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vs円卓の騎士
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[ケン視点]
俺はクレヨンで描かれた数々の絵を思い出した。どの絵も線は歪に曲がっていて、上手いとは言えない。
あれは子供が描いた絵じゃなかったんだ。両手両足のない女が口で描いた絵だったんだ。
俺はアルトリウスの縄を解くと、彼女に治療を施した。
「なぜ協力する気になった? 理由を説明しろ!」
アルトリウスは俺の胸ぐらを義手で掴む。冷たい義手が俺の胸元で冷気を放つ。
「お前の過去が流れ込んできた。それで気が変わったんだ。お前は昔の俺に似ていた」
「私に同情しているつもりか?」
「さあな。それより俺と一緒に国を攻め落とすのか? それとも諦めて一生泣いているか? どっちか選べ!」
アルトリウスは掴んでいた手を離すと、
「とりあえずは信用してやる」
「そうか。よかった」
「ただし条件がある。お前のことを完全には信用できない。だから、お前がもし諦めたらその場で殺す。いいな?」
「わかった」
「正気か? お前には何の関係もないんだぞ?」
「ああ。正気だ。お前の人生は、俺とは何の関係もない。さあ行くぞ」
俺は絵で描かれた城を抜け出した。アルトリウスは観念して俺と一緒に来ることにした。
森の中の木々がざわつく。黒々と生い茂る樹木たちは、俺たちに向かって敬礼をする。梢まで葉に覆われた木は、夜空から俺たちを隠す。
星たちが地上に向かって光を打つ。木々は俺たちを包んで隠した。まるで、光から俺たちを守っているみたいだ。
時折、木の網を通り抜けた光が顔に当たる。闇の中で顔にかかった光は少しだけ痛かった。俺の背後を警戒しながら歩くアルトリウスを見た。彼女はまだ俺のことを信用していないのだろう。右手には剣が触れている。いつでも俺を殺せる。
アルトリウスの髪は美しい。黄金があれば黄金の方が、霞んでしまうだろう。透き通るくらい混じり気のない金髪は、夜空に瞬く星によく似ていた。
だが、青い瞳は黒く濁っている。硝子体(しょうしたい、目のゼリー状の部分のこと)にヘドロでも詰まっているかのようだ。人生の絶望を全て溶かして、目玉に注入したみたいだ。黒く汚れた瞳は、ひどく物悲しかった。
「なあ。お前」
アルトリウスは俺の視線に自分のそれを真正面からぶつけた。
「何だ?」
「なんであのアリシアといったな。あの女を連れてこなかった?」
「お前生きたカレーライスとかを仕向けて来ただろ? アリシアの能力は、騎士たちに対策されきっているんだ。本当の情報も多少は渡さないと信頼を勝ち取ることができないだろ」
カレーライスがアリシアの攻撃を無効化したのは、俺が流した本当の情報のせいだ。
「お前は普段、あの絵の城で何をして過ごしているんだ?」
「馴れ馴れしくするな! 私とお前は仲間でも何でもない」
「まあそうだけど」
「だが約束は守ってもらうぞ。お前は私に協力する。そして、もし途中で諦めるのなら敵だとみなしてその場で殺す」
「わかっているよ」
「お前、頭がおかしいんじゃないかっ!」
「なんだよ急に。お前情緒不安定か?」
「うるさい! お前に言われたくない!」
アルトリウスは俺に、ぴしゃりと言った。
「お前は私の過去を見たのだろう?」
「ああ。全部見たよ」
「これは同情のつもりなのか?」
「さあ」
「はっきり言って迷惑だ。こんなことやめてくれ」
「俺はお前の過去を全て見た。アルトリウス。お前は悪くない」
「うるさい」
「お前は十分頑張ったよ」
その瞬間、アルトリウスが歩を止める。一陣の風が俺たちの間を縫い進む。
