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ナギ

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食道楽王子のきゃっきゃうふふ

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こういうファンタジーも書きたいけど飯のネタがというところ。
おいしいものは正義!



 そうだ、今日はゲテモノ料理を食べに行こう。
 私のお仕えする主、そしてこの国の王子は今日も今日とてそう、思いついた。
 ちなみに昨日は精進料理を食べに行こう、でした。おとといは麺料理。
「ゲテモノ料理と言えば西の最果て、ベテルラッツォの虫料理かな」
「えっ、私は嫌ですよ」
「えー、君も来ないと。一人の食事よりつまらないものはないのだよ!」
 そう言って、主は魔力の無駄使いをして私と一緒に転移した。
 そもそも転移魔法というものもそうそう簡単に使えるものではないのですがこの方は規格外なので深くは突っ込んではいけない。
 いけないのです。
「ほら到着、ベテルラッツォ……何度目かな」
「いやー! 虫料理いやー!!」
 深緑に囲まれた小さな村。
 その村に私たちの服装は不似合だ。しかし、時折現れる私たちを村の人達は覚えている。
 覚えているからこそ、性質が悪い!
「あっ、王子だ! おもてなしの準備だ!」
「王子ー! 要望聞いてください! そのかわりこっちも聞きます! 今日は揚げ? 焼き? それとも煮る?」
「そうだな……じゃあ、揚げ」
 揚げー! 揚げー!?
 や、やだそれ見た目ぐろいままにからっと揚がおぇっぷ……は、吐き気が……してきた。
「王子ー! とれたて新鮮ー!」
 と、きゃっきゃと子供たちがくだんの虫を片手に一匹ずつもって走ってくる。
 い、いやー! 私、虫きらいなの、いやー!
 生きてる、うぞうぞしてる、いやー!!
「はは! 生き生きしてるな! 新鮮なのをやってくれ。あ、一匹は生で」
「ちょっと! ちょっと生はさすがにやめてください!!」
「ええー、おねーちゃん。生も美味しいよ、ほらこうして」
「ぎゃああああああ!!!!」
 ベテルラッツォの虫は、うぞうぞと動くいくつもの足。もうそれだけで駄目なんだけど!
 地元の子供たちがぺきょっとその、外皮をはがして身を見せる。それは赤褐色の身。
「お菓子替わりだなぁ……」
「ん! 王子もどうぞ!」
 ありがとうと主は一匹もらって同じように外皮はがしてそれにかぶりつく。
 や、やだほんとうにいっこくのおうじがなにをしてやだちょっとやだそれわたしのまえでやらないでやだやだやだ。
「……どうした? うまいぞ?」
「うう、私にはそれはレベルが高すぎて、うう……」
「そうか。そんなに嫌なのか……なら別の、そうだその辺にいる蛇料理もあったな」
「蛇ものーせんきゅうです!!」
 王子はからからと笑って私をからかう。
 お前には帰ってからちゃんと、食事を出そうと。
 俺が飯を食っている間にこの辺りの要望を聞いておいてくれと私に仕事を貸す。
 そして自分は虫料理を食べに……なんで本当に、あれを食べれるの。
 それから私は村長たちから要望を聞いて。それを聞き終わるのと主が満腹になるのは同じタイミング。
「さぁ帰ろうか」
「はい。あ、でもまって。なんですか、その袋」
「え? お土産の虫」
「置いて帰ってください!!」
「持って帰る!!」
 置いて、持ってと攻防を繰り広げ、負けたのは私だ。
 転移魔法で城に戻り、私は要望書をまとめる。その間に主は専用キッチンで私のご飯を作ってくれるとのこと。
 食道楽であられる我が主は、料理の腕もたつのだ。そんじょそこらの料理人には負けない程度に。
 執務室の部屋が相手、ほいと差し出されたのはパスタ。
 ミートソースのパスタだ。そこにころんとミートボールがいくつか。
 わぁ、おいしそう! と思うのだけれど私は食べようとする手を止めた。
 ミートボール。
 そう、こいつだ。こいつが何か、ひっかかる。
 肉、のようではある。でも何か、違うような気がする。
「…………」
「どうした?」
「殿下、このミートボールの肉の割合は?」
「うん、それを言ったらお前は食べれなくなる」
 にっこりと極上の笑みで言われ、私は皿の端にミートボールを寄せた。
 これ! 虫! はいってる!!
「うまいのに……」
 やっぱり食べないのかと殿下はその一つをつまんで口にする。
 いやだから私は、虫は、勘弁してほしいのです。
 でも優しい主はちゃんとわかっていて! ミートソースの方は大丈夫でした。
 美味しい。美味しい……でも虫はやめてほしい……本当にやめてほしい。
 明日は、どこに連れていかれるのか。
 食堂楽主は美味しい食事をお望みで。
 そのついでに国の憂いを取り除くのを趣味としている。




書いてみたら結構いけそうな感じがしてきた。
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