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第十六話 おっぱいがいっぱい! おっぱいそしておっぱい!(ナマチチ好きしゅ〜〜〜〜ご〜〜〜〜!)

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海。

一面の水平線が空と海を二分する。隔てられた二世界が、日の光によって貫かれる。
上空から突き刺さる鋭い日光が、世界を破る。

砕けた光の粒が俺の目に吸い込まれ、
「眩しいっ……!」

レイラは俺の隣で嬉しそうに、
「海だぁぁぁぁぁぁっ!」
そう、俺たちは海に来ている。夏休みということもあって、二人きりで海デート。

白い砂浜。黄金色の太陽。群青色の空。そして、透き通るようなエメラルドグリーンの海。
ここは、俺とレイラが同棲しているロッジから片道二時間の海辺。知る人ぞ知る秘境。
日本と違って、ここは異世界。

まだ開拓されていない神秘の秘境がゴロゴロあるんだ。
日本からこんなリゾートに行くと、三〇万円以上はかかるだろう。

贅沢に贅沢を重ねた夢のまた夢の旅。それがここじゃタダ同然だ! 異世界にきてよかった!

「ほら! ゆうくん! 海よ! 私たちカップルで海に来たのよ!」
レイラはウサギのようにはしゃぐ。
全くこの子は、はしゃいじゃって!

「おいレイラ! 少しは落ち着けって! こんな海いつでもいけ……ヒャッホウうううううううう!」
俺は言い終わる前に、彼女を置いて海に走った。

「あああっ! こら待ちなさい!」
彼女は服を脱ぎ、下に着ていた水着だけになる。

そして俺たちは、海面に叩きつけられるような豪快な音と共に海の中に飛び込んだ。

俺は水の一番底にまで潜る。そこには色とりどりの魚がたくさんいた。まるで海底の花畑だ。
日本では見たことがないような異世界魚もいる。

俺は海面に飛び出て
「気持ちいいっ!」

するとレイラは、
「わぁ……今日は一生の思い出に残るくらい楽しいデートにしようね? 一日中エロいことするのも楽しいけど、こういうエロ抜きのデートもいいわね!」

レイラはなんだかよさげなことを言っているが、そんなの頭に入ってこなかった。俺が釘付けになっているのは彼女の二つの巨乳。海の中に浮かぶ対になった殺人兵器。

「あの! レイラ! おっぱい!」

彼女は頬をぷくっと膨らませて、
「も! もう! せっかく今日はエロ抜きなのに! 水着を見たい気持ちもわかるけど……ガン見しすぎじゃない?」

「いや、そうじゃなくて……大きいおっぱいの……その……」

「まぁ……えっちなんだから! でもゆうくんにだったら好きなだけ見せてあげるわ……だって……私……その……ゆうくんにめちゃくちゃ惚れているんだからね!」

そんな嬉しいことを言ってくれたが、頭に入ってこない。
「ありがと……でも……その……」
俺はまるで童貞かのようにあわわと慌てる。

「もう……そんなにおっぱいが見たいの? デートが終わったら家で好きにさせてあげるから……それまで我慢して? いい?」

「あ、うん! それは嬉しい……ありがと、でも」
「何よ? 心配しなくておっぱいくらい見せてあげるわよ! そんなに見たいなら好きに見ていいから……」

そして鈍感な彼女はようやく異変に気づいた。
最初のダイブの時から彼女の上の水着がないのだ。そう、つまりずっとおっぱい丸出しだ。

彼女は顔面を太陽より赤くして、
「見ないでえええぇっ!」

俺に高速ビンタを叩き込んだ。
俺は海面に叩きつけられるような豪快な音と共に海の中に突っ込んだ。


俺は頬をさすりながら、
「見ていいって言ったじゃんかよ……」
だが彼女は、上半身裸のまま俺の背中に抱きついてきた。

ぎゅうううう!

「お、おい! ちょっと! レイラ! 流石に今ここではまずいだろ! 海の中でどうやってヤるつもりなんだよ! 俺ダイバーズライセンスは持ってないぞ! いや持っていてもまずいか……」

「ち、違うの! 水着が流されちゃったの……」
ビンタとかしている間に水着が大海原に隠れたらしい。

「なら人に見られないようにするためにこうやって野外で裸で肌を俺に押し付けても仕方ないってことになるな! 
くそ! なんてことだ! これじゃ一歩も動けない! 俺たちはここでじっとしているしかないな! そうだな?」

「な、なんで説明口調?」

「くそおおっ! 非常に残念だが、ここでこうやってしばらく過ごす他ない……チッ! こんな時いつも思うんだ……俺に力があればって! 俺は…………弱い……」

「なんか嬉しそうじゃない?」

「そんなことあるか! 大切で大事な彼女の一大事だぞ! 他の男に裸を見られたらどうするんだよ! お前はもう俺の女なんだぞ! その自覚があるのか? 答えろっ!」

「はい! ご、ごめんなさい! 自覚が足りませんでした!」
「わかればいい。わかればいいんだ。人間は過ちを犯すものなんだ……その過ちの中から正解を探していけばいい? そうだろ?」

