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参考資料は『悪役令嬢の華麗なる簒奪』
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馬鹿ばっかりみたいな話かきたい
「お呼びになりましたでしょーか、閣下!」
「お呼びになりました。はい、君に任務を与えます」
にこにこと私の目の前で笑っている閣下――この国の第二王子。
閣下と呼んでいるのは、私がそう呼びたかったから。
私は、この国の筆頭貴族である公爵家の一人娘、なのだけれど!
脳筋一族の娘なので剣に魔法にと色んな事に磨きをかけ、紆余曲折を経て王子の個人的な私兵になったのですが。
任務とはいい響き。なんだろう、楽しみ!
「よくよく知ってると思うけれど、第一王子と王位継承権を争っている僕は、彼をいつでもはめてレースから蹴り落としたい。あれはだめだ、あれが王になったら困る」
「そうですね。散財、女遊び、あと空気読めなくて馬鹿ですし」
「そうそう。よく知ってるね……」
「あと私のおっぱいが大きいので、エロい目で見てきます」
「次にそんな目で見てきたら切っていいよ」
「わぁい!」
「いやいや、おいおい。ちょっとそれは、待って」
と、王子の片腕。私の上官殿がとめる。
えー、矢って良いならやるんだけど。あっ、でもそこでやるなら私は公爵令嬢としてになっちゃうか。
それはダメだ。
「話が逸れてる。本題を」
「ああ、うん。なので、君の任務は……ちょっと同じ学園に通って、彼を落としいれてきてほしい」
「ほほう、どのように」
「まぁ……とりあえずこれを読むんだ」
と、閣下が渡してきたのは一冊の本。
タイトルは『悪役令嬢の華麗なる簒奪』という……なんでしょうこれ。
あ、まって。著作が閣下の妹君ではありませんか!
ひぇっ、妹君の書かれたというのは私にとってはご褒美!
脳筋ではありますが妹君のかく物語は面白く。最近令嬢の嗜みなのです。
そう、殿方同士が友情以上で結ばれるような話は、特に!
「これは妹が書いたんだけど、君は悪役令嬢――ではなくて。王子に取り入る痛々しい令嬢を演じてもらいたい」
「…………痛々しい、とは?」
「うん。なんというか……王子を誘惑して、散財やなにやらをさせ」
「それはもうされているのでは?」
「そうだね。あとは……悪役令嬢にいじめられた、と。いじめられてないけど騒いで罪をなすりつけるというか」
「それは馬鹿なのでは?」
「馬鹿だけど……」
「というより、それは他者に迷惑をかけるというような、そのような行動では? そのような行動を私に、しろと?」
そう、と閣下は頷かれる。
閣下の命令とはいえ、それは。それは……私に、できるのか?
「なお、悪役令嬢役となる第一王子の婚約者にはもうすでに話を通してある。彼女はのりのりで、君が相手なら喜んで! とのことだ。なお最終的に悪役令嬢は王子と婚約破棄になる」
「! それは!」
「そうだ」
「つまり、私の親友はあの使えない馬鹿との婚約から解放されると?」
「ああ。そしてこの任務を終えた暁には――君の願いを、どのようなことでも一つかなえよう。もちろんできる範囲内でだが」
「!!」
どのようなことでも? では、それでは。
閣下と上官殿がちょっと抱き合って見つめ合ったりするのをやっていただけると!?
ひぇっ! 妹君もお喜びになる構図!!
「……私、謹んでこの任務、お受けいたします!!」
「うん、そう言ってくれると思った。なお学園に転入ということで、色々と細工をする。設定などもあるのでこれから妹の所にいき、多多確認してくること、以上」
「了解いたしました! では失礼いたします!」
礼をし、くるりと身を翻す。
なんというご褒美。私はこの設定をしっかりと見につけ成し遂げてみせよう。
ご褒美のために!
「……殿下、重大任務ですね、これは」
「大丈夫だと思うけれど。成し遂げてもらわないと、困る」
「そうですね」
「そう、成し遂げてもらって……」
僕のお嫁さんにしてくださいと、言って貰わなければ!
願いをかなえようといったら、ぱっと頬を染めて嬉しそうにする。
もう、これは、僕とのあれそれを想像してだろう。僕も、するけど!
「殿下、気持ち悪い笑みがダダ漏れですよ」
「はっ! しまった。こほん。顔面は緩めないようにしなければ。しかし本当にあのグズ兄、早く失脚してくれないかなぁ」
「このようなことをしなくても時間の問題では?」
「そうだけどね。でも早く消えて欲しい。臣籍に下っていただきたい」
妹も、グズ兄ではと言っている。
グズ兄を押しているのは第一王妃の派閥だけだ。
第二王妃の子である僕らは母上が亡くなってから肩身の狭い思いをしている。
あの兄を王に据えれば困ったことになることは誰もがわかっているというのに。
「しかし、大丈夫ですかね」
「うん? 彼女なら大丈夫だと思うけれど」
「いえ、それはそうなんですが……彼女だと、性格を叩きなおすようなことをさらっとしそうで」
「あ」
そうだ。確かに。
確かに、その可能性はある。
「……こまめな報告と協力者への色々な通達をしよう」
そんなことをしてしまったら、あのグズ兄も彼女に夢中になってしまうような気がしてならない。
だって半分は血がつながっているのだ。
僕のように、彼女を好いてもらっては困る。
そもそもこんな作戦、普通はうまくいかないだろうとは思うのだけれど。
お花畑第一王子と賢いのだけれどやっぱりお花咲いてる王子と。
殿方どうしがきゃっきゃしてるの最高よね!という妹姫と。
わかりますわかります!って頷く親友と。
まっすぐすぎるがゆえに、みたいな主人公の子はやっぱり斜め上、みたいな。
こういうのもかきたいなーと思います。
「お呼びになりましたでしょーか、閣下!」
「お呼びになりました。はい、君に任務を与えます」
にこにこと私の目の前で笑っている閣下――この国の第二王子。
閣下と呼んでいるのは、私がそう呼びたかったから。
私は、この国の筆頭貴族である公爵家の一人娘、なのだけれど!
