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37.デパートを満喫しよう!(11)
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「俺もあんまり詳しくは覚えてないんだけど、大トロ中トロも部位が違ってて、確か大トロの方がお腹の前から真ん中くらいまでだったかな」
「中トロは?」
「そっちは主に背中だね。でも、大トロと部位が被ってるところがあって、お腹の方にも中トロがあるんだよ」
「なるほどー。お兄ちゃん、何でも知ってるね! ボク、尊敬しちゃうなぁ」
「いやぁ……それほどでも。ははは」
と、遠慮がちに笑う顔が若干引きつってしまった理由。それは、マグロの部位に関する知識が、つい先日仕入れたばかりのものだったからである。
要するに、俺自身分かったような口を聞いているが、その実態はにわかマグラーだという事。
そんなにわか知識を披露した俺を、うちのショタっ娘ちゃんはキラキラとした瞳で敬うように見つめてくるので、それが照れくさくもあり、同時に申し訳なくもなるのであった。
「イクラって、プチプチしてて面白ーい」
ミオがマグロの次に食べた初めての具材、魚卵のイクラについては、食味よりも、まず食感の方へ関心が行ったようだ。
イクラなんて俺ですらめったに食べないし、ましてや初体験ともなると、そりゃこういう感想にもなるか。
プチプチした食感が気に入ったのなら、おせち料理の定番である数の子も、この子はきっと喜んで食べてくれるだろう。そんな気がする。
来年のお正月に向けて、また楽しみが増えたな。
よし。ミオも初めての海鮮丼に満足している様子だし、まずはひと安心という事で、俺もそろそろ、味噌カツ定食をいただくとしますか。
味噌カツって、主に三重や愛知とかでポピュラーな料理で、こっちには縁遠いもんだから、つい物珍しさのあまりに頼んじゃったんだよなぁ。
もっとも、その決断は間違いではなかったみたいだけど。
じゅわっと溢れる脂が特徴的な黒豚と、その豚肉を包むサクサク感がクセになりそうな衣。これだけでも充分うまいと思うのだが、タレに用いている味噌と、まぶされた炒りゴマの香りがまた食欲をそそる。
一般的に、味噌カツのタレに混ぜる味噌には、味の他に色味などを考慮して、八丁味噌や赤味噌などを用いるのが一般的らしいが、変わりダネのレシピだと、白味噌を使って作る事もあるのだそうだ。
もっとも、白味噌ではタレの特徴である赤褐色を再現するのは難しいと思うんだけど、おいしくさえなってくれれば、俺は何味噌でも良いかな。
さて、四年ぶりとなる名物料理の味は果たして――。
「あら? 柚月くんじゃない?」
「……え?」
味噌ダレたっぷりのトンカツを一切れ食しようとしたその時。背後から、俺の名前を呼ぶ女性の声がした。
「中トロは?」
「そっちは主に背中だね。でも、大トロと部位が被ってるところがあって、お腹の方にも中トロがあるんだよ」
「なるほどー。お兄ちゃん、何でも知ってるね! ボク、尊敬しちゃうなぁ」
「いやぁ……それほどでも。ははは」
と、遠慮がちに笑う顔が若干引きつってしまった理由。それは、マグロの部位に関する知識が、つい先日仕入れたばかりのものだったからである。
要するに、俺自身分かったような口を聞いているが、その実態はにわかマグラーだという事。
そんなにわか知識を披露した俺を、うちのショタっ娘ちゃんはキラキラとした瞳で敬うように見つめてくるので、それが照れくさくもあり、同時に申し訳なくもなるのであった。
「イクラって、プチプチしてて面白ーい」
ミオがマグロの次に食べた初めての具材、魚卵のイクラについては、食味よりも、まず食感の方へ関心が行ったようだ。
イクラなんて俺ですらめったに食べないし、ましてや初体験ともなると、そりゃこういう感想にもなるか。
プチプチした食感が気に入ったのなら、おせち料理の定番である数の子も、この子はきっと喜んで食べてくれるだろう。そんな気がする。
来年のお正月に向けて、また楽しみが増えたな。
よし。ミオも初めての海鮮丼に満足している様子だし、まずはひと安心という事で、俺もそろそろ、味噌カツ定食をいただくとしますか。
味噌カツって、主に三重や愛知とかでポピュラーな料理で、こっちには縁遠いもんだから、つい物珍しさのあまりに頼んじゃったんだよなぁ。
もっとも、その決断は間違いではなかったみたいだけど。
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