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71.幕間――王の血筋⑧
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「成る程」
かなりぼかした説明(主にシオンがした)が終わるとリナが、
「傍から見れば悪だくみをしていた輩はいなくなって、さあこれから、と見えるけれど、どうして逃げようとしたの?」
リナの柔らかな口調に心のどこかがほどけて行くような気がした。
(だってさ)
あいつらに連れていかれたとき、俺は何もできなかった。
(何で俺、あの時抵抗しなかったんだろう)
母ちゃんは縫い物もできて、器量よし、って言われててきっと俺がいなかったら、どっかの金持ちにでも見初められて、いい生活できたと思うんだ。
(俺がいたから母ちゃんは……)
父ちゃんがいない家庭はあちこちにあったから、それで苛められた、ってことはない。
だけど――。
すきま風が入ってくる薄い壁に、一つしかない寝台。
できる仕事は何でも引き受けて『カインは将来もっといい仕事に就けるように』って文字なんかも教えてくれたりしてさ。
下町に住んでて何で文字なんて、って思ったけど、母ちゃんの言うことだから。
『よくできたね。カイン』
母ちゃんが喜んでくれたから。
(俺、母ちゃんと一緒が良かったな)
だけど、いつまでもこんな暮らししてたら、母ちゃんが体壊しちまう。
子供の俺から見ても母ちゃんは働きすぎだった。
(俺がここからいなくなれば、母ちゃん楽になるかな)
そんなふうにも、思っちまったんだ。
もう俺は他の誰にも利用されたくないんだ。
そのためにも力が欲しい。
だから俺はフリント王国へ行って魔法を身に付けて、あいつらみたいなのをやっつけてやるんだっ!!
そう話すとしばらく誰も何も言わなかった。
「あなたがお母さんを亡くしてそう思うのは分かるわ。でもどうして黙って出て行こうとしたの?」
(何で、って……)
言われてみればそうだ。
トレニア国は魔法に関しては遅れている。
だけど、俺の側には大賢者がいて。
「近くに魔法を教えてくれる人はいないの?」
俺はふるふると首を振った。
(そうじゃないんだ。俺は――)
『これは素晴らしい。これで――』
あいつらの下卑た笑いが頭の中に広がった。
大人は子供のハナシなんて聞きやしない。
『お母様に会いたい? そうですな、カイン様が立派な王様になられた暁には必ず――』
大人は子供の行き先を勝手に決めつける。
(俺は――)
かなりぼかした説明(主にシオンがした)が終わるとリナが、
「傍から見れば悪だくみをしていた輩はいなくなって、さあこれから、と見えるけれど、どうして逃げようとしたの?」
リナの柔らかな口調に心のどこかがほどけて行くような気がした。
(だってさ)
あいつらに連れていかれたとき、俺は何もできなかった。
(何で俺、あの時抵抗しなかったんだろう)
母ちゃんは縫い物もできて、器量よし、って言われててきっと俺がいなかったら、どっかの金持ちにでも見初められて、いい生活できたと思うんだ。
(俺がいたから母ちゃんは……)
父ちゃんがいない家庭はあちこちにあったから、それで苛められた、ってことはない。
だけど――。
すきま風が入ってくる薄い壁に、一つしかない寝台。
できる仕事は何でも引き受けて『カインは将来もっといい仕事に就けるように』って文字なんかも教えてくれたりしてさ。
下町に住んでて何で文字なんて、って思ったけど、母ちゃんの言うことだから。
『よくできたね。カイン』
母ちゃんが喜んでくれたから。
(俺、母ちゃんと一緒が良かったな)
だけど、いつまでもこんな暮らししてたら、母ちゃんが体壊しちまう。
子供の俺から見ても母ちゃんは働きすぎだった。
(俺がここからいなくなれば、母ちゃん楽になるかな)
そんなふうにも、思っちまったんだ。
もう俺は他の誰にも利用されたくないんだ。
そのためにも力が欲しい。
だから俺はフリント王国へ行って魔法を身に付けて、あいつらみたいなのをやっつけてやるんだっ!!
そう話すとしばらく誰も何も言わなかった。
「あなたがお母さんを亡くしてそう思うのは分かるわ。でもどうして黙って出て行こうとしたの?」
(何で、って……)
言われてみればそうだ。
トレニア国は魔法に関しては遅れている。
だけど、俺の側には大賢者がいて。
「近くに魔法を教えてくれる人はいないの?」
俺はふるふると首を振った。
(そうじゃないんだ。俺は――)
『これは素晴らしい。これで――』
あいつらの下卑た笑いが頭の中に広がった。
大人は子供のハナシなんて聞きやしない。
『お母様に会いたい? そうですな、カイン様が立派な王様になられた暁には必ず――』
大人は子供の行き先を勝手に決めつける。
(俺は――)
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