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第二話 ベッドの上で、気持ちいいことシよ?(最後にセ○クスあり!)

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俺は口からよだれをこぼしながら、快感にしたづつみをうっている。
頭の中はミキサーでかき回されたかのよに、グチャグチャ。もう何も考えられない。
レイラはうつ伏せになる俺の上に跨っている。

「気持ちいいですか~?」
「気持ちいいれす……」

彼女は俺の首を親指でグリグリと押す。ツボが刺激され、凝り固まった肩が優しく解されていく。
脳内には、エンドルフィンがドバドバ、ジャバジャバとこぼれ落ちている。
彼女のマッサージテクニックは、天国級。まるで極楽に往生するほど気持ちがいい。
完全に彼女の手ワザで昇天させられた俺は、ノックアウト。

フルトリップしたまま、快楽の螺旋に揉まれていく。
潜在意識は、顕在意識を突き破って顔を出す。

「レイラだいふき……」
「ふふ……私も大好きよ?」

彼女は、背骨にそうように指を上から下に、動かす。
昂っていた自律神経が静まる。副交感神経が活性化し、気分がよくなる。

ストレスホルモンは沈み、エンドルフィンが全身を茹でて溶かす。

レイラは俺にとって快感発生装置だ。声も匂いも感触も全てが快感に変わる。
脳の中がとろけそうなほど気持ちがいい。

だんだんと睡魔が襲ってきた。リラックスの頂点に達すると、いつもこれがくる。
快感の大瀑布の最深部で、俺は夢の中に果てた。


二時間か、三時間ほど眠っていただろうか。目を覚ますと、目の前にレイラの顔があった。
「うわっ!」
俺は驚いて弾けるように起きた。

「ず、ずっと俺のこと見てたの?」
「うん……整った顔だな~って思って」
「そ、そっか。ありがと」

「ね? この世界に来るときに女神様に怒られた話して?」
「ええ……突然なんだよ……? 俺その話したくないんだけど……」
「してよ~~!」

「やだよ……」
「してってば!」
その後もしばらく彼女がしつこく聞いてくるため、渋々話した。


=====

あれは数ヶ月前のこと。
天国に着くと、そこには息を呑むほど美しい女神様がいた。その人は俺に向かって、
【も、もう一回言ってください……】
【だから、チート能力や特典はいらないのでイケメンの金持ち貴族に生まれ変わらせてください】
【…………】
女神様は絶句していた。

【あの? 聞こえなかったんですか? 聞こえなかったのならもう一度言い……】
【いえ! ちゃんと聞こえています。あなた、魔王退治はしないんですか? この世界に来る人は、大抵人々のために戦う決意をするものですよ?

強気をくじき弱気を助け、誰かのために汗と血を流すのです。それを踏まえてもう一度聞きます。あなたは魔王退治はしないんですか?】

俺は元気よく、
【しませんっ!】

【あの……あなた何をしに異世界にいくつもりですか?】
【イケメン貴族になって楽して、女の子とたくさんセ○クスします!】
【ええ……ちょ、ちょっと待ってください。あなたチート能力をもらえるんですよ? 大抵の人は喜んで勇者になって魔王退治に行くものですけど……】

【いえ! 魔王退治は結構です!  やりたくありません! そういうのは、いらないので女と金をください!】
女神様は小さい声で、
【誰よ、この変な人を転生させたおバカは……】

【あの何か言いましたか?】

【い、いえ。というか、魔王を倒せば、あなたの名前は永久に歴史に刻まれて、女の子もよりどりみどり、お金もたくさん入って、英雄にだってなれるんですよ?】

【はは。僕はもうそういうのには騙されませんよ。前の人生でそういうのに騙されてエライ目にあったので、もう凝りました。

魔王を倒して金持ちになるのがゴールなら、最初からそれを達成すればいいだけの話じゃないですか? そうですよね? 社会はやれ金持ちになれ、やれ勉強をしろだの言うけど、頑張りすぎて体を壊したら元も子もないですよね?】

