わたしはまだ、わたしを知らない。

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 うつ病、境界性パーソナリティ障害、気分変調症、社会不安障害。
そんな4つの精神病を抱えた、25歳女性。
母子家庭で育った一人っ子。
現在休職中。



ーー空いっぱいに青空が広がって、
お花が元気よく咲いていた5月の下旬。
そんな最高の日にわたしは生まれた。

 よく晴れて、お花がたくさん咲いている日に生まれたから「晴」に「花」と書いて「晴花」と名付けられた。
あまり同じ漢字の人に出会ったことがないということもあり、この名前は気に入っている。
きっとこのときはまだ、希望に満ち溢れていてわたしはわたしになることもできたのではないだろうか、、。



 保育園に通っていた頃、母親と離れるのが嫌で保育園の入り口についた途端全速力で一本道を走り抜け逃亡。
道路に飛び出すことよりも、母親と離れて保育園に行くことのほうが嫌だったらしい。
女手一つで育ててくれていたこともあり、保育園ではいつも延長組だった。
おやつの時間の残り物を食べることができるというのが延長組の特権だったこともあり、最後まで残るのは別に嫌じゃなかった。

 母親と離れるのが嫌なのは小学生に上がっても変わらなかった。家から元気に飛び出したと思えば、途中にあるおばあちゃんの家に逃げ込み小学校に行くことを拒否。
仕方ないと母親が校門まで送っていくと、校門で号泣して中に入れない。
校長先生の挨拶も号泣のため無視。
そこで母親たちが生み出したのが母親と同じように接してくれる先生を作ることだった。
見事その作戦は成功を遂げ、担任の先生と保健室の先生が校門まで迎えに来てくれさえすれば教室に向かうことができるようになった。

そんなこんなで1年生の終わり頃までにはふつうに通うことができるようになり、一件落着にも見えた。
、、、が、
厄介だったのは授業参観。
忘れていた母親の姿が現れると途端に泣き出す問題児。
授業そっちのけで母親のところに走って行きその場で泣きながら授業を聞く。
我ながらよく許されていたなと思う。
せっかく仕事の合間を縫って来ている母親にとってはとんでもない出来事だっただろうと思ったりもする。
そこで母親がひらめいたのは、教室の外からこっそり覗く作戦。
先生と母親はアイコンタクトで連携プレー。小学1年生のわたしは見事に気づかない。
だからわたしは、そのたった1回しか母親が見に来た記憶はない。

そしてこの頃はまだ母親に対して、
「嫌」という気持ちは芽生えていなかったのではないだろうか。
離れるのが嫌で泣くくらい、母親といたい気持ちが強かったのか。
それとも一緒にいる時間が少なすぎて寂しかったのか、、。