悪役令嬢の味方をしたら追放されました

神崎 ルナ

文字の大きさ
60 / 73

60.それぞれの事情

しおりを挟む
ギルドの受付の奥の廊下の更に奥の一角。


机や椅子が無造作に置かれた部屋にあたしとジェシカさんがいた。


「おいしいですっ!! この焼菓子っ!!」


あの後、ライラさんのところへオリジンさんとちょうどギルドに来ていたラインを案内した後、きちんと空気を読んで退出したあたしです。


(流石にこれ以上は関わっちゃマズいよね)


前回はラインが不在だったけれど、今回は違う。


(ライン達には意外だ、って顔されたけれど、あたしって何だと思われてるんだろう?)


もごもごと口を動かしながら、そんなことを考えていると、


「気に入って貰えたみたいで良かったわ。このハニーお婆さんのお店のお菓子、人気でなかなか手に入らないのよね」


にこにこしながらジェシカさんが教えてくれたけれど、


(ハニー、って……いや、遡ればきっととてもきれいなお姉さん……)


この世界、ときどき訳分からない単語ワード、ぶち込んでくるなあ、と遠い目になっていると、


「こっちの木の実が入ったのも香ばしくて……どうしたの?」


「ナンデモアリマセン」




あたしがジェシカさんと和やかに休憩を取っていた間、ライン達は大変だったらしい。


後でラインが話してくれたところによると、彼女はストロベキア公爵令嬢であるフランシェスカ公爵令嬢の依頼で、サウス帝国宰相であるバルツ公爵の身辺を探っていたという。


この宰相、腕は立つけど黒い噂が絶えない人物で、北のルドベキア公爵と並んでキナ臭い人物なのだという。


『もちろん、ただそれだけで人員は割けません。それもあって私を含め、極少ない人数で内偵を進めることになったのですが』


内偵は難航を極めると思われたが、ライラさん達は何とかそれらしい計画書を手に入れたのだという。


『ですが、脱出の際、見付かってしまい。計画書は隠すことができたのですが、捕まってしまって――』





話し終わったラインは難しい顔をしていた。


「どうしたの?」


「うん。何だかね。話を聞いていると一応筋は通っているんだけど、に落ちないところもあってね」


そのまま話し出そうとしたので思わず、


「あの、それあたしが聞いちゃっていい話?」



するとラインはおや、という表情になった。


「今更?」


「だって今のあたしはただの平民だし。そんなお貴族様の『事情』を聞かされても」



「君にしては珍しくまともな意見だね」


思わずじと目を返すと、ラインは簡易結界を張った。


ここはギルドの一室。


休憩室っぽい作りだけど、男女を一対一で放っておく、というのは。


(絶対、勘違いされてる)


「どうかしたかい?」


「何でもない。何か後で物凄く疲れそうな気がしただけ」


「――?」



「いいから続けて」



「まあ今更だよね。大体、君、レキシコン王の『事情』を知っているだろう?」


「え、まさかそれ」


「レキシコン王の素性については庶子、という以外、機密事項になっているんだよ」



(ええー)







しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...