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6.マダム・リリス
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「エラとハンツ卿はここで待っていて」
誕生日の翌日、お兄様に紹介状を書いてもらった私は、エラとお兄様の騎士であるハンツ卿と共にマダム・リリスにやって来た。
馬車を止め、外へ出ようとするとハンツ卿が私を引き止める。
「セシリアお嬢様お待ちください。私はセドリック様より、お嬢様をお守りするよう言われているので、ここで待っておく事は出来ません」
マダム・リリスで何を依頼するか聞かれたくないけれど、紹介状を書いてくれたお兄様の優しさを無下には出来ない。
「分かったわ。ハンツ卿は着いてきて」
そう言って私は今度こそ外へ出た。
マダム・リリスの前に来た私達はお店に入ろうとすると中から人が出てくる。
「あっ…!」
ぶつかりそうになるのをハンツ卿が前に出て私を庇う。
「ごめんなさい」
謝罪を口にしたが、お店に入ろうにも扉の前に立つ男性が動かないからお店に入る事が出来ない。
動かない男性を不思議に思い、顔を上げると男性と目が合った。
男性と目が合った瞬間、私は男性の瞳から目を離せなくなる。
男性は美しい顔立ちに銀髪、瞳は不思議な瞳の色をしている。男性が瞬きをするたびに、パープル、ピンク、ブルーと瞳の色を変える。
不思議な瞳。宝石みたい……。
ボンヤリと男性と見つめ合っていると、ハンツ卿に「お嬢様?」と声を掛けられ、ハッと意識を取り戻した私は此方を見つめる男性に声を掛ける。
「あの、退けてくだされなければ入れないのですけれど……」
「君は…もしかして…」
私の声に反応を見せた男性はそう言って私に手を伸ばす。
その手は私に触れる事なく、ハンツ卿によって阻まれる。
「お嬢様に触らないで頂きたい」
「……すまない。気になった事があって……」
男性はハンツ卿に掴まれた手を見て、自分の行動に驚いたような顔をした。
「お店に入りたいので退けてくださいますか?」
早くマダム・リリスに入りたい反面、不思議と目の前の男性が気になる気持ちに蓋をする。
今度こそ退けていくれた男性にお礼を言い、私は男性の視線を感じながらマダム・リリスに足を踏み入れた。
お店に入ると女性店員に迎えられる。
「ようこそいらっしゃいました。今日はどう言った商品をお求めですか?」
「セドリック・アルチェンの紹介で来ました。マダム・リリスの"特別な"ドレスをお願いします」
そう言って、お兄様の紹介状を差し出した。
「かしこまりました。では奥にどうぞ。マダムがお待ちです」
紹介状を確認した女性に奥へ通される。
ドキドキとした気持ちでカーテンを抜け、いくつかのドアを通り奥に入ると、そこには美しいドレスに身を包み、メイク、髪の毛全てが清廉された女性がいた。
「始めまして。マダム・リリスと申します。レディーセシリア様、今日はどういった用件でしょう?」
マダムの言葉に「ハンツ卿は外で待っていて」と渋るハンツ卿を部屋の外に出してマダムと向き合うと口を開く。
「調べて欲しい事があって来ました」
「どのような事でしょう?」
私はネックレスの箱を差し出した。
「このネックレスについて調べてください」
マダムはネックレスを手に取ると「これは妖精の力が宿る宝石ですね。でも、宝石が欠けてしまっている……」と呟いた。
マダムの言葉に私は、ここに来て正解だったと確信する。
「そうです。このネックレスはとても価値がある物で、罪を犯してでも手に入れたいと思う人がいるでしょう。例えば、殺人とか……」
私の言葉にマダムは顔を上げ、驚いた顔で私を見る。
私は誤魔化すように笑い、言葉を続ける。
「マダムにはそのような事を考える人がいないか調べてほしいんです。それと、このネックレスの詳細とどうして欠けてしまったのかも調べてください」
「……お任せください。どこよりも早く調べさせていただきます」
私はもう1つの依頼を口にする。
「そして、私の婚約者であるニコラス・メイナード様について調べてください。特に、ニコラス様を脅迫する者の有無と醜聞に関わる事を調べてください。交友関係は写真付きでの報告をお願いします」
男が言っていた、ニコラス様の秘密が何か分からない以上、私はニコラス様の全てを知る必要がある。
「かしこまりました。調査が終わり次第、お屋敷に届けさせていただきます」
「お願いします」
マダムの言葉を聞き、私は席を立って部屋を後にした。
これでニコラス様を脅し、ネックレスを必要としていた者が分かればいいのだけれど……
