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戸惑いのはじめまして
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寮に戻って、疲れたとブランシュは寝台に倒れるように横になった。
行儀は悪いと思いつつ、寝そべったまま足を動かし靴を脱ぐ。そして足をぱたぱたと動かした。
その動きがぴたりと止まる。
「対処を間違えたわ!!」
第二王子、第三王子はともかく。
第一王子はまずい。
ブランシュはぐぬぬと声こぼす。
転入という点で注目されることは諦めた。しかし、すぐにそれも消えると思ったのだがそうなりそうにない。
「やだやだやだ、むりむりむり」
もう明日からひきこもろう、そうしようとブランシュは決めた。
そう決意すれば行動は早い。
制服を脱いで楽な服装に着替える。そして裁縫道具を取り出し刺繍に没頭すると決めた。
無心でチクチクと縫う作業は楽しいのだ。
しかしその前に茶の準備。
テキパキと湯をわかし、ポットとティーカップを温める。
「……今日のあれは、幻獣が口出ししてくれば全部かわせたのかしら……いえ、あいつに頼るなんてダメよ」
今日のことはさっくり、早く割り切ってしまおう。気分を変えるためにも今日はどの茶葉にしようかしらと選んでいたその時だ。
「ぶべっ!!」
「ぶべ?」
自分しかいないはずの部屋に何か、変な声が聞こえた。
後ろを振り向いても、誰もいない。
空耳、幻聴? とブランシュが考えていると。
「我が姫君!!」
とてて、と足元に何かが走り寄る気配。そちらに視線向けると、嬉しいと最大限の表現をするように尻尾をふる仔犬のような生き物がいた。
赤い毛並み、小さな角があるの初めて見る生き物。
「ようやく、会えたな!!」
しかしその声は全く同じではないが、聞き覚えがある。
いつも話しかけてくるあの声が幼くなったような響き。
「……幻獣?」
「!!」
わかってくれたかと、一層。
嬉しい、幸せだと思っていることを隠しもしない。
そしてこの小さな獣の姿にブランシュの心は揺れていた。
かわいい、と。
かわいい、どつぼ。撫でくりまわしたい。
幻獣はきっと受け入れてくれるとごくりと喉が鳴った。
しかし、それをすぐさま顔に出すのはなんだか癪でもある。
「しばらく離れて悪い。こちらに来るために時間がかかった。カミサマが投げ捨……いや、送ってくださったのだが……着地には難ありだな、あれは」
いや、それはいいと幻獣は首を振る。
それよりも大事なことが今はある。
「愛しい我が姫君、触れることを許してくれるか」
小さな幻獣が、かしこまり改る。
その姿にはかわいさしかない。
「むしろ、わたしがさわってもいい?」
「それはとても嬉しい」
許可だ。
許可が出た。
ブランシュは茶を淹れる手を止め、屈んで幻獣を抱え上げる。そして近くの椅子に腰を下ろしてから、前足の脇の下に手を入れてぶらーんと、自分の視線の高さと幻獣の視線の高さを合わせた。
「か」
「か?」
「かわいい! やだもふもふ! やだ、あんたこんな姿なら教えてくれたらよかったのに!」
「んぎゃ! わ、我が姫君、そ、そこはっ、ふぉっ」
それはもう遠慮なく。膝の上に置かれ、背中から足から尻尾から、腹まで。
わしゃわしゃと遠慮なくブランシュは触りまくった。
やめてくれとかひぃとか、最終的にはあふあふした声を幻獣が出しはっと我に返るまで。
「あっ……ごめんなさい」
「ぶふっ……我が姫君は容赦がないな……」
へふへふと息をつきながら、その膝の上では話しにくいと幻獣は近間のテーブルの上へと飛び上がった。
少し行儀は悪いが許してくれと言ってちょこんとお座りする。
かわいいと撫でまくりたくなる衝動をブランシュはどうにか抑えた。
「改めて、はじめまして。我が姫君よ。俺の名は……むぅ」
「ムゥ? ムゥかわいいわ」
「い、いやムゥではないからな! どこで誰が聞いているかわからん。俺の名を告げてばれると面倒なことになるなと思って」
「そうなの。そういえば強いとかなんとか言われてたわね」
「そうだ。俺のことを知らんものはいない」
「ならムゥでいいじゃない。かわいいわ、ムゥって」
「っ!」
