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2:憂鬱の本当の始まり
オウサマのイジワル
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お茶をしようと誘われて、向かうのは食堂だ。
そしてまた、あの人目につかない場所に座る。
ベスティアは茶と、菓子を俺の前に出してくれた。
正直、慣れない。食堂いくのは前も一緒に来たけど。
ここにベスティアがいる、っていうのが。浮いてる感が、今日はすごくある。
「本当に普通に食堂来ますね……」
「そんなに変?」
「お茶なら執務室に運ばせるとか、しないなぁって思うんだけど」
「あそこは仕事をする部屋で休む部屋じゃない。茶が飲みたいなら自分でやるしわざわざ持ってきてもらうのもね」
なるほど。
嘆きの『花鳥の国』ではほぼ、侍女や侍従にやってもらってた。
けど、この国は自主性がある。国が違えば、やっぱり違うんだなぁ、こういうのは。
「もちろん正式な場では自分でしないよ。それは僕の役目ではないから」
「たしかに。そこではしちゃいけないし、したらびっくりする」
「はは。まぁ、仲が良いと思わなければしないよ」
それは俺と仲が良いと思ってるってことかな。
ベスティアは笑いながら、時間がたつのは早いねと、紡ぐ。
「ん? 何の、です?」
「……留学してから、もう一か月以上過ぎた」
「ああ……そういえば」
そういえば、そうだ。
こっちに留学して、一か月と……半分くらいか。
確かに、あっという間だ。
「少しは、近づけたかな、僕は。ララトアに」
「……ええ、と……嫌いではないけど、でもやっぱり……その、恋愛とは」
「本当に?」
「ほ、本当に」
「まったく、どきどきもしない?」
うぐっ。
甘い。その甘い声は俺の何かを震わせている。けど俺はそれを、認めたく、ない!
「ララトア、好きだよ」
ひどく優しい。俺を見るその瞳の色が優しくて、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
見つめられて緊張している、とかではなくて。どこか浮足立つような。
俺だけに向けられている、その視線が――少し。少し、だけ。
「ララトア、どうしたの? 手を、伸ばして」
「えっ? あ、う、うわ! ごめん!」
言われて、気付いて慌てて、手をひっこめようと、した。
けれど逃がさないよと笑ってベスティアは俺の手を掴む。
知らず、無意識だ。無意識のうちにだ!
俺は手を伸ばして、ベスティアに触れようとしていた。その顔に。
びっくりする。びっくりした!
お、俺は、どうしてこんな。本当に、なんで!
「べ、ベスティア、放して……」
「嫌だよ。折角、ララトアから触れてきてくれたんだから」
「さ、さわって、ない!」
「うん。でもそうしようとしてくれたから、僕が捕まえただけだ」
うう、顔に熱が集まる。
うっとりとしたような表情で俺を見つめるベスティア。駄目だろう、それは。
駄目だろう。
俺の何かが揺れ動いている。なんだこれ、本当になんだこれ!
そう、思っているとベスティアのその表情がいつもの笑みに変わった。
にこりと笑って、掴んでいた手を離していく。
「残念、時間切れだ。ヒースに見つかった」
「王、仕事がたまっているのですが」
「うんうん、わかっているよ。わかっては、いるんだけど……」
ララトアがいたら、そちらを優先したくなるに決まっていると笑ってベスティアは立ち上がった。
「お茶に誘って、あまり相手もできなくて悪いね」
また後で、とベスティアは紡いで言ってしまう。
残された俺はぽけっとするばかりだ。
「……あ、聞き忘れた」
あのアレスが、ベスティアだったのかって。
そうだ、聞けばよかったのに。
でも、なんだろう。何かを俺はまだ、忘れているんだ。
うん。なんだっけ……そう、いえば。
そういえば、城の中庭でとかなんとか。それかな。街で助けてくれたのが、きっと最初じゃないんだ。
何か、あるんだろう。なんだろうな。
心の中に色んなものが引っかかってしまった。
やばいな、今の俺はどんな顔をしているんだろう。
両の手で、顔を覆い隠す。触ってもわからないや。今、誰にも見られたくないって感じだ。
「はー……どうしたらいいんだろ」
俺は求婚なんて断るつもりで。
でも、勉強はしたくてここにきて。
そして、うん。上手に、誘導はされていたと、思う。
回避できないのは向こうが上手だからだ。でもそれを逃げ道にするわけでは、なくて。
俺の心は何かしらの変化を迎えているんだ。ただそれと正面から向き合うのが怖い。
もう少しだけ、逃げさせていてほしいと思った。
そしてまた、あの人目につかない場所に座る。