「黙れ! 殺すぞ」
アルトリウスは騎士の剣を俺の喉笛に突きつけてきた。間違いない、この女、いつでも躊躇なく俺を殺せる。
彼女の声は凍てついた氷の大地よりも冷たかった。まるで感情のないロボットの音声のように無機質だった。
それから俺たちは一言も交わさずに、森を抜けた。静寂に静寂が重なる。そして、よりうるさい静寂となる。沈黙が鼓膜を刺す。夜風が空気を潤す。乾いた空気だけが震えていた。
俺たちは森を抜けると、ハイデルキア城下町についた。街は静まり返っていた。音の墓場には、凪だけがその身を横たえる。重たい沈黙が人々の体にのしかかる。覆いかぶさって、体躯を包む。静寂に抱かれた人々は、気持ち良さそうに眠る。
息すらもできないような、圧迫感が空から降ってきている。もしかしたら、人間は、夜が怖くて眠るのかもしれない。
目を瞑っていないと、闇が隙間から入ってきてしまう。
耳を閉じていないと、沈黙が鼓膜に触れてしまう。
体を横たえないと、上から暗闇が降ってきてしまう。
夜の塊は、息すらもできないほど人を締め付ける。黒い空は、人間を縛り付ける鎖のようだ。
「行くぞ。準備はいいな?」
俺の声が沈黙を食い破る。
「ああ」
「作戦はこうだ。まず、城の内部に詳しいアルトリウスが侵入。俺がついていく。
次に、玉座に侵入して、円卓の騎士を倒す。そしたらこの国はお前のものだ!」
「ううむ。何だかすごく頭の悪い作戦のような気がするが」
「うるさい!」
そして、夜の城下町を静かに歩いた。横たわる静寂を起こさないように、足音を殺して歩く。
林立する建物の隙間を縫うようにして歩く。路地を抜け、通りを横切り、橋の下をくぐった。そして、王宮への秘密の入り口に着いた。
「ここから王宮に侵入できるんだな?」
「ああ。この通路は私が城を抜けるときに使ったものだ。絶対に見つからない」
「よし! 行こう」
そして、秘密の抜け道に入った途端、待ち構えていた騎士たちにすぐに囲まれた。
騎士たちに捕まると、まっすぐに大広間に連れてこられた。猿轡もされずに、手足も縛られない。俺たちに負けるはずがないという自信があるのだろう。
そして、俺とアルトリウスは大広間に放り込まれた。
「うわっ!」
「くっ!」
暗がりの中から、騎士が歩いてくる。
「久しぶりだな。アルトリウス」
アルトリウスは目線を地面からあげる。舐めるように地を這った目線は、騎士の顔のところで停止した。
「ランスロット兄様」
「行方不明だったゴミ騎士が帰ってきやがってな。遅すぎるから警戒しろってな。誰に向かって命令してんだって思ったけど、警戒しておいてよかったな」
ランスロットは、こちらに近づいてくる。歩くたびに重々しい鎧がガチャつく。
「ところでそこのゴミ平民。お前誰だな?」
「俺は何でも屋のケンだ。それとゴミ平民じゃないな」
俺はランスロットの口調を真似した。
「おい! ランスロット兄様に失礼だぞ! 殺されたいのかぞ!」
騎士の一人が声を荒げる。こいつもアルトリウスの兄なのだろう。
「黙れな! ガラハッド! おい何でも屋。お前はなんでここにいるな? お前には関係ないだろな?」
俺は懐から、
「これはアルトリウスが描いた絵だ」
一枚の絵を取り出した。
そこには十二人の騎士が円卓を囲んでいる様子が描かれていた。ここにいる十二人の騎士(アルトリウスも含む)と特徴が完全に一致している。
「お前! 私の寝室に勝手に入ったのかっ?」
アルトリウスは顔を赤らめながら叫ぶ。あの下着類はこいつのだったのか。変態のミノタウルスのコレクションだと思っていた。
「お前がミノタウルスの着ぐるみなんて着ているからだろ! ミノタウルスの弱点を探していたんだよ!」
「だからってお前!」
