世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

第一章 理想

第１０話 新たなスキル

イザールは手綱をふるい馬車を走らせている。
僕は馬車の中で傷ついた女性に水を飲ませてあげていた。

「うっ！…ありがとう。」

冒険者は意識はあるが朦朧としている。いかんせん傷が深く抑えて止血はしているモノのどれだけ効果が期待できるかわからない。

「ソラ様！その女の容体はいかがですか！」

僕は誰かに話しかけられた気がしてイザールの方を向く。イザールは懸命に馬を走らせており、僕に話しかけた様子はない。

「私であればあっという間に村まで運ぶことが出来ますのに。」

『もしかしてコロ！？』

と驚きの声を上げるとイザールがそれに反応する。

「旦那！どうかしましたか！？」

『いえ！何でもありません！』

『ステータスオープン』

僕は表示されたステータスを見た。
レベルが上がっている。先ほどコロが倒したゴブリンの経験値でレベルが上がったのだろう。どうやら従属魔がたおした魔物の経験値も主人に反映されるようだ。

そして僕とコロのギフトとスキルに変化がでていた。
僕にはギフト【従属魔創造Lv２】スキル：従属魔意思疎通
コロには、スキル：チャージが追加されていた。

試しに馬車の後ろからついてきているコロに声をかけてみる。

『コロ！僕の話していることわかる！？』

「はい！ソラ様の話す事ばがはっきりとわかります！」

確定だ。従属魔意思疎通のスキルは自身が生み出した従属魔と会話が出来るようになるスキルらしい。念のためステータスウィンドウの従属魔意思疎通の欄に手を触れてみる。

【従属魔意思疎通】
自身が生み出した従属魔と会話や念話と言った意思疎通が可能。

どうやら会話だけでなく念話も出来るらしい。

(コロ！疲れていないか？)

(はい！ソラ様！私は元気いっぱいです！)

やはり念話は思うだけで従属魔と意思疎通が計れるようだ。これは使い勝手が良さそうだ。

「旦那！そろそろ村に到着します！」
イザールが僕に声をかけてくる。

『わかりました！』

『もう少しで村につきますから！気をしっかり持って！』

僕は女性冒険者に声をかけると冒険者は力なくうなずいた。

(コロ、すまないが村人に見つからないように集落の外で待機しておいてもらえる？)

(わかりました！何かありましたらすぐに及び下さい！)

コロは馬車から離れ近くの森に入っていった。

冒険者の女性は胸を上下させながら荒い息をしている。

事態は一刻を争った。


【黒木 天】
ステータス
Lｖ2⇒3
HP34＋6
力9＋3
魔力20＋7
速さ10＋3
運4＋１
ギフト【従属魔創造Lv２】
スキル：従属魔意思疎通


【コロ】(種族：一角狼)
ステータス
Lv2⇒3
HP75＋8
力25＋4
魔力9＋3
速さ30＋6
運11＋2
スキル：疾風,チャージ