ベスティアは茶と、菓子を俺の前に出してくれた。
正直、慣れない。食堂いくのは前も一緒に来たけど。
ここにベスティアがいる、っていうのが。浮いてる感が、今日はすごくある。
「本当に普通に食堂来ますね……」
「そんなに変?」
「お茶なら執務室に運ばせるとか、しないなぁって思うんだけど」
「あそこは仕事をする部屋で休む部屋じゃない。茶が飲みたいなら自分でやるしわざわざ持ってきてもらうのもね」
なるほど。
嘆きの『花鳥の国』ではほぼ、侍女や侍従にやってもらってた。
けど、この国は自主性がある。国が違えば、やっぱり違うんだなぁ、こういうのは。
「もちろん正式な場では自分でしないよ。それは僕の役目ではないから」
「たしかに。そこではしちゃいけないし、したらびっくりする」
「はは。まぁ、仲が良いと思わなければしないよ」
それは俺と仲が良いと思ってるってことかな。
ベスティアは笑いながら、時間がたつのは早いねと、紡ぐ。
「ん? 何の、です?」
「……留学してから、もう一か月以上過ぎた」
「ああ……そういえば」
そういえば、そうだ。
こっちに留学して、一か月と……半分くらいか。
確かに、あっという間だ。
「少しは、近づけたかな、僕は。ララトアに」
「……ええ、と……嫌いではないけど、でもやっぱり……その、恋愛とは」
「本当に?」
「ほ、本当に」
「まったく、どきどきもしない?」
うぐっ。
甘い。その甘い声は俺の何かを震わせている。けど俺はそれを、認めたく、ない!
「ララトア、好きだよ」
ひどく優しい。俺を見るその瞳の色が優しくて、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
見つめられて緊張している、とかではなくて。どこか浮足立つような。
俺だけに向けられている、その視線が――少し。少し、だけ。
「ララトア、どうしたの? 手を、伸ばして」
「えっ? あ、う、うわ! ごめん!」
言われて、気付いて慌てて、手をひっこめようと、した。
けれど逃がさないよと笑ってベスティアは俺の手を掴む。
知らず、無意識だ。無意識のうちにだ!
俺は手を伸ばして、ベスティアに触れようとしていた。その顔に。
びっくりする。びっくりした!
お、俺は、どうしてこんな。本当に、なんで!
「べ、ベスティア、放して……」
「嫌だよ。折角、ララトアから触れてきてくれたんだから」
「さ、さわって、ない!」
「うん。でもそうしようとしてくれたから、僕が捕まえただけだ」
うう、顔に熱が集まる。
うっとりとしたような表情で俺を見つめるベスティア。駄目だろう、それは。
駄目だろう。
俺の何かが揺れ動いている。なんだこれ、本当になんだこれ!
そう、思っているとベスティアのその表情がいつもの笑みに変わった。
にこりと笑って、掴んでいた手を離していく。
「残念、時間切れだ。ヒースに見つかった」
「王、仕事がたまっているのですが」
「うんうん、わかっているよ。わかっては、いるんだけど……」
ララトアがいたら、そちらを優先したくなるに決まっていると笑ってベスティアは立ち上がった。
「お茶に誘って、あまり相手もできなくて悪いね」
また後で、とベスティアは紡いで言ってしまう。
残された俺はぽけっとするばかりだ。
「……あ、聞き忘れた」
あのアレスが、ベスティアだったのかって。
そうだ、聞けばよかったのに。
でも、なんだろう。何かを俺はまだ、忘れているんだ。
うん。なんだっけ……そう、いえば。
そういえば、城の中庭でとかなんとか。それかな。街で助けてくれたのが、きっと最初じゃないんだ。
何か、あるんだろう。なんだろうな。
心の中に色んなものが引っかかってしまった。
やばいな、今の俺はどんな顔をしているんだろう。
両の手で、顔を覆い隠す。触ってもわからないや。今、誰にも見られたくないって感じだ。
「はー……どうしたらいいんだろ」
俺は求婚なんて断るつもりで。
でも、勉強はしたくてここにきて。
そして、うん。上手に、誘導はされていたと、思う。
回避できないのは向こうが上手だからだ。でもそれを逃げ道にするわけでは、なくて。
俺の心は何かしらの変化を迎えているんだ。ただそれと正面から向き合うのが怖い。
もう少しだけ、逃げさせていてほしいと思った。
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一部に翻訳ソフトを使用しています。
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本当にありがたく思います。
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