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2:憂鬱の本当の始まり
オウジのココロ
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憂鬱だ。
ベスティアに、ドキドキさせられてから、会ってない。
会ってない、というか。
俺が! 逃げている!
朝の誘いはなんだかんだで断って、早一週間だ。
どんな顔して会えばいいのか、わからない。
そもそも、まだ初めてどこであったかあんまり、思い出せてないし。そういう申し訳なさもある。
けれど、とうとう俺は捕まってしまったのだ!
寝る前! 寝台の上で! ごろごろとしているときに!
どこから現れた!!
「ベ、ベスティア! なななな、なんでここに!?」
「それはララトアが会ってくれないから焦れてしまって……かな」
「いや、そ、それは……じゃなくて! どうやって入った!」
「……オウサマだから、かな」
なんだそれ、答えになってない!
寝台の上にいる俺は端に逃げるような感じだ。
ベスティアは笑って、その端に腰かけてそれ以上は近づいてこない。
これ以上は近づかない、大丈夫だというような、そういう示しだろうか!
「嫌いになった?」
「え、なに?」
「会ってくれないから、嫌われたのかなって……そういう意思表示なのかと思っているんだけど」
「き、嫌ってなんかない」
「本当?」
「それはもちろん!」
じゃあ何故、とベスティアは言う。
何故って、そんな、それは。
俺自身、まだ答えがでてなくて問われても困る。言葉にできないんだ。
それをそのまま伝えていいものか、どうしようかと困っていると、しょうがないとベスティアは苦笑して。
「地下のデートに誘おうと思っていたんだけど」
「地下!?」
「地下にいくのはやめよう」
「えっ……」
「……そんな、ものすごく残念そうな顔をされると……」
ベスティアは地下もまた連れていくからと柔らかに微笑んで言う。
まっすぐ、俺を見つめるベスティア。
何だ、そんな顔しないで欲しい。その顔は良くない。
俺をドキドキさせて良くない。
「地下にも連れていくけど、街に行こう。この国をララトアに見て欲しい」
僕が守っているこの国を、とベスティアは言う。
ベスティアが、守っている国。
そうだ、確かに。俺は街にと約束したがまだ行っていない。ばたばたしていてタイミングがつかめなくて。
というのは言い訳かもしれないけれど。
「案内、させてくれるかな?」
その言葉に、ゆっくりと頷いてしまった。
「じゃあ、明日」
「え? 明日?」
「迎えに来るから、準備しておいてね、おやすみ」
あ、明日?
明日!?
ベスティアはさっさと部屋を出て行ってしまった。俺はそれを止める間も無く。
いや頷いたのは俺なんだけど!
「あ、明日とか……き、気持ちの準備が……」
どんな顔して会えばいい? いや、ベスティアはいつもと変わらないんだと思う。
変わってるのは、俺の、気持ちだ。
もやもやする。なんて言えばいいのかわからない気持ちだ。
「……俺、好き……なのか、なぁ…………いや、いや! そ、そんな! 友人としては、そうだけど!」
そう、友人としては好き、好ましいで良いんだと思う。
嫌いじゃない。
そういう自分の内での問答は何度かした。けど、結局はどう思っているのか、俺は先延ばしにしっぱなし。
「ああああああ……」
俺は、最初にあった時、どんな風に接してたっけ!?
わからない。
どんな顔してあえばいい? いつもみたいにできない。
むしろ、いつも、とは?
ベスティアの事を、俺が知っていく。その度に心に波紋が広がっていくような心地。
それは不快なものではない。
なんだろう、これ。本当にわからない。
流されて、好きになる。そもそも好きってなんだ?
好きになるって、なんなんだ。
家族の好きとは、違う好き。俺は恋情がわからない。
恋、とは!! ここで愛って考えないのは小っ恥ずかしいか、だよなぁ。
そういえば父上もガガ兄も、恋をしたら歌いたくなるとか言ってたなぁ。
リュリュスも歌ってたな。年上のおねーさんに……そしてフラれた。
……もしかして、俺もそう?
恋したら、歌う?? 歌いたくなる??