私は依頼を終え、ハンツ卿と共にマダム・リリスを出た。
誕生日の翌日、お兄様に紹介状を書いてもらった私は、エラとお兄様の騎士であるハンツ卿と共にマダム・リリスにやって来た。
馬車を止め、外へ出ようとするとハンツ卿が私を引き止める。
「セシリアお嬢様お待ちください。私はセドリック様より、お嬢様をお守りするよう言われているので、ここで待っておく事は出来ません」
マダム・リリスで何を依頼するか聞かれたくないけれど、紹介状を書いてくれたお兄様の優しさを無下には出来ない。
「分かったわ。ハンツ卿は着いてきて」
そう言って私は今度こそ外へ出た。
マダム・リリスの前に来た私達はお店に入ろうとすると中から人が出てくる。
「あっ…!」
ぶつかりそうになるのをハンツ卿が前に出て私を庇う。
「ごめんなさい」
謝罪を口にしたが、お店に入ろうにも扉の前に立つ男性が動かないからお店に入る事が出来ない。
動かない男性を不思議に思い、顔を上げると男性と目が合った。
男性と目が合った瞬間、私は男性の瞳から目を離せなくなる。
男性は美しい顔立ちに銀髪、瞳は不思議な瞳の色をしている。男性が瞬きをするたびに、パープル、ピンク、ブルーと瞳の色を変える。
不思議な瞳。宝石みたい……。
ボンヤリと男性と見つめ合っていると、ハンツ卿に「お嬢様?」と声を掛けられ、ハッと意識を取り戻した私は此方を見つめる男性に声を掛ける。
「あの、退けてくだされなければ入れないのですけれど……」
「君は…もしかして…」
私の声に反応を見せた男性はそう言って私に手を伸ばす。
その手は私に触れる事なく、ハンツ卿によって阻まれる。
「お嬢様に触らないで頂きたい」
「……すまない。気になった事があって……」
男性はハンツ卿に掴まれた手を見て、自分の行動に驚いたような顔をした。
「お店に入りたいので退けてくださいますか?」
早くマダム・リリスに入りたい反面、不思議と目の前の男性が気になる気持ちに蓋をする。
今度こそ退けていくれた男性にお礼を言い、私は男性の視線を感じながらマダム・リリスに足を踏み入れた。
お店に入ると女性店員に迎えられる。
「ようこそいらっしゃいました。今日はどう言った商品をお求めですか?」
「セドリック・アルチェンの紹介で来ました。マダム・リリスの"特別な"ドレスをお願いします」
そう言って、お兄様の紹介状を差し出した。
「かしこまりました。では奥にどうぞ。マダムがお待ちです」
紹介状を確認した女性に奥へ通される。
ドキドキとした気持ちでカーテンを抜け、いくつかのドアを通り奥に入ると、そこには美しいドレスに身を包み、メイク、髪の毛全てが清廉された女性がいた。
「始めまして。マダム・リリスと申します。レディーセシリア様、今日はどういった用件でしょう?」
マダムの言葉に「ハンツ卿は外で待っていて」と渋るハンツ卿を部屋の外に出してマダムと向き合うと口を開く。
「調べて欲しい事があって来ました」
「どのような事でしょう?」
私はネックレスの箱を差し出した。
「このネックレスについて調べてください」
マダムはネックレスを手に取ると「これは妖精の力が宿る宝石ですね。でも、宝石が欠けてしまっている……」と呟いた。
マダムの言葉に私は、ここに来て正解だったと確信する。
「そうです。このネックレスはとても価値がある物で、罪を犯してでも手に入れたいと思う人がいるでしょう。例えば、殺人とか……」
私の言葉にマダムは顔を上げ、驚いた顔で私を見る。
私は誤魔化すように笑い、言葉を続ける。
「マダムにはそのような事を考える人がいないか調べてほしいんです。それと、このネックレスの詳細とどうして欠けてしまったのかも調べてください」
「……お任せください。どこよりも早く調べさせていただきます」
私はもう1つの依頼を口にする。
「そして、私の婚約者であるニコラス・メイナード様について調べてください。特に、ニコラス様を脅迫する者の有無と醜聞に関わる事を調べてください。交友関係は写真付きでの報告をお願いします」
男が言っていた、ニコラス様の秘密が何か分からない以上、私はニコラス様の全てを知る必要がある。
「かしこまりました。調査が終わり次第、お屋敷に届けさせていただきます」
「お願いします」
マダムの言葉を聞き、私は席を立って部屋を後にした。
これでニコラス様を脅し、ネックレスを必要としていた者が分かればいいのだけれど……
私は依頼を終え、ハンツ卿と共にマダム・リリスを出た。
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