転生令嬢はやんちゃする

ナギ

文字の大きさ
221 / 243
与太話

うきどき☆結婚式

そしてとうとう結婚式だそうですよ



 控え室で最後のチェック。
 綺麗にお化粧してもらって、ウェディングドレスを着て。
 私の準備はばっちり。いつもよりちょっと、大人びて見えるかなぁと思わなくもない。
 傍にいるのはお母様とデジレ様。最後までふたりとも、どこかおかしなところはないかと見てくれる。
 そして時間になって、お父様のお迎え。
 無言ではあるのだけど、なんだか感極まってる感じはある。
 こういう時、何か言う方がいいのかな。あ、でも別に私、家をでていくわけじゃないのよね。
 テオが、来てくれるんだから。
 教会の扉の前に立って、いざという時。
 お父様はそこでやっと口を開いた。
「無事に結婚式まできたな」
「はい!」
 嬉しいと声が跳ねる。お父様は瞳細めて微笑んでそして扉の先へと進んだ。
 教会の中はどこか空気が澄んでいるようで。
 赤い絨毯の先に、テオの姿。
 ああ、衣装合わせの時に見た白い礼服姿。
 こっちを見て柔らかに、嬉しそうに微笑んでいる。
 お父様の腕から、テオの腕に。
 その時視線があって、どちらともなく微笑んだ。
「レティ、とっても綺麗」
 向けられた言葉が嬉しくて、恥ずかしくて。私はにへにへと笑うしかできない。
 でもずっとそうしてるわけにもいかなくて式は続く。つらつらと述べられる言葉を聞いて、そして誓いの言葉。
 私たちは互いに、はいと頷いて、誓約書に名前を書く。
 それから、そう。指輪の交換。
 シンプルな、飾り気のないそれを互いの指にはめて、最後は誓いのキス。
 テオがヴェールを捲りあげて微笑む。あ、本当に嬉しそう。
 頬が赤い。照れているのがわかる。
「テオ、幸せにしてね。私も幸せにするわ」
「そういう事、先に言っちゃうかな……」
「あ、ごめん」
「いいよ。幸せにするし、してね」
 そっと私の頬に手を添えて、テオが唇落とす。
 見えないように隠してるなぁと思いつつ、これは私たちの幸せの印で新たな一歩でもあった。
 ブーケトスは私の親戚の小さな子がキャッチ。
 無事に式も終わって、私たちは馬車に乗って街中を大移動する。
 なにそれ恥ずかしい! って思ったけど教会からの移動はみんなこんな感じ。
 街の人たちも、結婚して幸せそうな人たちにおめでとうと声をかけてくれる。
 そして、家に、ついて!
 これから披露パーティーなわけです!
 堅苦しい挨拶はなくて、まぁちょこちょこっと挨拶をそれぞれがして。あとはご自由に!
 私とテオは、新郎新婦席に固定。というか目の前にご飯がおかれてしまって、わたしは。わたしは!!
「レティ、今日くらいは我慢しようね……」
「うん。うちの料理人が腕を振るったご飯を食べれないなんて……!」
 ちょっと取っておいてもらうからとテオは笑う。
 うう、おなか、すく。
 そう思っていると、最初に声をかけてきたのはお兄様達と殿下とデジレ様。デジレ様は姪っ子ちゃんを腕に抱いたまま。
「おめでとうレティ。お前が結婚するなんて信じられないな」
「トリスタン、姉上と結婚したお前がいうとなんかこう」
「アレク?」
「あっ、すみませんごめんなさい。な、何はともあれおめでとう!」
 デジレ様のひと睨みに殿下は逃げる。また後でと言って三人が離れると、次はガブさんとミカエラ様。
「おめでとう。兄貴まで一緒でごめん」
「ガブ! 我が国を救ったと言っても過言ではない二人の結婚式だぞ。国の代表が来ずしてどうする!」
 いや、兄貴が来るために色々、揉めたよねとガブさんは苦笑している。
 色々あった事はわかるけど、突っ込まない方が良いかな。聞かない方がいいかな!
「レティーツィア嬢、テオドール君、どうか幸せに」
「はい、ありがとうございます」
「ミカエラ様、ありがとうございます」
 私達は礼をする。ミカエラ様とガブさんは、お祝いとして国からのお土産を渡しておいたからと言う。
 え、何を? と私たちは思った。ちょっと、不安。
 するとガブさんが、全部保存のきく食べ物だから大丈夫と教えてくれた。
 そ、それはもしやわたしのためのものー!!
 表情輝かせた私に、テオはもう、と苦笑して。お二人も次の人が待ってるからと離れていく。
 次にきてくれたのは、ジゼルちゃんとベルだ。
 ベルはテオにおめでとうと言って、私を見る。
「お前も、花嫁衣装を着るとちゃんと花嫁なんだな」
「何、その言い方……」
「いや、綺麗だとかそう言う風に褒めるとテオドールが妬くだろ」