アルトリウスを遮って、
「なー! うるさいな! それでその絵がどうしたな? 見た所、俺たち円卓の騎士の絵のようだな」
「アルトリウスは、お前たちに復讐を誓う一方、まだ心のどこかでお前たちを信じていたんだ。俺は、アルトリウスがお前たちと仲直りができるようにここに連れてきた」
横でアルトリウスが息を飲む音が聞こえた。つばとともに、大きな息の塊が彼女の狭い食道をゆっくりと落ちていく。
「アルトリウスは、『兄さんたちが私に冷たいのは、私の手足がないせいだ。私のせいだ』そう言っていつも自分を責め続けた。こいつはずっと一人ぼっちで苦しんでいたんだ!」
「どうしてそんなことがわかるな?」
パワーワードは時として、見えるはずのないものを俺に見せる。
「そんなことどうだっていい! 俺の正体は現実になった架空の存在なんだ。俺はずっと空っぽだった。中に何も入っていない宝箱のようだった。中は空っぽなのに、箱がそれを覆い尽くす。中に何か入っているように見えるだけだ」
周囲の十二人の騎士たちは黙って聞き入る。
「俺は、一人の女の子に助けられた。空っぽの俺に中身をくれたんだ。アルトリウスは空っぽだった俺によく似ていた」
アルトリウスの方を見た。
「アルトリウスは、現実に存在しているのに、架空の存在のようだった。そこにいないみたいだった」
彼女はずっと疎まれて生きてきた。ただ手足がなかっただけなのに。何も悪いことなどしていなかったのに。
「アルトリウスは、『手足ができれば、兄さんたちに認めてもらえる』そう思っていた。だけど、手足ができてもお前たちは疎んだ」
俺は騎士どもを睨みつけた。蛇のような視線を突き刺さす。
「『私と友達になって』俺はアリシアにそう言われてこの世に生まれた。だから、一人ぼっちの人間を放っておけないんだ。俺にとっては、悪の帝王を倒すことよりも、金持ちになることよりも重要なんだ」
「つまり、お人好しのお前さんは、ミノタウルスを庇うってことだな?」
「そうだ」
「お前さんは醜い化け物なんかを庇うんだな?」
「ミノタウルスを生み出したのはお前たち騎士の醜い心だ」
「はあ。お人好しもここまでくると芸術だな」
アルトリウスの兄は絵を拾い上げると、ビリビリに引き裂いた。円卓を囲む騎士の絵は無残に空気を舞い落ちる。バラバラになった絆は、もう元には戻らない。
アルトリウスが口で描いた絵は、もうただのゴミ切れになった。それは彼女の夢が舞い散っているみたいだった。
「アルトリウス。お前は俺たちと仲直りができると思っているのか?」
一瞬の静寂が俺たちの体の上を滑った。透明感のある沈黙は少し冷たかった。
「できない」
「ほらな。当の本人がこれなんだな」
俺はアルトリウスのことを見つめた。彼女はじっと俯いて下を見ている。
「ここからは家族の問題なんだな。お前さんのことは大目に見てやるな。だから諦めて今すぐ帰れ」
ランスロットが言った。
「俺は諦めない」
「ならお前のことを殺すしかないな。槍で撃ち殺してやる」
ランスロットは背中から槍を取り出した。槍をこちらに構える。
俺は手を前に構える。
「水よ! 燃えさかれ!」
手の中にパワーワードで剣を作成。剣は水飛沫を上げながら、青々と燃える。水でできた炎は空に向かって、青い煙を放つ。ジュージュー焼ける音がする。
「諦めろ」
ランスロットが冷たく言った。
そして、大広間で最後の戦いが始まった。
ランスロットは飛び上がり、空中で静止。槍の先を俺の方に向ける。先ほどこいつが言ったパワーワードは“槍で撃ち殺してやる”だ。つまり槍を銃をして使うつもりなのだろう。
俺は、水剣の腹を槍の先端に向ける。これで銃弾を受けきれるはずだ。銃弾を受け切ったら、カウンターで仕留めてやる!