「そうだとしたら、恋じゃないな」
それはなんだか、残念な――いやいやいや。残念て。
……残念ておかしいだろぉ!!
いや、でもその前に。音痴の俺が歌いたい、とは……無理無理無理。
聞いた人、死んじゃう。あまりのアレさに死んじゃう。歌えない。
俺は歌わない。
「……なんだよこれ、ほんと。寝れないし」
枕を抱えてごろごろする。1人だと考え込んでしまう。かと言って誰に相談できるでもない。
胸の中でぐるぐる。頭の中ではぐちゃぐちゃ。
そんな俺が真っ当に睡眠なんてとれるはずがなく。
何度も同じ問答を繰り返して気づけば――朝だった。多少、うつらうつらはしたけれど目の下にはクマがある。
ほとんど寝れてないからだるいし酷い顔だ。
しかもうつ伏せになっていた。顔がぱんぱんである。
俺を起こしにきたミアさんはまぁ! と声あげて顔を冷やしてくれたのでちょっとマシにはなったけども!
部屋に朝食を運んでもらって、着替えて――街に出るならこんなものかなとちょっとぼろい服をきる。
そういえば待ち合わせも何もしていない。時間も決めていないから俺は部屋でそわそわと待っていた。
なんでそわそわするのかももうわからない。
もういいや。なるようになれ。
ベスティアについて考えると、俺の心は乱れるのだと思う。
恋愛の話好きな姉妹たちの話も、茶を飲みながらへーふーんとか聞いていたけど、彼女たちが話す様なきらめきを感じてはいないと思う。
目があっただけで嬉しいとか。話しかけられたら飛び上がりそうになるほど幸せとか。
そういうのはないので、俺が彼に抱いているのは恋情ではないと思う。
そう思うのだけれど。
そう、思うのだけれど――何かが引っかかっているような感じがある。
俺はそれを見ないふり。見ないふりしているのかもしれない。
なんて、考えていたら眠気がきた。瞳閉じれば真っ暗。
そのまま知らないうちに寝てたわけで。
寝てしまった、わけで。
ベスティアに、ドキドキさせられてから、会ってない。
会ってない、というか。
俺が! 逃げている!
朝の誘いはなんだかんだで断って、早一週間だ。
どんな顔して会えばいいのか、わからない。
そもそも、まだ初めてどこであったかあんまり、思い出せてないし。そういう申し訳なさもある。
けれど、とうとう俺は捕まってしまったのだ!
寝る前! 寝台の上で! ごろごろとしているときに!
どこから現れた!!
「ベ、ベスティア! なななな、なんでここに!?」
「それはララトアが会ってくれないから焦れてしまって……かな」
「いや、そ、それは……じゃなくて! どうやって入った!」
「……オウサマだから、かな」
なんだそれ、答えになってない!
寝台の上にいる俺は端に逃げるような感じだ。
ベスティアは笑って、その端に腰かけてそれ以上は近づいてこない。
これ以上は近づかない、大丈夫だというような、そういう示しだろうか!
「嫌いになった?」
「え、なに?」
「会ってくれないから、嫌われたのかなって……そういう意思表示なのかと思っているんだけど」
「き、嫌ってなんかない」
「本当?」
「それはもちろん!」
じゃあ何故、とベスティアは言う。
何故って、そんな、それは。
俺自身、まだ答えがでてなくて問われても困る。言葉にできないんだ。
それをそのまま伝えていいものか、どうしようかと困っていると、しょうがないとベスティアは苦笑して。
「地下のデートに誘おうと思っていたんだけど」
「地下!?」
「地下にいくのはやめよう」
「えっ……」
「……そんな、ものすごく残念そうな顔をされると……」
ベスティアは地下もまた連れていくからと柔らかに微笑んで言う。
まっすぐ、俺を見つめるベスティア。
何だ、そんな顔しないで欲しい。その顔は良くない。
俺をドキドキさせて良くない。
「地下にも連れていくけど、街に行こう。この国をララトアに見て欲しい」
僕が守っているこの国を、とベスティアは言う。
ベスティアが、守っている国。
そうだ、確かに。俺は街にと約束したがまだ行っていない。ばたばたしていてタイミングがつかめなくて。
というのは言い訳かもしれないけれど。
「案内、させてくれるかな?」
その言葉に、ゆっくりと頷いてしまった。
「じゃあ、明日」
「え? 明日?」
「迎えに来るから、準備しておいてね、おやすみ」
あ、明日?