脳筋一族の娘なので剣に魔法にと色んな事に磨きをかけ、紆余曲折を経て王子の個人的な私兵になったのですが。
任務とはいい響き。なんだろう、楽しみ!
「よくよく知ってると思うけれど、第一王子と王位継承権を争っている僕は、彼をいつでもはめてレースから蹴り落としたい。あれはだめだ、あれが王になったら困る」
「そうですね。散財、女遊び、あと空気読めなくて馬鹿ですし」
「そうそう。よく知ってるね……」
「あと私のおっぱいが大きいので、エロい目で見てきます」
「次にそんな目で見てきたら切っていいよ」
「わぁい!」
「いやいや、おいおい。ちょっとそれは、待って」
と、王子の片腕。私の上官殿がとめる。
えー、矢って良いならやるんだけど。あっ、でもそこでやるなら私は公爵令嬢としてになっちゃうか。
それはダメだ。
「話が逸れてる。本題を」
「ああ、うん。なので、君の任務は……ちょっと同じ学園に通って、彼を落としいれてきてほしい」
「ほほう、どのように」
「まぁ……とりあえずこれを読むんだ」
と、閣下が渡してきたのは一冊の本。
タイトルは『悪役令嬢の華麗なる簒奪』という……なんでしょうこれ。
あ、まって。著作が閣下の妹君ではありませんか!
ひぇっ、妹君の書かれたというのは私にとってはご褒美!
脳筋ではありますが妹君のかく物語は面白く。最近令嬢の嗜みなのです。
そう、殿方同士が友情以上で結ばれるような話は、特に!
「これは妹が書いたんだけど、君は悪役令嬢――ではなくて。王子に取り入る痛々しい令嬢を演じてもらいたい」
「…………痛々しい、とは?」
「うん。なんというか……王子を誘惑して、散財やなにやらをさせ」
「それはもうされているのでは?」
「そうだね。あとは……悪役令嬢にいじめられた、と。いじめられてないけど騒いで罪をなすりつけるというか」
「それは馬鹿なのでは?」
「馬鹿だけど……」
「というより、それは他者に迷惑をかけるというような、そのような行動では? そのような行動を私に、しろと?」
そう、と閣下は頷かれる。
閣下の命令とはいえ、それは。それは……私に、できるのか?
「なお、悪役令嬢役となる第一王子の婚約者にはもうすでに話を通してある。彼女はのりのりで、君が相手なら喜んで! とのことだ。なお最終的に悪役令嬢は王子と婚約破棄になる」
「! それは!」
「そうだ」
「つまり、私の親友はあの使えない馬鹿との婚約から解放されると?」
「ああ。そしてこの任務を終えた暁には――君の願いを、どのようなことでも一つかなえよう。もちろんできる範囲内でだが」
「!!」
どのようなことでも? では、それでは。
閣下と上官殿がちょっと抱き合って見つめ合ったりするのをやっていただけると!?
ひぇっ! 妹君もお喜びになる構図!!
「……私、謹んでこの任務、お受けいたします!!」
「うん、そう言ってくれると思った。なお学園に転入ということで、色々と細工をする。設定などもあるのでこれから妹の所にいき、多多確認してくること、以上」
「了解いたしました! では失礼いたします!」
礼をし、くるりと身を翻す。
なんというご褒美。私はこの設定をしっかりと見につけ成し遂げてみせよう。
ご褒美のために!
「……殿下、重大任務ですね、これは」
「大丈夫だと思うけれど。成し遂げてもらわないと、困る」
「そうですね」
「そう、成し遂げてもらって……」
僕のお嫁さんにしてくださいと、言って貰わなければ!
願いをかなえようといったら、ぱっと頬を染めて嬉しそうにする。
もう、これは、僕とのあれそれを想像してだろう。僕も、するけど!
「殿下、気持ち悪い笑みがダダ漏れですよ」
「はっ! しまった。こほん。顔面は緩めないようにしなければ。しかし本当にあのグズ兄、早く失脚してくれないかなぁ」
「このようなことをしなくても時間の問題では?」
「そうだけどね。でも早く消えて欲しい。臣籍に下っていただきたい」
妹も、グズ兄ではと言っている。
グズ兄を押しているのは第一王妃の派閥だけだ。
第二王妃の子である僕らは母上が亡くなってから肩身の狭い思いをしている。
あの兄を王に据えれば困ったことになることは誰もがわかっているというのに。
「しかし、大丈夫ですかね」
「うん? 彼女なら大丈夫だと思うけれど」
「いえ、それはそうなんですが……彼女だと、性格を叩きなおすようなことをさらっとしそうで」
「あ」
そうだ。確かに。
確かに、その可能性はある。
「……こまめな報告と協力者への色々な通達をしよう」
そんなことをしてしまったら、あのグズ兄も彼女に夢中になってしまうような気がしてならない。
だって半分は血がつながっているのだ。
僕のように、彼女を好いてもらっては困る。
そもそもこんな作戦、普通はうまくいかないだろうとは思うのだけれど。
お花畑第一王子と賢いのだけれどやっぱりお花咲いてる王子と。
殿方どうしがきゃっきゃしてるの最高よね!という妹姫と。
わかりますわかります!って頷く親友と。
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こういうのもかきたいなーと思います。
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