【え? う、うん?】
【知ってますか? 家庭を捨てて、家族を捨てて、健康を捨てて、金持ちになった人が欲しいもの。金持ちになるために捨ててきたものを買い直したいらしいですよ?】

【そ、それは……】
女神様は、やばいやつを連れてきた……みたいな顔になっている。

【家庭も、金ももうすでにあるじゃないですか? 食べるものも、寝る場所もあるのに、くだらない名誉欲求のために次の人生まで捨てたくありません】
【で、でも……】
【彼女が一人いて、毎日エッチできたらもうそれで十分なんで。それで!】
【それでって。あなたねえ。こっちにも事情が……】

【僕を転生させたのはあなたですよね?】
【そうだとしても、転生させるのにだって色々ルールや制約が……】

【はいかいいえで答えてください。僕を転生させたのはあなたですよね?】
【は、はい】

【僕は転生させてくれって頼みました?】
【いいえ】

【そっちの都合で呼んでおいて、こっちの都合は無視して従えって言っているんですか? 僕とやっていること同じですよね?】
女神様はもう涙目になっていた。
【そうですけど、でもぉ……】

【死んだ人を勝手に別の世界に送ろうとするんだから、こういうリスクつまり僕みたいな変人が来ても対処する責任があると思いませんか? 仮にも女神様なのに、いいんですかねえ……それにね】


…………二時間後。


女神様は正座した俺に向かって、
【大体あなたねえ! 人がせっかく好意で助けてあげたのに、なんで敵意剥き出しで論破しに来るのよ?】

【はい。おっしゃる通りです……】
俺は下を俯いたまま、説教を食らっていた。さっきまであれだけ優勢だったのに、気づいたらものすごいダメ出しを食らってた。

【そもそも『神様。次の人生では本気出します』って言ったのはあ・な・たでしょう? それを不憫に思って拾ってあげたのよ?】
【はい。その通りです……】

【さっきからその通りです。その通りですってそればっかりじゃない! っていうかさっきまでの威勢はどうしたのよ? 自分が優位だと思った途端あれだけ捲し立てて論破しに来てたじゃない?】
【はい……】

【下界で流行っているユーチューバーっていうの? の動画でも見て影響されたんでしょ? それを見て、これカッケェと思ってやってみたの? そうなんでしょ?】
グゥの音も出ない……

そこに彼女の部下の女神見習い的な人がやってきた。綺麗な金髪ロング。おっぱいはでかい。
清楚系で、白いなんかギリシャらへん(?)の貴族が来てそうな布を着ている。
【先輩! もうその辺でいいんじゃないですか? この人涙目になってますよ? もう可哀想だし後がつかえているんでそろそろ……】

どうやら女神見習いさんは俺の味方をしてくれるみたいだ。よかったこんな俺にも優しくしてくれる人がいるんだ。

【いいえ! だめよ! こういうのにはしっかり言い聞かせないと!】
【先輩っ! この人も辛いことがいっぱいあったんですよ? もういいじゃないですか? ほらこの人も反省しているようですし……大体先輩は……】


…………三時間後。

先程の女神見習いさんは、俺に向かって、
【そもそもあなたが言い出したことなんでしょ! 何でそう急にああ言ったりこう言ったり! あなたは自分の意見ってものがないのっ?】

俺はめちゃくちゃ怒られていた。助け舟に入ったはずの女神見習いさんにも、愛想を尽かされ、ボロクソに罵倒されていた。
(あれぇ……なんでこうなった?)

