恐れている。
「はるちゃん……」
すると、ふいに今度は甘い吐息でのしかかってこようとする。
「だめ! 体力温存! 睡眠優先! とにかく今は早く寝なさーい!」
最近は時間的にすれ違いの日々でシていない。
たとえ甘く迫られても、少しでも長く睡眠時間を確保することを優先し、お互いにおあずけ状態になっていた。
(心配なのよ……無理して倒れてしまわないか……)
このまま伊吹がこんな状態を続けていたら……
(伊吹くんのご両親は、お父さんもお母さんも働きすぎで身体を壊している。これ以上無理させないためにはどうしたらいいの……?)
榛名の胸中では不安が渦巻いていた。だが、その不安が的中する日がやって来たのだ。
それから4月、5月は旅行業界もホテル業界も繁忙期。
日々が慌ただしく過ぎて行った。
6月はジューンブライド、ホテルは結婚式も執り行っている。
「伊吹くんは社長に就任したばかりだし、結婚式はしなくても良いわ。近いうちにドレス姿の写真だけ撮れれば良いから」
なんなら結婚式の費用は日常生活に使いたいとすら榛名は思っていた。しかし、伊吹の方は違ったようだ。
「はるちゃんと結婚式を必ず挙げる」
社長就任のお披露目にもなると周囲から助言もあったようだが、周りに言われたからと言って簡単に意見を変えるような伊吹ではない。
つまり、伊吹は本当に榛名との結婚式を挙げたいと思ってくれているのだ。
そのため、結婚式は9月にホテルロイヤルヴィリジアンで行なう予定になっている。
◇
アネックスビル10階の広い新居。その寝室にあるダブルベッドで就寝の準備をしていた。
とは言え、時刻はすでに0時を過ぎ、日付を超えていた。
伊吹から「今日は遅くなるから、先に寝ていてくれ」と連絡が入るのだが……
(「今日は」じゃないんだわ。「今日も」の間違いでしょ!)
榛名が仕事を終える頃を見計らって、毎日同じ文面のメッセージが届く。
しかし、そんなツッコミはどうでもいいし、構って欲しいから早く帰ってこいと言っているのではない。心配なのだ。
社長に就任してからというもの、伊吹は連日連夜、毎日のように深夜まで仕事をしている。
場合によっては、帰宅してからも仕事していた。
その上で、休日は榛名に家族サービスしようとするのだ。
さすがに慢性的な疲労と睡眠不足が心配で、
「どこにも行かなくていいし、何もしなくていいから、睡眠を取って!」
そう言って休ませようと、半ば強制的にベッドに寝かしつけていた。
そして今夜も先に横になっていたものの、伊吹が帰宅した頃に起き出して、早めの入浴と就寝を促した。
諦めて大人しくベッドに横になったと思ったら、
「今週末はどこか近場にデートに行こう。場所は考えておくから」
そんなことを言ってきたのだ。その気持ちは嬉しいけれど、伊吹が自分自身を労わらないのは嬉しくない。
「伊吹くん、気持ちは嬉しいけど、今はちゃんと休んで欲しい。ちょっと働きすぎだよ。任せられるところは人に任せて、少しでも多く休息しないと……」
「しかし……ここ最近、はるちゃんをどこにも連れて行けていない。せっかく結婚したのに、まともなデートもできないんじゃ、君に嫌われ……」
「嫌ったりしないわよ! 大好きだから休んで欲しいの。デートなんてしなくていい。そんなことより、伊吹くんの健康の方が大事!」
力強く言葉を被せた。伊吹は仕事に関しては絶対譲らないのに、榛名に嫌われることは恐れている。
「はるちゃん……」
すると、ふいに今度は甘い吐息でのしかかってこようとする。
「だめ! 体力温存! 睡眠優先! とにかく今は早く寝なさーい!」
最近は時間的にすれ違いの日々でシていない。
たとえ甘く迫られても、少しでも長く睡眠時間を確保することを優先し、お互いにおあずけ状態になっていた。
(心配なのよ……無理して倒れてしまわないか……)
このまま伊吹がこんな状態を続けていたら……
(伊吹くんのご両親は、お父さんもお母さんも働きすぎで身体を壊している。これ以上無理させないためにはどうしたらいいの……?)
榛名の胸中では不安が渦巻いていた。だが、その不安が的中する日がやって来たのだ。
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