「さあ! 来い!」
プチュン。
おもちゃの銃の音のようなものが聞こえた。ランスロットが放った銃弾が、俺の剣と腹を貫通した音だった。
「は?」
背後を見ると、俺の内臓が地面に飛び散っている。赤々とした肉が地面に散乱している。
突然の激痛に脳が溶けそうになった。
「お前本気で俺たちに勝つつもりかな? 俺たち円卓の騎士は、精鋭中の精鋭。幼少の頃より、パワーワードを扱い続けてきた。お前らゴミ平民とは、生物としてのスペックが違うんだな」
「例えお前との間に実力差があっても、俺は諦めたりしない!」
俺は剣を構え直す。
「銃で切り裂いてやる」
別の騎士がパワーワードを放つ。
「絶対に諦めてたまるか!」
「ハンマーで突き刺してやる」
さらに、別の騎士がパワーワードを放つ。
「諦めるもんか!」
「ムチで焼き殺してやる」
そして、騎士たちは一斉に襲いかかってきた。
騎士のうち一人が手に持った銃を横から殴りつける。銃は砲身で俺の体を引き裂いた。切れ味のいい銃は、筆のように俺の体表を走り回った。赤い血の跡がいくつも轍を作った。
「ぐあっ!」
続いて、ハンマーを持った騎士が、それを俺に向かって突き刺してきた。ハンマーの頭はとても突き刺せるような形状をしていない。通常のハンマーのように叩き潰すための金属があるだけ。その四角い金属が俺の右の胸を突き刺した。
「グッ!」
明らかに突き刺さるような攻撃ではなかった。だが、攻撃を食らった箇所は、槍で貫かれたような怪我を負った。平面に近い金属からなぜこんな傷が生まれるのだろう。
さらに、ムチを持った騎士が獲物を構える。手にしたしなるムチに炎が灯る。赤熱するムチは、うねる炎のようだった。騎士は、ムチで幾度も俺の体を焼いた。通常、ムチを叩きつけられると、皮膚は剥がれ落ち、生々しい肉が露出するような怪我をするはず。だがパワーワード使いのこいつのムチは違った。
ムチに触れられた箇所は、ガスバーナーで焼かれたように焼けただれた。皮膚が燃えたわけでも、炎を押し付けられたわけでもない。だが、打たれた箇所に火傷が生じたのだ。
「くそっ!」
俺は精一杯の抵抗をした。だが、実力差は圧倒的だった。俺は手も足も出なかった。十一人の騎士に順番に切り刻まれた。
パワーワードは人間の逆境を力に変える。俺も当然パワーワードで自分の力を底上げした。底上げして強くなった最高の状態で、手も足も出なかったのだ。
恐怖や痛みは簡単に人の心を折る。圧倒的な実力差という現実は、俺の胸に深々と突き刺さった。
あれだけみなぎっていた勝気も自信も粉々に打ち砕かれた。もう勝てる気がしなくなっていた。
痛覚以外の感覚が麻痺し始めた。全身が炎に包まれているように熱い。傷口が熱を持って火照る。
視界が揺れる。肺から虫の息を吐き出す。二酸化炭素を口から出すと、同時に大量の血が出た。喉の奥が切れているのか、肺がぶっ壊れたのか、その両方なのか、わからない。
ボロボロに身体中を壊された。全身を夥しいほどの流血が包んでいる。まるで血でできた服を着ているみたいだ。
痛覚に痛覚が重ねられて、もう痛くない。ただ傷を負った箇所が熱く発熱しているだけだ。
手足の先にはしびれにも似た何かが走り回っている。痛みが限界を通り越すとこうなるんだな。
俺は自分の心の中をのぞいてみた。そこにはもう何もなかった。熱い炎も、みなぎる希望も、すべて抜け落ちて、ただ暗い水面が揺れているだけだった。
そんな俺に誰かが近寄ってくる。ランスロットか? そいつは口を開いた。
「諦めるのか?」
俺は視点を合わせた。その人物はランスロットではなかった。俺に声をかけたのは、アルトリウスだった。
俺は、彼女と目を合わせずに、
「ああ」
「諦めたら殺す。そう言ったよな?」
アルトリウスは俺を殺す気だ。そういう約束だった。
「ああ。言った」
俺は口から弱々しく言った。
そして、アルトリウスは俺のことを抱き起こした。彼女は俺の瞳をまっすぐに見て、
