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第十三話 女の子との交尾

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「私と交尾したいってことにゃ?」

そしてその夜、俺は彼女の魔法にかけられた。猫耳の一夜限りの秘密の逢瀬。二人だけの思い出。
魔法が解けるまで、何度も何度もお互いをどれだけ愛しているか囁き合った。

翌朝、俺たちは抱き合ったまま、くっついたまま朝を迎えていた。
目の前には彼女の寝顔。彼女より少し早く起きて、寝顔を見るのが何よりの楽しみだ。

「うぅん……」

彼女は俺のことをぎゅうっと力一杯抱き、
「ゆう……くん……大好き……」
と世界で一番嬉しい寝言を言ってくれた。



しばらくしてレイラは起きた。猫耳化の魔法はもう解けて通常の女に戻った。
「ふぁ……ゆうくん……おはよう」
「レイラ……昨日はありがとう。すっごく楽しかったよ。一生の思い出だ」

彼女俺にだけ見せる笑顔で、
「私も新鮮で楽しかった。またしたくなったらいつでも言ってね? どんなご要望にもお答えしますよ?」

「あと、今朝寝言でこんなこと言っていたんだ……」
俺は彼女が言ってくれた寝言を伝えた。

「わ、私そんなこと言ってたの?」
「ごめん聞く気はなかったんだけど……つい……気になって全部聞いちゃった……」

【ゆう……くん……大好き……】
【こんなに人のこと……好きになった……の初めて】
【大好きよ……なんでもしてあげる……】

【世界で一番好き……あなたなしじゃ生きていけない】



「ごめん聞かなかったことにするね? 俺に聞かれると恥ずかしいよね? 本当にごめん……」
すると彼女は、顔を真っ赤にさせなかった。

あれ? てっきり顔を真っ赤にさせて、『この男は~~~!』とか言いながらポカポカ叩いてくると思ったが。


彼女は、透き通るような笑顔で、
「全然恥ずかしくないよ。聞かれてもいい……………だって全部本心だもん!」



「えっ? へっ? へえええっ!」
俺は初めて告白される少女のように戸惑った。
やべえ俺、この子のこと死ぬほど好きだ!

彼女はそのまま続ける。

「私は今、目の前にいる男の子が大好きです。世界で一番好き。私はこの人に決めたって思ってます。あなたと一緒なら、どれだけお金がなくなっても不幸になっても、一緒にいたいです……!」

俺はラブレターをもらった乙女のごとく慌てる。
「ふええええっ!」
ちょっときもいキョドり方だが気にしている場合じゃない。

「私の彼氏は、顔がカッコよくて、優しく撫でてくれて、耳元で好きって言ってくれる」
嬉しい! 嬉しいけど……

「私を女にしてくれた。私の女の欲求を全部満たしてくれる。だから私もお返しにあなたの男の欲求なら全部叶えてあげたいです……!」

嬉しいけど……申し訳ない。
「ゆう君の何もかもが大好き! 全部好き! だーいすき!」

言えない。こんな状況で言えない、実はこの前、魔道具店で買ったウソ発見器を使っているなんて。

「誠実で嘘をつかなくて、私には正直なあなたのことが大好きです!」
彼女はにっこりと笑ってそう言ってくれた。

うわあああああ! なんだよそのあなたのこと信じてます的な褒め言葉。そんな褒め言葉今日の今日までしてこなかっただろ! 

どうする? 黙っとくか? 黙ってしらばっくれるか? でも彼女は俺のこと信じてくれているし、どうする? どうする俺っっっ?

「ゆう君……いつも私にだけは正直でいてくれてありがとう……私もゆう君にだけなら本心で好きって言えるよ?」




そして、俺は彼女の無垢な笑顔に負けた。魂を悪魔に売ることができなかった。正直に嘘発見器のことを言った。



彼女はくそ怒った。めちゃくちゃ怒った。信じられないくらい怒った。どれくらい怒ったかというとくそほど怒った。

俺はベッドの上で正座している。
「……ごめんなさい」
「もう……! この男は~~!(俺のことをポカポカ叩きながら) っていうかなんでそんなもの買う気になったのよ?」

「いや、そりゃえっちの時に本当に気持ちよくなってくれているか……」
「ばかああっ! ゆう君のおばかっ! えろ! えろ変態!」

「ひいいいいいっ! ごめんなさい!」
「いつもちゃんと正直に言っているわよ! 顔見ればわかるでしょ……私のことが……信じられなかったんだね……」

うわぁ……まずい……やってしまった。これは俺が悪い。

「ごめん……レイラ。つい……」
「私はゆう君のこと信じていたのに……ゆう君は……私のこと……」

あああやっちゃった~~~。なんでこんなもん買うかな俺のばか!
どうやって挽回しよう……
「うぅ……ごめんね……」

彼女は、
「もういいよ……怒ってないから……」
いやウソ発見器を使わなくてもこれが嘘なのはわかる。

ん? ウソ発見器? そうか!