ブランシュは微笑んだ。かわいいのだからかわいい名前でいいじゃないと思ったのだ。
しかし、幻獣にしてみればだ。
初めて間近で向けられた花開くように綻んだ笑顔だ。
傍らの世界から見ていた、美味しいものを食べたりかわいいものを見たり、そうして楽しいと思った時にふと見せるあの最上級の笑顔。
今、それが、自分に向けられたのだ。
「うわああああ、我が姫君かわいい、ほんとかわいい今すぐぎゅってしてしまいたいうわああああああ」
テーブルの上にぺたんとつっぷして前足でたしたしと叩く。ついでに尻尾もべしべしと同じような動き。耳は横にぺそっとひらいてたまらないと言う様子。
ブランシュは突然のそれに、むしろぎゅっとされるのはあんたの方じゃないのと思うのだが。
そしてひとしきりじたばたしたのちに、幻獣は姿勢正した。
「で、ではムゥで。我が姫君が付けてくれた名を俺は大切にするぞ!」
「……ムゥちゃん」
「ちゃん!?」
ちゃんは、ちゃんはやめてほしいと視線が訴えている。
しかしにっこりと笑み浮かべ、ブランシュは再度紡いだ。
「ムゥちゃん」
「っ! く……う……我が姫君が、それを望むなら……俺はムゥちゃんを受け入れよう……」
「それなら、その我が姫君もやめてほしいわ」
ぺしょんとうなだれた姿もかわいいのだが、最初が肝心。
面と向かって話すことができる今、いつも気になっていたことを変えさせようと口を開いた。
「いつも我が姫君って言うけど、わたしの臣下でもないし……すごく、気持ち悪い」
「では何と呼べばいい」
「普通に、名前で」
「名で呼んで良いのか?」
「ええ」
「ほ、本当にか?」
いいわよ、と言うと幻獣――ムゥはぱちぱちと瞬いた。その表情には驚きと嬉しさが見て取れる。
名前を呼んで良いというだけなのに、何故そんなに驚いているのか。
ブランシュは嫌なら他の呼び方を探して、と言うがそれがいいとムゥは言う。
「――ブランシュ、と……ずっと呼びたかったのだ、俺は」
「そ、そう」
声色は少し違う。
けれど、その響きはいつも投げかけられ向けられていたものと同じだ。
むずがゆい。目の前で向けられたというだけなのにむずがゆくてたまらない。
姿が見えない相手から向けられる言葉は、はいはいと聞き流すことができていた。
しかし、目の前にその相手がいるだけで全然違う。
絶対に、一生会うことなどないと思っていたのだが。
そこでふと、幻獣は普通、こちらにはこれないのではないかと思い出した。
意思の疎通などは可能だが、形を以てこちらにいる事ができるのは弱いものだけだと学んだ覚えがある。
そして、この幻獣は王さえ驚いていたはずの存在なのに、何故とブランシュは思った。
「ねぇ、あんた……ムゥは、普通はこっちにこれないはず、よね?」
「うん? ああ、そうだこれなかったけどな」
ムゥはきょろきょろとあたりを見回す。何をしているのだろうと眉寄せるブランシュにムゥは周囲で聞き耳を立てているものがいないかみているのだと答えた。
「うん、大丈夫だな。ブランシュ、これは秘密なのだがカミサマにこちらにくる手段を与えてもらったのだ」
「……は?」
「理解はできんだろうが……あっちに身体をおいて、精神だけをこちらにもってきた、ということだ」
よくわからないが、あまりやってはいけないことをこの幻獣は自分にあうためにやったのだなとブランシュは思う。
それだけでもう、面倒事のような気がしてならない。
「俺がそばにいる。ブランシュを守るぞ。力はあちらにいるときより、今のところ少し……いやもうちょっと………とても…………非常に…………ないが。なじめばそのうち回復するはずだ」
歯切れの悪い言葉だ。
しかし察するには十分だ。おそらく大半の持てる能力が使えないということなのだろう。
ブランシュは知っている。
人知れず気づかれないように、この幻獣が自分を守っていたことを。それに甘んじていた自分もあることを。
「……いままでありがとう」
知らず紡ぐ。
しかし、だ。
「けど、守るってどうやって、なにを。ちなみにあとから耳に入るのもかわいそうだから今、言うけど」
わたし、今日は大変だったのよ。
そう言ってブランシュは今日、朝水をかけられてからのことを紡いだ。