「諦めるな」
彼女の声は小さくて力強かった。『諦めるな』その言葉は、彼女が散々言われたものだ。彼女はこの言葉を言われた時に、一体どんな心境だったのだろう? きっと今の俺と同じような心境だろう。
「お前ならできる」
彼女の台詞は意外なものばかりだった。かつて彼女のことを痛めつけた他人からの激励は、俺の心をたぎらせた。
「私と一緒に戦おう」
さっきまであれほど絶望していたのに、もう無理だと思っていたのに、今は勝てるような気がする。もう一度頑張ることができるような気がするんだ。
「頑張れ。いや二人で頑張ろう」
「わかった」
人は軽々しく『頑張れ』と言う、ボロボロに弱った人にムチを打つように。まるで、断崖絶壁にいる人をさらに追い詰めるように。その言葉は時に人を苦しめる。時に人を追い込む。そして、時に、人を突き動かす。
本当に、もう一度だけ頑張ることができるような気がしてくるんだ。
俺はクレヨンで描かれた数々の絵を思い出した。どの絵も線は歪に曲がっていて、上手いとは言えない。
あれは子供が描いた絵じゃなかったんだ。両手両足のない女が口で描いた絵だったんだ。
俺はアルトリウスの縄を解くと、彼女に治療を施した。
「なぜ協力する気になった? 理由を説明しろ!」
アルトリウスは俺の胸ぐらを義手で掴む。冷たい義手が俺の胸元で冷気を放つ。
「お前の過去が流れ込んできた。それで気が変わったんだ。お前は昔の俺に似ていた」
「私に同情しているつもりか?」
「さあな。それより俺と一緒に国を攻め落とすのか? それとも諦めて一生泣いているか? どっちか選べ!」
アルトリウスは掴んでいた手を離すと、
「とりあえずは信用してやる」
「そうか。よかった」
「ただし条件がある。お前のことを完全には信用できない。だから、お前がもし諦めたらその場で殺す。いいな?」
「わかった」
「正気か? お前には何の関係もないんだぞ?」
「ああ。正気だ。お前の人生は、俺とは何の関係もない。さあ行くぞ」
俺は絵で描かれた城を抜け出した。アルトリウスは観念して俺と一緒に来ることにした。
森の中の木々がざわつく。黒々と生い茂る樹木たちは、俺たちに向かって敬礼をする。梢まで葉に覆われた木は、夜空から俺たちを隠す。
星たちが地上に向かって光を打つ。木々は俺たちを包んで隠した。まるで、光から俺たちを守っているみたいだ。
時折、木の網を通り抜けた光が顔に当たる。闇の中で顔にかかった光は少しだけ痛かった。俺の背後を警戒しながら歩くアルトリウスを見た。彼女はまだ俺のことを信用していないのだろう。右手には剣が触れている。いつでも俺を殺せる。
アルトリウスの髪は美しい。黄金があれば黄金の方が、霞んでしまうだろう。透き通るくらい混じり気のない金髪は、夜空に瞬く星によく似ていた。
だが、青い瞳は黒く濁っている。硝子体(しょうしたい、目のゼリー状の部分のこと)にヘドロでも詰まっているかのようだ。人生の絶望を全て溶かして、目玉に注入したみたいだ。黒く汚れた瞳は、ひどく物悲しかった。
「なあ。お前」
アルトリウスは俺の視線に自分のそれを真正面からぶつけた。
「何だ?」
「なんであのアリシアといったな。あの女を連れてこなかった?」
「お前生きたカレーライスとかを仕向けて来ただろ? アリシアの能力は、騎士たちに対策されきっているんだ。本当の情報も多少は渡さないと信頼を勝ち取ることができないだろ」
カレーライスがアリシアの攻撃を無効化したのは、俺が流した本当の情報のせいだ。
「お前は普段、あの絵の城で何をして過ごしているんだ?」
「馴れ馴れしくするな! 私とお前は仲間でも何でもない」
「まあそうだけど」
「だが約束は守ってもらうぞ。お前は私に協力する。そして、もし途中で諦めるのなら敵だとみなしてその場で殺す」
「わかっているよ」
「お前、頭がおかしいんじゃないかっ!」
「なんだよ急に。お前情緒不安定か?」
「うるさい! お前に言われたくない!」