「おっしゃる通りです……っていうかなんか宗教の文句みたいになっているけど……これカップルが水着流された時にする会話?」

「おい! 誰か来るぞ! もっと俺に密着して! 安心しろ! レイラの貞操は…………俺が守る!」

「いや、とっくにあなたに処女奪われたんですけど……」

「何してるんだ! 早く俺に密着しろ! 今すぐ! 手遅れになるぞ!」

すると、彼女は俺にぎゅううううっとさらにくっついてきた。
「う、うん……助かります……」

幸いここは秘境。周りにはほとんど人がおらず、さらに都合よく男は俺だけ。
周囲を見渡しても、数人のおっぱいのでかい女性グループがちらほらあるだけ。

ん? 待てよ……この状況は……
女、女、女、そして女。
俺以外全員女だ。

「あの……ゆうくん? どうしたのさっきから急に黙って?」
「うるさい! 黙っていろ!」
「は、はい!」

俺は視線を水平線に沿って一周させた。
頭の中はフル回転。そして、スーパーコンピューター並みの速さで計算して弾き出した結果、おっぱいは十四組あった。

「こうしちゃいられない!」
俺はざぶざぶと海の中を進む。

「きゃあああ! ちょっといきなり動かないで!」
「うるさい! その口を閉じろっ!」
「は、はいっ!」

俺は回遊魚の如くその辺を周回する。決して露骨に視線を向けてはいけない。それとなく、そっと目の端で獲物を捉えるのだ。

水着。それはつまりほとんど裸の女の裸を合法的に見られるアイテムだ。
夏の日差し、淡い海原、白い砂浜。この条件下でなら、いくら乳を見ても、尻を見ても罪にはならない。

完全に健全だし、合法だ。
俺はサメの如く女体の海を回遊する。

(あのおっぱいもいいな!)(お! あの女セクシーな水着着ている!)(あそこにも! あんなのほとんど裸じゃないか!)

「ちょっとゆうくん? 私の水着探してくれている? なんかさっきから女の子たちの間を縫うように周回しているようにしか見えないんだけど?」
「ああ……ちょっと待ってくれ、今必死に探しているところなんだ……」

「う、うん。そうよね。私のためにありがと」

「いいってこと。だって俺はレイラの恋人なんだから……さ!」
(ウッヒョおおおお! 今のあの女の乳の揺れ具合見たか? たまんねーぜ!)


今、俺はすごい状況にいる。背後には素っ裸の彼女が密着。
眼前には高級リゾートと女体の群れ。

右にも左にも後ろにも前にも女体の魚群が俺を包囲している。
しかも水着だから見てもオッケー! 完全合法だ。

天国はここにあったんだ。
こんな近くにあったんだ。

彼女連れで海でバカンス。夢みたいだ。本当に幸せだ。

生まれてよかった。苦労が報われてよかった。

俺はこの天国にいられるならどんなことだってする。悪魔にだってなってやる。
何があってもこの天国を守る。俺は守護天使ミカエル。この地を守る……命に変えて!

俺は背後にいる最愛の女……いや俺の未来の嫁に語りかける。
「なぁ……レイラ?」
「なんでしょう?」

「俺……この世界にきて本当に幸せだよ……レイラが俺と付き合ってくれて本当に幸せだ……」
「ちょっと急にどうしたのよ? なんかアニメの最終回みたいだけど!」

「いや、幸せだなって思って……本当にいつもレイラには感謝しているよ? 俺と付き合ってくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。俺を…………男にしてくれてありがとう」

すると彼女は、ぎゅうううっと俺を抱く手を強めた。
「おい! この状況でそんなことしたら……」
「ふふ……いいの! だって私はゆうくんにするって心に決めたんだもの……! 大好きよ、ゆうくん?」
「レイラ……俺もレイラのことが……大好きだよ?」


その時だった、女の群れのうちの一人が、
「あのぅ? さっきから見てたんですけど、水着流されちゃったんですか?」
その人は、はちきれんばかりの爆乳をふたつ抱えている。

金髪ロングの白人。スタイル完璧で、顔完成。ブルーの瞳が海の光を反射している。

「そ、そうで……す」
俺は一瞬で童貞が再燃し、しどろもどろになる。

そして、金髪のおっぱいお姉さんが、
「もしかしたらこれじゃないですか?」
俺に水着を手渡してきた。レイラの着ていた水着だ。ピンク色でフリルがついている。

背後にいたレイラは、
「わあぁっっ! それ! それです! よかった! これでこのエロ漫画みたいな状況から抜け出せます! どうもありがとうござ……」
レイラが水着を受け取ろうとした瞬間、
パシイイイイイイン!
俺はその水着を光の速さではたき落とした。



そして、お姉さんに向かって、
「違います。この水着じゃありません」


『女子高生のパンツ……履いてみてもいいですか?』へ続く。

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