ムゥはその話に憤ったり転がったり。俺がついていればとかなり、後悔している。
その挙動はブランシュには少し面白いもので、眺めながら笑っていたことにムゥは気付いてはいなかった。
行儀は悪いと思いつつ、寝そべったまま足を動かし靴を脱ぐ。そして足をぱたぱたと動かした。
その動きがぴたりと止まる。
「対処を間違えたわ!!」
第二王子、第三王子はともかく。
第一王子はまずい。
ブランシュはぐぬぬと声こぼす。
転入という点で注目されることは諦めた。しかし、すぐにそれも消えると思ったのだがそうなりそうにない。
「やだやだやだ、むりむりむり」
もう明日からひきこもろう、そうしようとブランシュは決めた。
そう決意すれば行動は早い。
制服を脱いで楽な服装に着替える。そして裁縫道具を取り出し刺繍に没頭すると決めた。
無心でチクチクと縫う作業は楽しいのだ。
しかしその前に茶の準備。
テキパキと湯をわかし、ポットとティーカップを温める。
「……今日のあれは、幻獣が口出ししてくれば全部かわせたのかしら……いえ、あいつに頼るなんてダメよ」
今日のことはさっくり、早く割り切ってしまおう。気分を変えるためにも今日はどの茶葉にしようかしらと選んでいたその時だ。
「ぶべっ!!」
「ぶべ?」
自分しかいないはずの部屋に何か、変な声が聞こえた。
後ろを振り向いても、誰もいない。
空耳、幻聴? とブランシュが考えていると。
「我が姫君!!」
とてて、と足元に何かが走り寄る気配。そちらに視線向けると、嬉しいと最大限の表現をするように尻尾をふる仔犬のような生き物がいた。
赤い毛並み、小さな角があるの初めて見る生き物。
「ようやく、会えたな!!」
しかしその声は全く同じではないが、聞き覚えがある。
いつも話しかけてくるあの声が幼くなったような響き。
「……幻獣?」
「!!」
わかってくれたかと、一層。
嬉しい、幸せだと思っていることを隠しもしない。
そしてこの小さな獣の姿にブランシュの心は揺れていた。
かわいい、と。
かわいい、どつぼ。撫でくりまわしたい。
幻獣はきっと受け入れてくれるとごくりと喉が鳴った。
しかし、それをすぐさま顔に出すのはなんだか癪でもある。
「しばらく離れて悪い。こちらに来るために時間がかかった。カミサマが投げ捨……いや、送ってくださったのだが……着地には難ありだな、あれは」
いや、それはいいと幻獣は首を振る。
それよりも大事なことが今はある。
「愛しい我が姫君、触れることを許してくれるか」
小さな幻獣が、かしこまり改る。
その姿にはかわいさしかない。
「むしろ、わたしがさわってもいい?」
「それはとても嬉しい」
許可だ。
許可が出た。
ブランシュは茶を淹れる手を止め、屈んで幻獣を抱え上げる。そして近くの椅子に腰を下ろしてから、前足の脇の下に手を入れてぶらーんと、自分の視線の高さと幻獣の視線の高さを合わせた。
「か」
「か?」
「かわいい! やだもふもふ! やだ、あんたこんな姿なら教えてくれたらよかったのに!」
「んぎゃ! わ、我が姫君、そ、そこはっ、ふぉっ」
それはもう遠慮なく。膝の上に置かれ、背中から足から尻尾から、腹まで。
わしゃわしゃと遠慮なくブランシュは触りまくった。
やめてくれとかひぃとか、最終的にはあふあふした声を幻獣が出しはっと我に返るまで。
「あっ……ごめんなさい」
「ぶふっ……我が姫君は容赦がないな……」
へふへふと息をつきながら、その膝の上では話しにくいと幻獣は近間のテーブルの上へと飛び上がった。
少し行儀は悪いが許してくれと言ってちょこんとお座りする。
かわいいと撫でまくりたくなる衝動をブランシュはどうにか抑えた。
「改めて、はじめまして。我が姫君よ。俺の名は……むぅ」
「ムゥ? ムゥかわいいわ」
「い、いやムゥではないからな! どこで誰が聞いているかわからん。俺の名を告げてばれると面倒なことになるなと思って」
「そうなの。そういえば強いとかなんとか言われてたわね」
「そうだ。俺のことを知らんものはいない」
「ならムゥでいいじゃない。かわいいわ、ムゥって」
「っ!」
ブランシュは微笑んだ。かわいいのだからかわいい名前でいいじゃないと思ったのだ。
しかし、幻獣にしてみればだ。
初めて間近で向けられた花開くように綻んだ笑顔だ。