アルトリウスは俺に、ぴしゃりと言った。
「お前は私の過去を見たのだろう?」
「ああ。全部見たよ」
「これは同情のつもりなのか?」
「さあ」
「はっきり言って迷惑だ。こんなことやめてくれ」
「俺はお前の過去を全て見た。アルトリウス。お前は悪くない」
「うるさい」
「お前は十分頑張ったよ」
その瞬間、アルトリウスが歩を止める。一陣の風が俺たちの間を縫い進む。
「黙れ! 殺すぞ」
アルトリウスは騎士の剣を俺の喉笛に突きつけてきた。間違いない、この女、いつでも躊躇なく俺を殺せる。
彼女の声は凍てついた氷の大地よりも冷たかった。まるで感情のないロボットの音声のように無機質だった。
それから俺たちは一言も交わさずに、森を抜けた。静寂に静寂が重なる。そして、よりうるさい静寂となる。沈黙が鼓膜を刺す。夜風が空気を潤す。乾いた空気だけが震えていた。
俺たちは森を抜けると、ハイデルキア城下町についた。街は静まり返っていた。音の墓場には、凪だけがその身を横たえる。重たい沈黙が人々の体にのしかかる。覆いかぶさって、体躯を包む。静寂に抱かれた人々は、気持ち良さそうに眠る。
息すらもできないような、圧迫感が空から降ってきている。もしかしたら、人間は、夜が怖くて眠るのかもしれない。
目を瞑っていないと、闇が隙間から入ってきてしまう。
耳を閉じていないと、沈黙が鼓膜に触れてしまう。
体を横たえないと、上から暗闇が降ってきてしまう。
夜の塊は、息すらもできないほど人を締め付ける。黒い空は、人間を縛り付ける鎖のようだ。
「行くぞ。準備はいいな?」
俺の声が沈黙を食い破る。
「ああ」
「作戦はこうだ。まず、城の内部に詳しいアルトリウスが侵入。俺がついていく。
次に、玉座に侵入して、円卓の騎士を倒す。そしたらこの国はお前のものだ!」
「ううむ。何だかすごく頭の悪い作戦のような気がするが」
「うるさい!」
そして、夜の城下町を静かに歩いた。横たわる静寂を起こさないように、足音を殺して歩く。
林立する建物の隙間を縫うようにして歩く。路地を抜け、通りを横切り、橋の下をくぐった。そして、王宮への秘密の入り口に着いた。
「ここから王宮に侵入できるんだな?」
「ああ。この通路は私が城を抜けるときに使ったものだ。絶対に見つからない」
「よし! 行こう」
そして、秘密の抜け道に入った途端、待ち構えていた騎士たちにすぐに囲まれた。
騎士たちに捕まると、まっすぐに大広間に連れてこられた。猿轡もされずに、手足も縛られない。俺たちに負けるはずがないという自信があるのだろう。
そして、俺とアルトリウスは大広間に放り込まれた。
「うわっ!」
「くっ!」
暗がりの中から、騎士が歩いてくる。
「久しぶりだな。アルトリウス」
アルトリウスは目線を地面からあげる。舐めるように地を這った目線は、騎士の顔のところで停止した。
「ランスロット兄様」
「行方不明だったゴミ騎士が帰ってきやがってな。遅すぎるから警戒しろってな。誰に向かって命令してんだって思ったけど、警戒しておいてよかったな」
ランスロットは、こちらに近づいてくる。歩くたびに重々しい鎧がガチャつく。
「ところでそこのゴミ平民。お前誰だな?」
「俺は何でも屋のケンだ。それとゴミ平民じゃないな」
俺はランスロットの口調を真似した。
「おい! ランスロット兄様に失礼だぞ! 殺されたいのかぞ!」
騎士の一人が声を荒げる。こいつもアルトリウスの兄なのだろう。
「黙れな! ガラハッド! おい何でも屋。お前はなんでここにいるな? お前には関係ないだろな?」
俺は懐から、
「これはアルトリウスが描いた絵だ」
一枚の絵を取り出した。
そこには十二人の騎士が円卓を囲んでいる様子が描かれていた。ここにいる十二人の騎士(アルトリウスも含む)と特徴が完全に一致している。
「お前! 私の寝室に勝手に入ったのかっ?」
アルトリウスは顔を赤らめながら叫ぶ。あの下着類はこいつのだったのか。変態のミノタウルスのコレクションだと思っていた。