先輩女神は、
【まあまあ……カーラ。そんなに怒らなくても、さっきから見てたけど、もうイジメみたいになっているわよ?】
あまりの俺の不憫さに、今度は先輩女神が俺に助け舟を出してくれたのだ。

もう恥ずかしいやら、情けないやらで穴があったら入りたい。
【あの……何でもいいんですけど、そろそろ転生させてください……】

【…………そうね。私たちもちょっと言い過ぎちゃったかもしれませんね。じゃあ転生の儀式に入りましょうか? ところで転生特典のチート武器はどうします?】
【……こ、大きくして】


【え? なんて?】


【○○○を大きくしてください】



その後、また俺は怒られた。怒られて、怒られて、怒られて続けた。
本当に目玉が飛び出るほど怒られた。
死ぬ前の一生より怒られたんじゃないかってくらい怒られた。

女神様達の怒りは凄まじく数時間説教をされた後で、
【【もう勝手にしなさい!】】

【え? じゃ○○○を大きくして、イケメンに貴族にしてくれるってことですか?】
【ええ。やってあげる! やってあげるから早く消えて! そして二度とここに来ないで!】

やった! 俺の数時間にも及ぶ交渉によってついに、プラチナチケットを手に入れたのだ。
これで金持ち貴族イケメンになって、セ○クスし放題だぜ! やりぃっ!

そして、転生の儀式とやらが終わって、
【じゃあそこの円から出ないで。すぐ終わるから】
【あの! 女神様! 本当に何から何までありがとうござい……】
【ああ! いい! もうそういうのいい! いいから早くあんたは異世界行って!】
【でも、俺ちゃんとお礼し……】
【いいからもう早く行って! もう何も聞きたくない! 異世界で彼女でもなんでも作ってデカ○○でセ○クスでも子作りでもなんでも好きなようにしなさい!】
【あ……でも、じゃあ最……】
【うるさいいいいっ! あんたと話していると頭が変になりそうになるの! 早く消えてっ!】

エライ嫌われようだった。

そして、魔法の円から光が上空に伸びた。視界が歪み、オーロラのベールに包まれる。
俺は最後に、女神様に、
【女神様! 最後に一つだけ! 女神なのに、デカ○○って言いましたよね? 聞きましたからね!】
すると女神様は絶句の表情になってその場で卒倒した。そして俺は異世界へと降り立ったのだ。


=====


その話を終えると、レイラは、
「あっはははははっ! あはは! お腹痛い! はははっ!」
「いや、もうどんだけ笑うんだよ。もうこの話四回目だぞ?」

俺としてはカッコ悪いからこの話したくないんだが……

「ああはは。あはあはあは! はははっ!」
彼女はベッドの上で笑い転げ、死ぬほど楽しそうだ。
俺は枕に顔を埋め、
「笑うなよ……」

そして、ベッドの上でイチャイチャと甘い時間を過ごした。
笑い合い、くすぐり合い、キスをした。

女神様に言ったことをそのまま実行したんだ。
俺は、今回の人生こそ自分のために生きる。
誰かの期待に応えるためじゃなくて、
誰かに認められるためでもなくて、
世間体を守るためでもない。

確かに、誰かのために自分を犠牲にすることは立派だ。
だけど、いくら言われても無理なものは無理だ。
誰かのために戦う勇者じゃなくてもいいだろ。

今回こそ……自分の人生に正直に生きたい。

レイラは、笑い疲れたのか、
「ふわぁ。私そろそろ眠くなっちゃった」

「うん。じゃ一緒に寝よっか?」
するとレイラは、俺の袖を妹みたいに掴むと、
「もう一回言うわよ? 私……眠いの」
「え? うん。聞いていたよ? だから電気消して一緒寝よ?」

「ちがくて……私が言いたいのはそうじゃなくって……」
彼女は、ゆっくりと俺を抱き寄せる。

「ん? キスして欲しいの?」
「それも……あるけど……」

それも?

と言うことは……
「ムラムラしちゃったの?」
彼女は恥ずかしそうに、照れ臭そうに、コクンと頷いた。
「仕方がないな……」
俺は彼女に顔を近づけ、寝る前の営みをプレゼントした。


俺たちは、とろけるようなセ○クスを心ゆくまで楽しんだ。

『もっとたくさん俺のこと褒めて気持ちよくして?』へ続く。
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