傍らの世界から見ていた、美味しいものを食べたりかわいいものを見たり、そうして楽しいと思った時にふと見せるあの最上級の笑顔。
今、それが、自分に向けられたのだ。
「うわああああ、我が姫君かわいい、ほんとかわいい今すぐぎゅってしてしまいたいうわああああああ」
テーブルの上にぺたんとつっぷして前足でたしたしと叩く。ついでに尻尾もべしべしと同じような動き。耳は横にぺそっとひらいてたまらないと言う様子。
ブランシュは突然のそれに、むしろぎゅっとされるのはあんたの方じゃないのと思うのだが。
そしてひとしきりじたばたしたのちに、幻獣は姿勢正した。
「で、ではムゥで。我が姫君が付けてくれた名を俺は大切にするぞ!」
「……ムゥちゃん」
「ちゃん!?」
ちゃんは、ちゃんはやめてほしいと視線が訴えている。
しかしにっこりと笑み浮かべ、ブランシュは再度紡いだ。
「ムゥちゃん」
「っ! く……う……我が姫君が、それを望むなら……俺はムゥちゃんを受け入れよう……」
「それなら、その我が姫君もやめてほしいわ」
ぺしょんとうなだれた姿もかわいいのだが、最初が肝心。
面と向かって話すことができる今、いつも気になっていたことを変えさせようと口を開いた。
「いつも我が姫君って言うけど、わたしの臣下でもないし……すごく、気持ち悪い」
「では何と呼べばいい」
「普通に、名前で」
「名で呼んで良いのか?」
「ええ」
「ほ、本当にか?」
いいわよ、と言うと幻獣――ムゥはぱちぱちと瞬いた。その表情には驚きと嬉しさが見て取れる。
名前を呼んで良いというだけなのに、何故そんなに驚いているのか。
ブランシュは嫌なら他の呼び方を探して、と言うがそれがいいとムゥは言う。
「――ブランシュ、と……ずっと呼びたかったのだ、俺は」
「そ、そう」
声色は少し違う。
けれど、その響きはいつも投げかけられ向けられていたものと同じだ。
むずがゆい。目の前で向けられたというだけなのにむずがゆくてたまらない。
姿が見えない相手から向けられる言葉は、はいはいと聞き流すことができていた。
しかし、目の前にその相手がいるだけで全然違う。
絶対に、一生会うことなどないと思っていたのだが。
そこでふと、幻獣は普通、こちらにはこれないのではないかと思い出した。
意思の疎通などは可能だが、形を以てこちらにいる事ができるのは弱いものだけだと学んだ覚えがある。
そして、この幻獣は王さえ驚いていたはずの存在なのに、何故とブランシュは思った。
「ねぇ、あんた……ムゥは、普通はこっちにこれないはず、よね?」
「うん? ああ、そうだこれなかったけどな」
ムゥはきょろきょろとあたりを見回す。何をしているのだろうと眉寄せるブランシュにムゥは周囲で聞き耳を立てているものがいないかみているのだと答えた。
「うん、大丈夫だな。ブランシュ、これは秘密なのだがカミサマにこちらにくる手段を与えてもらったのだ」
「……は?」
「理解はできんだろうが……あっちに身体をおいて、精神だけをこちらにもってきた、ということだ」
よくわからないが、あまりやってはいけないことをこの幻獣は自分にあうためにやったのだなとブランシュは思う。
それだけでもう、面倒事のような気がしてならない。
「俺がそばにいる。ブランシュを守るぞ。力はあちらにいるときより、今のところ少し……いやもうちょっと………とても…………非常に…………ないが。なじめばそのうち回復するはずだ」
歯切れの悪い言葉だ。
しかし察するには十分だ。おそらく大半の持てる能力が使えないということなのだろう。
ブランシュは知っている。
人知れず気づかれないように、この幻獣が自分を守っていたことを。それに甘んじていた自分もあることを。
「……いままでありがとう」
知らず紡ぐ。
しかし、だ。
「けど、守るってどうやって、なにを。ちなみにあとから耳に入るのもかわいそうだから今、言うけど」
わたし、今日は大変だったのよ。
そう言ってブランシュは今日、朝水をかけられてからのことを紡いだ。
ムゥはその話に憤ったり転がったり。俺がついていればとかなり、後悔している。
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