「お前がミノタウルスの着ぐるみなんて着ているからだろ! ミノタウルスの弱点を探していたんだよ!」
「だからってお前!」
アルトリウスを遮って、
「なー! うるさいな! それでその絵がどうしたな? 見た所、俺たち円卓の騎士の絵のようだな」
「アルトリウスは、お前たちに復讐を誓う一方、まだ心のどこかでお前たちを信じていたんだ。俺は、アルトリウスがお前たちと仲直りができるようにここに連れてきた」
横でアルトリウスが息を飲む音が聞こえた。つばとともに、大きな息の塊が彼女の狭い食道をゆっくりと落ちていく。
「アルトリウスは、『兄さんたちが私に冷たいのは、私の手足がないせいだ。私のせいだ』そう言っていつも自分を責め続けた。こいつはずっと一人ぼっちで苦しんでいたんだ!」
「どうしてそんなことがわかるな?」
パワーワードは時として、見えるはずのないものを俺に見せる。
「そんなことどうだっていい! 俺の正体は現実になった架空の存在なんだ。俺はずっと空っぽだった。中に何も入っていない宝箱のようだった。中は空っぽなのに、箱がそれを覆い尽くす。中に何か入っているように見えるだけだ」
周囲の十二人の騎士たちは黙って聞き入る。
「俺は、一人の女の子に助けられた。空っぽの俺に中身をくれたんだ。アルトリウスは空っぽだった俺によく似ていた」
アルトリウスの方を見た。
「アルトリウスは、現実に存在しているのに、架空の存在のようだった。そこにいないみたいだった」
彼女はずっと疎まれて生きてきた。ただ手足がなかっただけなのに。何も悪いことなどしていなかったのに。
「アルトリウスは、『手足ができれば、兄さんたちに認めてもらえる』そう思っていた。だけど、手足ができてもお前たちは疎んだ」
俺は騎士どもを睨みつけた。蛇のような視線を突き刺さす。
「『私と友達になって』俺はアリシアにそう言われてこの世に生まれた。だから、一人ぼっちの人間を放っておけないんだ。俺にとっては、悪の帝王を倒すことよりも、金持ちになることよりも重要なんだ」
「つまり、お人好しのお前さんは、ミノタウルスを庇うってことだな?」
「そうだ」
「お前さんは醜い化け物なんかを庇うんだな?」
「ミノタウルスを生み出したのはお前たち騎士の醜い心だ」
「はあ。お人好しもここまでくると芸術だな」
アルトリウスの兄は絵を拾い上げると、ビリビリに引き裂いた。円卓を囲む騎士の絵は無残に空気を舞い落ちる。バラバラになった絆は、もう元には戻らない。
アルトリウスが口で描いた絵は、もうただのゴミ切れになった。それは彼女の夢が舞い散っているみたいだった。
「アルトリウス。お前は俺たちと仲直りができると思っているのか?」
一瞬の静寂が俺たちの体の上を滑った。透明感のある沈黙は少し冷たかった。
「できない」
「ほらな。当の本人がこれなんだな」
俺はアルトリウスのことを見つめた。彼女はじっと俯いて下を見ている。
「ここからは家族の問題なんだな。お前さんのことは大目に見てやるな。だから諦めて今すぐ帰れ」
ランスロットが言った。
「俺は諦めない」
「ならお前のことを殺すしかないな。槍で撃ち殺してやる」
ランスロットは背中から槍を取り出した。槍をこちらに構える。
俺は手を前に構える。
「水よ! 燃えさかれ!」
手の中にパワーワードで剣を作成。剣は水飛沫を上げながら、青々と燃える。水でできた炎は空に向かって、青い煙を放つ。ジュージュー焼ける音がする。
「諦めろ」
ランスロットが冷たく言った。
そして、大広間で最後の戦いが始まった。
ランスロットは飛び上がり、空中で静止。槍の先を俺の方に向ける。先ほどこいつが言ったパワーワードは“槍で撃ち殺してやる”だ。つまり槍を銃をして使うつもりなのだろう。
俺は、水剣の腹を槍の先端に向ける。これで銃弾を受けきれるはずだ。銃弾を受け切ったら、カウンターで仕留めてやる!