俺はカチッっと、ウソ発見器をオンにした。
「え? ちょっと何しているの? ゆう君? あなた本当に反省して……」
俺はそれをレイラに握らせると、彼女の体を力一杯抱きしめた。

ぎゅうううううう!

初めて彼女を抱いた時よりも彼女を強く抱きしめた。
そして、彼女に聞こえるように、

「レイラ? 世界で一番大好きだよ?」
「へ? ちょっと! 何するの? ウソ発見器ついたままよ?」
それが狙いだ。

「レイラ? レイラと出会って、俺は変わったんだ。いつも本当に感謝しているよ?」
「え? ちょ、ちょっと! これ全部本心ってことでしょ? 私聞いちゃまずいんじゃ……」

それから俺は心の中で思っていることを全て彼女に曝け出した。
「本当に、本当に君のことが大好きだ! 起きてる時も、寝ている時もいつもレイラのことだけ考えている!

こんなに人のこと好きになったのは初めてだ!
君の顔が好きだ。
俺が笑いかけると、かわいい笑顔を向けてくれるのが好きだ。

君の匂いが好きだ。
抱き合った時に香ってくる優しい匂いが大好きだ。
この匂いを嗅ぐといつも安心できる。心がほっと暖かくなるような気になるんだ。

君の声が好きだ。
俺が家に帰ると、玄関まで迎えにきてくれ、「お帰り」って言ってくれるのはレイラだけだ。
そして君の笑顔を見ると、ここが俺の居場所なんだって感じている。

君の体が好きだ。
抱きしめると、暖かくて柔らかくて俺を包み込んでくれる。
俺が抱くと、君も同じくらいの強さでぎゅっと抱き返してくれる。

もっと強く抱くと、もっと強く抱き返してくれる君の体が好きだ。

顔も声も匂いも体も性格も君の全てが大好きだ。
欠点も、失敗も、弱点も全部含めて全部好きだ。

君が、俺を好きでいてくれる以上に……俺も君のことが好きなんだ。


信じてくれ……レイラ……世界で一番大好きだ……」

俺はレイラのことが好きだ。好きで好きで仕方がない。
まるで小学生の初恋みたいだって笑われてもいい。

彼女のことが大好きで大好きでどうしようもないんだ。
もうこの子にするって決めたんだ。

レイラは目尻に溜まった涙を払うと、俺を見つめて、
「もう……ばかぁ……」

俺にそのままぎゅうううっと抱きついてきた。胸を遠慮なく押し付け、両腕でこれでもかと俺を抱く。

「さっきも言ったでしょ……誠実なあなたが好きって……疑ってなんかないんだから……でも……」

「でも……?」
「でもうれしかった……ありがと……私も大好きだよ……仲直りしよ?」
彼女は俺に抱きついたまま俺の大好きな声をくれた。

「仲直りって?」

彼女を抱きしめていると、いい匂いがする。鼻腔に刺さる気持ちのいい匂い。クラクラしそうなほどこの匂いが好きだ。
「カップルがする……魔法の仲直りがしたいの……」

俺は両腕で彼女の躯体を抱く。俺はこの体が大好きだ。抱き心地が良くて、温かい。俺は彼女の体にメロメロだ。
「いいよ……しよ?」

「今日はいっぱい大好きって言って?」

「何回でも言ってあげるよ……」

そして、俺たちはお互いの気持ちをぶつけ合った。力の限り、愛を叫んだ。
ウソ発見器なんていらなかった。
ずっと彼女も俺も本心を言っていたんだ。

嘘もお世辞もいらない。

本心でお互いのことを世界で一番大好きなんだ。

俺は今、世界で一番幸せな自信がある。
自己肯定感に満ち溢れ、体の奥から自信がみなぎってくる。
この世界にきた最初の日とは大違いだ。

不安も、迷いも何もない。もうここが人生のゴールなんだ。
あとはただ無限大に続く幸福を、思う存分堪能するだけ。

最高の女と最高のセ○クスを、心ゆくまでし続ける。

世界中の悦と快楽を合わせても俺が今感じている幸福には届かない。
多幸感が脳内に螺旋を作る。

究極の快感だけが心を埋め尽くし、開放感が駆け抜ける。
『幸せ……』そんな言葉じゃ言い表せないほどの幸福が、止まることなく流し込まれ続けた。



『年上お姉さんに頭をなでなでされながら褒め褒めイチャイチャ(甘え放題)』へ続く。
来年もよろしくお願いします! 良いお年を!

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