「やだな、ベル。ジゼルさんがいるベルに妬いたりはしないけど……まぁちょっと、腹は立つ」
「ほらな。ま、二人が幸せそうでよかった」
 ベルはすでに公爵としての貫録が付き始めている。でもお腹にお肉はつけないでねとジゼルちゃんがビシバシしているそうな。
 そしてジゼルちゃんは、私にぎゅっと抱き着いた。
「本当にテオ君のお嫁さんになっちゃったのね……レティ、とっても綺麗でかわいいわ」
「うん、ありがと!」
「ふふ、早く子供作ってね」
「!?」
「同じくらいの年の子が生まれたら、きっと楽しいわ」
 そう言って、ジゼルちゃんは自分のお腹を撫でる。
 というのも今、そこには新しい命が宿っているのだから。
「ジゼルさん、任せて」
「て、てお!」
 も、もー! 何を言ってるのか!
 テオは笑って、私の腰を抱く。いいじゃない、と。
「テオ君は素直ね」
 ジゼルちゃんはころころと笑う。ベルと二人で再度おめでとうと言って次の人に場を譲った。
 お次は、テオのファンテールでのお友達が来てくれた。
「テオ、おめでとう!」
「うわっ……本当に嬉しそうな顔してる」
「俺達はあれみてるからな……」
「おい」
 余計なことを言うなとばかりに、テオは零す。
 テオのお友達、セザさんたちはガブさんたちと一緒にこっちに来たそうな。
 皆、それぞれ国はあるんだけどファンテールの住み心地良すぎてそこにいるそうな。
 で、魔法陣使った転送云々の事業をやっている、という。今回、この結婚式のついでにその事業をこの国のいろんなところに伸ばしていこうって話もして帰るらしい。
「俺達はおめでとうって、言うしかできないけどな」
「うん、そうだね。でもレティさん」
「レティさんや」
「レティさん本当に」
 本当に、テオでいいのか、と。
 口を揃えて問われた。
「え、私はテオじゃないと嫌なんだけど……」
「予想通りの答えだったな」
 うん、おうと皆は生ぬるい視線を私に送る。そしてテオのにこーっとした笑みに気付いて苦笑だ。
「余計なこと、言わないでくれるかな」
「だってなぁ」
「俺ら、レティがいなくてつらいつらいって言ってるテオみてるから」
「病気だろ、あれは」
「え、なにそれ」
「おい」
 と、テオのドスの効いた声に皆黙って、それじゃと離れていく。
 むむ、私の知らない何かを知ってるって感じが。
「レティ、そろそろ着替え」
「あ、うん!」
 そうだ、お召変えタイム! なんかテオに流された気もするけど、それよりお衣装替えの方が大事!
 私とテオは一度下がる。それと同時にデジレ様がお兄様と殿下をひっぱっていく。
 お庭のパーティーでずっとウェディングドレス着てるわけにもいかないから。
 私が着るのは淡いピンクのドレス。長さはくるぶし上くらいで動きやすくしてある。
 でも腰の後ろはリボンが重なっててかわいい作り。
 そしてテオは、というと。
 やばい、叫びたい。
「……レティ?」
「待って! 今自分のうちで頑張って処理してるからちょっと待って!」
 顔をそむける。そしてちらっとみて、視線を外す。
 あっ、あっ……変な声でそうどうしよう。
 あっ、ほんと、その、ニーハイロングブーツありがとうございます!!
「なんで俺までこうなってるのかな」
「知らん……」
「アレクもトリスタンも似合うな……レティがきゃっきゃするのが私もちょっとわかる」
 はー! そしてお約束通り殿下とお兄様も、同じような!
 でも、でもやっぱり私はテオの、これが好き!!
 だいぶ耐性ができてきた私はそっと傍に寄りそう。
 そして、うにゃああああと変な声を零し。
「……レティ?」
「うっ、ごめんちょっとだけ、ちょっとだけ許して!」
 すすいと指先で、ブーツの淵を撫でる。
 テオがくすぐったいと笑って、その油断してる瞬間にずぼっと指いれた。
 いや本当に自分でも何してるのかなとは、思うんだけど!
「…………」
「……どうも本当にありがとうございます!」
「本当に好きだね……」
 うわーんだってー! なんでこんなにどきどきするかわかんないけど好きなんだからしょうがないじゃない!
 好きに理由はないのよ! ないのよ!
「ま、いいけどね」
 そう言ってテオは私を抱き上げた。
 突然の! お姫様抱っこ!!
 そして耳元で囁くのは、今夜は俺の好きにするよという予告で。
「んん!?」
「それじゃみんなの所に戻ろうか」
「この格好で!?」
「そう。だって今日は俺達の結婚式なんだから」
 別にこれくらい、どうってことないとテオは笑う。
 幸せそうに。楽しそうに。
 うう、仕方がない。付き合ってあげるわよと私もテオに抱き着いた。