「さあ! 来い!」
プチュン。
おもちゃの銃の音のようなものが聞こえた。ランスロットが放った銃弾が、俺の剣と腹を貫通した音だった。
「は?」
背後を見ると、俺の内臓が地面に飛び散っている。赤々とした肉が地面に散乱している。
突然の激痛に脳が溶けそうになった。
「お前本気で俺たちに勝つつもりかな? 俺たち円卓の騎士は、精鋭中の精鋭。幼少の頃より、パワーワードを扱い続けてきた。お前らゴミ平民とは、生物としてのスペックが違うんだな」
「例えお前との間に実力差があっても、俺は諦めたりしない!」
俺は剣を構え直す。
「銃で切り裂いてやる」
別の騎士がパワーワードを放つ。
「絶対に諦めてたまるか!」
「ハンマーで突き刺してやる」
さらに、別の騎士がパワーワードを放つ。
「諦めるもんか!」
「ムチで焼き殺してやる」
そして、騎士たちは一斉に襲いかかってきた。
騎士のうち一人が手に持った銃を横から殴りつける。銃は砲身で俺の体を引き裂いた。切れ味のいい銃は、筆のように俺の体表を走り回った。赤い血の跡がいくつも轍を作った。
「ぐあっ!」
続いて、ハンマーを持った騎士が、それを俺に向かって突き刺してきた。ハンマーの頭はとても突き刺せるような形状をしていない。通常のハンマーのように叩き潰すための金属があるだけ。その四角い金属が俺の右の胸を突き刺した。
「グッ!」
明らかに突き刺さるような攻撃ではなかった。だが、攻撃を食らった箇所は、槍で貫かれたような怪我を負った。平面に近い金属からなぜこんな傷が生まれるのだろう。
さらに、ムチを持った騎士が獲物を構える。手にしたしなるムチに炎が灯る。赤熱するムチは、うねる炎のようだった。騎士は、ムチで幾度も俺の体を焼いた。通常、ムチを叩きつけられると、皮膚は剥がれ落ち、生々しい肉が露出するような怪我をするはず。だがパワーワード使いのこいつのムチは違った。
ムチに触れられた箇所は、ガスバーナーで焼かれたように焼けただれた。皮膚が燃えたわけでも、炎を押し付けられたわけでもない。だが、打たれた箇所に火傷が生じたのだ。
「くそっ!」
俺は精一杯の抵抗をした。だが、実力差は圧倒的だった。俺は手も足も出なかった。十一人の騎士に順番に切り刻まれた。
パワーワードは人間の逆境を力に変える。俺も当然パワーワードで自分の力を底上げした。底上げして強くなった最高の状態で、手も足も出なかったのだ。
恐怖や痛みは簡単に人の心を折る。圧倒的な実力差という現実は、俺の胸に深々と突き刺さった。
あれだけみなぎっていた勝気も自信も粉々に打ち砕かれた。もう勝てる気がしなくなっていた。
痛覚以外の感覚が麻痺し始めた。全身が炎に包まれているように熱い。傷口が熱を持って火照る。
視界が揺れる。肺から虫の息を吐き出す。二酸化炭素を口から出すと、同時に大量の血が出た。喉の奥が切れているのか、肺がぶっ壊れたのか、その両方なのか、わからない。
ボロボロに身体中を壊された。全身を夥しいほどの流血が包んでいる。まるで血でできた服を着ているみたいだ。
痛覚に痛覚が重ねられて、もう痛くない。ただ傷を負った箇所が熱く発熱しているだけだ。
手足の先にはしびれにも似た何かが走り回っている。痛みが限界を通り越すとこうなるんだな。
俺は自分の心の中をのぞいてみた。そこにはもう何もなかった。熱い炎も、みなぎる希望も、すべて抜け落ちて、ただ暗い水面が揺れているだけだった。
そんな俺に誰かが近寄ってくる。ランスロットか? そいつは口を開いた。
「諦めるのか?」
俺は視点を合わせた。その人物はランスロットではなかった。俺に声をかけたのは、アルトリウスだった。
俺は、彼女と目を合わせずに、
「ああ」
「諦めたら殺す。そう言ったよな?」
アルトリウスは俺を殺す気だ。そういう約束だった。
「ああ。言った」
俺は口から弱々しく言った。
そして、アルトリウスは俺のことを抱き起こした。彼女は俺の瞳をまっすぐに見て、
「諦めるな」
彼女の声は小さくて力強かった。『諦めるな』その言葉は、彼女が散々言われたものだ。彼女はこの言葉を言われた時に、一体どんな心境だったのだろう? きっと今の俺と同じような心境だろう。
「お前ならできる」
彼女の台詞は意外なものばかりだった。かつて彼女のことを痛めつけた他人からの激励は、俺の心をたぎらせた。
「私と一緒に戦おう」
さっきまであれほど絶望していたのに、もう無理だと思っていたのに、今は勝てるような気がする。もう一度頑張ることができるような気がするんだ。
「頑張れ。いや二人で頑張ろう」
「わかった」
人は軽々しく『頑張れ』と言う、ボロボロに弱った人にムチを打つように。まるで、断崖絶壁にいる人をさらに追い詰めるように。その言葉は時に人を苦しめる。時に人を追い込む。そして、時に、人を突き動かす。
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