明日!?
ベスティアはさっさと部屋を出て行ってしまった。俺はそれを止める間も無く。
いや頷いたのは俺なんだけど!
「あ、明日とか……き、気持ちの準備が……」
どんな顔して会えばいい? いや、ベスティアはいつもと変わらないんだと思う。
変わってるのは、俺の、気持ちだ。
もやもやする。なんて言えばいいのかわからない気持ちだ。
「……俺、好き……なのか、なぁ…………いや、いや! そ、そんな! 友人としては、そうだけど!」
そう、友人としては好き、好ましいで良いんだと思う。
嫌いじゃない。
そういう自分の内での問答は何度かした。けど、結局はどう思っているのか、俺は先延ばしにしっぱなし。
「ああああああ……」
俺は、最初にあった時、どんな風に接してたっけ!?
わからない。
どんな顔してあえばいい? いつもみたいにできない。
むしろ、いつも、とは?
ベスティアの事を、俺が知っていく。その度に心に波紋が広がっていくような心地。
それは不快なものではない。
なんだろう、これ。本当にわからない。
流されて、好きになる。そもそも好きってなんだ?
好きになるって、なんなんだ。
家族の好きとは、違う好き。俺は恋情がわからない。
恋、とは!! ここで愛って考えないのは小っ恥ずかしいか、だよなぁ。
そういえば父上もガガ兄も、恋をしたら歌いたくなるとか言ってたなぁ。
リュリュスも歌ってたな。年上のおねーさんに……そしてフラれた。
……もしかして、俺もそう?
恋したら、歌う?? 歌いたくなる??
「そうだとしたら、恋じゃないな」
それはなんだか、残念な――いやいやいや。残念て。
……残念ておかしいだろぉ!!
いや、でもその前に。音痴の俺が歌いたい、とは……無理無理無理。
聞いた人、死んじゃう。あまりのアレさに死んじゃう。歌えない。
俺は歌わない。
「……なんだよこれ、ほんと。寝れないし」
枕を抱えてごろごろする。1人だと考え込んでしまう。かと言って誰に相談できるでもない。
胸の中でぐるぐる。頭の中ではぐちゃぐちゃ。
そんな俺が真っ当に睡眠なんてとれるはずがなく。
何度も同じ問答を繰り返して気づけば――朝だった。多少、うつらうつらはしたけれど目の下にはクマがある。
ほとんど寝れてないからだるいし酷い顔だ。
しかもうつ伏せになっていた。顔がぱんぱんである。
俺を起こしにきたミアさんはまぁ! と声あげて顔を冷やしてくれたのでちょっとマシにはなったけども!
部屋に朝食を運んでもらって、着替えて――街に出るならこんなものかなとちょっとぼろい服をきる。
そういえば待ち合わせも何もしていない。時間も決めていないから俺は部屋でそわそわと待っていた。
なんでそわそわするのかももうわからない。
もういいや。なるようになれ。
ベスティアについて考えると、俺の心は乱れるのだと思う。
恋愛の話好きな姉妹たちの話も、茶を飲みながらへーふーんとか聞いていたけど、彼女たちが話す様なきらめきを感じてはいないと思う。
目があっただけで嬉しいとか。話しかけられたら飛び上がりそうになるほど幸せとか。
そういうのはないので、俺が彼に抱いているのは恋情ではないと思う。
そう思うのだけれど。
そう、思うのだけれど――何かが引っかかっているような感じがある。
俺はそれを見ないふり。見ないふりしているのかもしれない。
なんて、考えていたら眠気がきた。瞳閉じれば真っ暗。
そのまま知らないうちに寝てたわけで。
寝てしまった、わけで。
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