レティさんの性癖も大概だなと思います。
でも楽しいのでいいかな!
感想 97

あなたにおすすめの小説

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。 しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。 英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。 顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。 ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。 誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。 ルークに会いたくて会いたくて。 その願いは。。。。。 とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。 他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。 本編完結しました! 大変お待たせ致しました。番外編も完結いたしました!

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です> 【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】 今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

【完結】男運ゼロの転生モブ令嬢、たまたま指輪を拾ったらヒロインを押しのけて花嫁に選ばれてしまいました

Rohdea
恋愛
──たまたま落ちていた指輪を拾っただけなのに! かつて婚約破棄された過去やその後の縁談もことごとく上手くいかない事などから、 男運が無い伯爵令嬢のアイリーン。 痺れを切らした父親に自力で婚約者を見つけろと言われるも、なかなか上手くいかない日々を送っていた。 そんなある日、特殊な方法で嫡男の花嫁選びをするというアディルティス侯爵家のパーティーに参加したアイリーンは、そのパーティーで落ちていた指輪を拾う。 「見つけた! 僕の花嫁!」 「僕の運命の人はあなただ!」 ──その指輪こそがアディルティス侯爵家の嫡男、ヴィンセントの花嫁を選ぶ指輪だった。 こうして、落ちていた指輪を拾っただけなのに運命の人……花嫁に選ばれてしまったアイリーン。 すっかりアイリーンの生活は一変する。 しかし、運命は複雑。 ある日、アイリーンは自身の前世の記憶を思い出してしまう。 ここは小説の世界。自分は名も無きモブ。 そして、本来この指輪を拾いヴィンセントの“運命の人”になる相手…… 本当の花嫁となるべき小説の世界のヒロインが別にいる事を─── ※2021.12.18 小説のヒロインが出てきたのでタグ追加しました(念の為)

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!