この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜

大和田大和

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助け

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そして――

カツン。
俺の攻撃は先代竜王のうなじに当たった。だが俺の攻撃が当たっても、可愛らしい音がしただけだった。俺の全身全霊、全力渾身の攻撃では何のダメージも与えられなかった。
「嘘だろ」
俺は呆然と空中に立ち尽くす。


そして、
「今何かしたか?」、「今何かしたか?」
先代の竜王は振り向き、あっさりと俺を弾き飛ばした。

「ぐわああっ!」
俺は巨大な戦艦で殴られたような衝撃をモロにくらい、吹き飛ばされる。浮島の中をぶっ飛ばされる。浮島に生えているいくつものクリスタルを体で砕きながら転がり、やがて止まった。土煙が空を汚した。

全身に打撲をくらい、あちこちから青タンが浮き出ている。黒い鱗に鬱血がアクセントを加えた。直接肌に刺繍でもしたかのようだ。
「くそっ! これでもダメかっ!」
俺は悪態をついた。

「ヒャヒャヒャ! 親父に勝とうなんて一千年はえーよ!」、「何の能力だが知らないが、俺は不意打ちだけで自分の地位を築いた。そんな俺に不意打ちなんぞ効かん!」
俺は再び立ち上がる。膝は笑っていて、肩で息をしている。

「おい? 冗談だろ。おやじ、あいつまだ勝つ気だぞ?」、「力の差もわからんバカなぞひねり殺してやる!」
「俺は自由自在に自分の存在を消すことができる。空想状態になると、こちらから攻撃することはできないが、相手からの攻撃も受け付けない。わかりやすく言うと、透明人間になると言うことだ」
俺は丁寧に自分の能力を解説した。


「何だ? 何で自分の能力をばらした?」、「気でも狂ったか?」
「俺の能力はそれだけじゃない」
俺は右手を前に構える。ワイバーン状態では腕がないからできなかったが、今ならできる気がする。

「お前が俺よりも強くても俺の負けが決まったわけじゃない」
俺は空気中の水分を右手に収束。空に水が渦を作る。水は美しい模様を描きながら、空を飾る。

空気が空のカケラを運んでいるみたいだ。
「俺は何があっても絶対に諦めない! 水よっ! 燃えろっ!」
俺は右手で水の剣を掴み、自分よりはるかに強い巨竜に向かっていった。それはまるで惑星に向かって飛び込んでいく小さな小さな小石のようだった。


小石は幾度もその身を惑星にぶつけた。ぶつかってぶつかって、ぶつかり続けた。小石では惑星を傷つけることすらできない。だが、まるで小石はそんなこと知らないみたいだった。

小石は次第にその体を削っていった。あちこちが欠けて歪な形になり始める。

小石の破片はいくつも地面に落ちた。

小石は何度も何ども惑星に挑んだ。ぶつかって、弾き返されて、叩き潰されて、打ちのめされる。

だけど、まだ惑星を砕こうともがいている。

「おい。そろそろ飽きたぞ」、「いい加減貴様もしつこいな! 小僧! もう勝てないことは十分わかっただろう?」
「まだだ!」
俺は風が吹けば倒れそうな体を必死で動かす。もう少しだけ時間を稼ぎたい。

「おい。お前まさか」、「小僧。貴様現竜王の助太刀を待っているのか?」

図星だった。さっきまであれほど勝てる気がしていたのに、情けないことにいつの間にか負けん気はほとんど消えていた。

「ヒャヒャヒャヒャヒャ!」、「竜王が貴様なんぞを助けに来ると思っているのか? あいつはそういうやつじゃない。力こそ全て! それがこの世界のルールだ! 愛や友情などゴミ以下なのだよ!」

「確かにこの世界では力が全て! だが、愛や友情も俺にとっては大切な力だ! アルとアリシアがきっと助けを連れて戻ってきてくれる!」


[一方その頃 竜王の祭壇にて]
「断る」
竜王は呆れたように言った。
「なんでよっ? あなたの力なら先代の竜王にも勝てるでしょ?」

「なんであたちがケンの手助けをしないといけないのよ?」
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